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ウベア島はニューカレドニアの首都ヌメアから飛行機で約40分ほどで行ける離島である。書籍「天国にいちばん近い島」の舞台になったこの島は、今でもほとんどリゾート地化されておらず、手付かずの自然が残っている。しかし観光客が少ないということは、その分個人旅行の難易度が高いということでもある。現地発のツアーだと日帰りでも1人5万円ほどするが、個人旅行でさらに安く、長く滞在する方法を探ってみた。
ウベア島へ行くには、ニューカレドニアの首都ヌメアと周辺の離島を結ぶ「エール・カレドニー」という現地の航空会社を利用する必要がある。予約は公式サイトでのみで可能で、料金は一番安い運賃タイプで往復総額1人14,000円ほど。サイトでの予約手順は分かりやすく、特に迷うところもなかった。
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ウベア島にはホテルが2つしかない。一つが島で最もハイクラスな「パラディ・ド・ウベア」という4つ星ホテル、もう一つが「ル・ボープレ」という2つ星ホテルだ。両ホテルともに公式サイトからのオンライン予約に対応している。「パラディ・ド・ウベア」は島で最もビーチが美しいといわれるムリ橋の近くにあり、日本人スタッフもいることから、日本人観光客の多くはこちらに宿泊することであろう。一方で「ル・ボープレ」は老舗の民宿が近年リニューアルオープンしたホテルで、空港近くにある。「パラディ・ド・ウベア」が1泊1部屋3万円程度するのに対して、「ル・ボープレ」は1.5万円程度という価格の安さが魅力だ。
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いざ予約しようとして困難にぶち当たった。筆者が訪れた4月上旬は偶然にも「パラディ・ド・ウベア」が改装中のため営業しておらず、「ル・ボープレ」は満室で予約ができなかったのだ。民泊予約サービス「Airbnb」で探しても、唯一登録されている一軒は虚しくも空室なしだった。一年に何度も海外旅行にいく筆者にとっても、ここまで苦しい旅行は初めてである。航空券を先に予約してしまったので、何としても宿泊場所を抑えなければならない。ホテル、Airbnb以外の選択肢を探すことにした。
さらに調べていくと「resa.nc」というニューカレドニアに特化した宿泊予約サイトを見つけた。ウベア島の6つの民宿のうち2つがこのサイトで予約できると分かり、パラディ・ド・ウベアと同じムリ島にある「Cocotier」という民宿を予約した。料金は1泊1室6000円で、日本のクレジットカードで決済可能。
予約までは戸惑ったが、最終的な料金は2人分のフライトと民宿2泊で合計4万円、一人あたり2万円となり、日帰り旅行の半額以下で現地に2泊するプランを組むことができた。
ニューカレドニアの首都ヌメアからウベア島への飛行機は国内線専用空港である、マジェンダ空港に発着する。ヌメアの観光の拠点であるアンバスタからタクシーで10分ほどで到着できるアクセスの良い空港だ。
今回利用した「エール・カレドニー」という航空会社の一番の特徴は、座席が自由席であることだろう。フライト時間は40分ほどなのだが、窓側に座るとニューカレドニアの美しい海を上空から眺めることができる。天気が良ければ早めに搭乗して窓側を確保したい。
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機内食などのサービスは一切なく、座席もシンプルで背もたれも倒れないが、機内にいるのが40分なので全く問題ない。荷物の制限は運賃によって異なり、受託荷物が12キロ〜20キロ、機内持ち込み荷物が5キロまでとなっている。搭乗する客のほとんどが現地の方だったからか、どちらの荷物もサイズはおろか重量のチェックもなかった。
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フライトは定刻通り午後4時50分ごろにウベア空港に到着した。ウベア空港から予約した民宿までは、車で25分、徒歩だと4時間ほどかかるため、徒歩移動は絶対的に無理である。あらかじめ宿の人にメールで送迎を依頼しておいたのだが、日本を出国する直前に
「モーリスに頼んで!」
という謎の返信がきたきり、その後メールを送っても音信不通になってしまった。モーリスというタクシー会社的なものがあるのかと思い、ググっても一切情報が出てこない。最悪空港職員に頼んでタクシーを呼んでもらえるだろうと考えていたが、到着しても空港のオフィスは閉まっており、モーリスらしき人物も見つからなかった。
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仕方がないので空港に居合わせたおじさんに、拙いフランス語で事情を説明すると、幸運にも宿まで送ってもらえることに。大学の第二外国語も真面目にやっておくと命拾いすることもあるものだ。親切にも宿まで送ってくれたおじさんには送迎代をお支払いしお別れした。
宿に着く頃にはすっかり日は暮れ、あたりは真っ暗になっていた。チェックインしようとするも、なんと宿に人が誰もいない。予約したホテルに管理人がいないという事件は、人生初である。
たまたま近くを通りかかった青年に管理人の電話番号を聞いて、日本から持参したスマホで宿の人に電話をかけてみた。現地のSIMカードを買っていない場合でも、日本で通話可能なスマホであれば現地でも設定なしで通話ができる場合が多い。現地の回線に繋ぐことになるのでもちろん割高な料金になるのだが、緊急時には有効な手段だ。
宿の人に繋がり事情を話すと、早口のフランス語で
「10分で着くから待ってなさい!」
となぜか軽く怒られた。言われた通り10分待つも一向に現れる気配はなく、そのまま30分が経過した。しびれを切らしてもう一度電話すると
「だから10分で着くって!!」
と再び喝を入れられた。
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いやいや着いてないじゃないですか、と思いながらも、電話代が心配なのでひとまず了解して電話を切った。
最初の「10分で着く発言」から約1時間後、管理人夫婦は今までのやり取りなどなかったかのように、満面の笑みで現れた。色々とツッコミどころはあるものの、疲れていたので部屋に案内してもらい、ようやくチェックインができた。
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この宿には2泊したのだが、その後は基本的には快適に過ごせた。当然のようにシャワーは水しか出ず、二日目は水すらも出ないというトラブルはあったものの、事前に大量の水(7リットルほど)を購入して持参していたため大きな問題にはならなかった。
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ウベア島にはレストランが少ないため、日本から持ってきたカップ麺やヌメアで購入したパンとニューカレドニアの名産である鯖の缶詰を食べて過ごした。
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宿から徒歩10秒でビーチにアクセスでき、滞在中はほとんどビーチで泳いだり誰もいない砂浜で夕日を見たりしていた。このビーチがあれば初日の宿の人の対応や、宿の水が出ないことなどどうでもよくなるような迫力である。海の透明度は素晴らしく、肩まで浸かって足の爪先まではっきり見えるほどだった。これだけのビーチを独り占めできるのは、ウベア島以外にないのではないかと思う。
ウベア島への旅を振り返ると色々な困難はあったものの、本当に心に残る体験ができ、もう一度訪れたいと思える場所だった。機会があればぜひ日帰りツアーではなく宿泊して数日滞在してみることをおすすめする。
ただし最初から現地の人に頼るつもりで行くのはあまりに危険なので、事前にホテルを予約して送迎を頼むか、それでも心配な場合は今回の旅でも送迎等でお世話になった日本人ガイドのマサコさんにガイドを頼んでみるのもいいかもしれない(マサコさんの連絡先は記事下)。民宿に泊まる場合は日本や他の国での常識は通用しないと考えて、今回のように水や食料を持参する必要もあるだろう。
ウベア島では送迎代以外、ほとんどお金を使わなかった。島の人からもお金を稼ごうという気持ちはあまり感じられず、自分が消費するだけの魚を獲ってあとはのんびりするという生活を見ていると、「天国に一番近い島」という表現も理解できる。個人手配の難易度は高く渡航前に準備しておくことも多いが、その困難を乗り越えてでもこの島を訪れる価値はあると感じた。
日本とニューカレドニアを直行便で結ぶエアカランは、5月7日から6月30日までキャンペーン運賃として、大阪/関西〜ヌメア線を37,000円から、東京/成田〜ヌメア線を46,000円からで販売している。対象となる出発期間は5月7日から9月30日まで、諸税は別途必要。
ニューカレドニアは年間を通して温暖で、雨季がないのが魅力。このチャンスに格安で「天国に一番近い島」を体験してみては。
日本人ガイドのマサコさん
TEL:(+687) 97.55.38
Mail:masakoiwamoto1006@hotmail.com
(渡航日:2018年4月)