ロータリーエンジンが新車ラインナップから無くなり、寂しい思いをしているマニアは多い。そのためもあってか歴代ロータリースポーツの中古車は価格が上がり続けるばかり。そんな今だからこそ、改めて原点であるマツダ・コスモスポーツを見直してみたい。

鮮烈なレッドをまとう1971年式コスモスポーツのオーナーは消防士!

ロケット噴射口のようなテールランプ。

群馬県の「道の駅おおた」で開催されたサンブレフェスタの会場には、国内外のクルマたちが区別なく並んでいた。そんな場合、どうしてもスタイリッシュな輸入車に目が向きがちなもの。ところが真紅の塗装が眩しいコスモスポーツは、輸入車に周囲を囲まれていてもまったく見劣りしていなかった。宇宙をイメージさせるデザインがそう思わせるのだろうが、やはり新車ラインナップから無くなってしまったロータリーエンジンを搭載する量産第一号車としての歴史的価値も大きいのだろう。

L10B型2ローター・ロータリーエンジン。

コスモスポーツは開発段階からモーターショーに参考出品され続け、発売前から話題になった。ロータリーエンジンは「夢のエンジン」と呼ばれたものの、耐久性などに問題があり各社開発を断念していたから、多くの人が市販されないだろうとも思っていた。ところが1967年に発売が発表されると大きな話題となった。コスモスポーツの発売に合わせて、急遽トヨタ2000GTも市販されたのは有名なエピソードだ。




コスモスポーツに搭載されたロータリーエンジンは491cc×2の排気量から110psを発生するL10A型。翌年にはマイナーチェンジされて128psへとパワーアップを果たしている。今回のイベントに参加していたのは、こちらの後期型だ。

スポーツカーらしいインテリア。

7連メーター。

コスモスポーツのオーナーは地元・群馬県在住の殿岡さん。コスモスポーツといえば白が圧倒的に多いから、なぜ赤を選ばれたのかお話を聞けば「仕事柄です」とのお答え。ご職業を聞けば消防士さんなのだそう。なるほど納得のボディカラーなのだ。




実にこのクルマ、今年長野県で開催された旧車イベントで長野市長賞を受賞されたそうで、どこからみても抜群のコンディション。ボディは下回りまでサビひとつなく、エンジンも完全にオーバーホールされている。それが可能だったのは、地元・群馬県には「ガレージ・スターフィールド」という専門店が存在するから。聞けばやはり同店でレストアされていた。

千鳥格子柄のシート。

左右シートの間に配置される純正クーラー。

レストアされてキレイなのは室内も同様。コスモスポーツの特徴のひとつである千鳥格子柄のシートもしっかり張り直されているので、とても50年以上前の車には見えないコンディション。そのシートの間に黒い箱が置いてある。これは後期型からオプション設定された当時の純正クーラーなのだ。




デリケートと評されることが多いL10型ロータリーエンジンだから、完調を保っていないとクーラーを使うのは難しい。ところが真夏のような暑さでも涼しく運転できるという。




オーナーの殿岡さん、実はコスモスポーツ以外にも複数の旧型商用車をお持ちだとか。消防士さんで商用車好きなのにコスモスポーツを選ぶとは、やはり普通のスポーツカーにない魅力を感じられているのだろう。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 世界初の量産ロータリーエンジン搭載車。伝説のマツダ・コスモスポーツ登場!