日本航空(JAL)は、客室乗務員の地上訓練に仮想現実(VR)を取り入れる実証実験を開始した。モックアップを使用する従来の訓練と並行して活用し、訓練全体の効率化とコスト削減を図る。



この訓練では日本の航空会社として初めて、複数の操作者が同時に同一空間上にログインできる「マルチプレイVR」を活用。機内を再現した仮想空間のなかで、最大4人の訓練生が同時に機内業務の動作や手順を学ぶ。訓練に使用するのはパソコンとヘッドセット、コントローラーのみで、インターネット環境のある場所ならどこでも訓練を行える。



今回の実証実験では、ボーイング777-300型機の国内線普通席における出発前の安全確認業務を再現した。訓練生はコントローラーを使って実際に身体を動かしながら、乗客の手荷物収納状況やギャレー設備の確認を行う。また、乗客の座席の背もたれ位置やシートベルトの着用状況は、Google音声認識を利用して声掛けしながら確認。声掛けの内容に応じて乗客がリアクションする。チェックが漏れた箇所には印が表示され、訓練の改善につなげていく。訓練全体の様子はインストラクターがモニター画面で確認しており、各訓練生に対するアドバイスやフィードバックを視覚的に示す。



JALによると、VR訓練の導入により、従来のモックアップ訓練と比較して一人あたりの演習時間が約2〜2.5倍に拡大することが見込まれるという。今回の実証実験は10月30日までの予定で、今後は火災や急減圧などのモックアップ訓練では実施できないシーンを再現するほか、国際線移行訓練などへの導入も検討している。将来的には客室乗務員に支給しているタブレット端末でのVR閲覧を可能にし、モックアップ訓練と合わせて実施することで一層の効率化とコスト削減を図っていくとしている。




▲VR訓練でギャレーのラッチストッパー(固定具)を確認する客室乗務員




▲VR訓練で複数人で同時に客室の安全確認を行う様子




▲VR訓練に用いるコントローラーとヘッドセット



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情報提供元: Traicy
記事名:「 JAL、CA地上訓練にVR活用 効率化とコスト削減図る