AMP: Automated Mapping Platform
ECSW: Entering Curve Speed Warning
ビジネスに使われる商用車では、技術の高さとコストとのバランスが重要である。両社はこのたびの共同研究を通じて、目指す機能の実現はもちろん、必要な地図の精度と導入にかかるコストの最適なバランスを見出すことも目的としている。
両社はすでに10以上の潜在対象領域をリストアップしており、まずECSWの実証に着手する。その後、取り組みの領域を順次広げていく予定。
三菱ふそうトラック・バス 副社長 開発本部長 安藤寛信氏は「当社は、高度運転支援技術、またその先に位置する自動運転技術を、商用車のさらなる安全を実現する、非常に重要なものと位置付けています。これらの技術が近い将来、欠かせないものとして広く浸透することを信じ、日々開発に取り組んでいます。ウーブン・アルファのAMPは、その重要なピースとなる可能性を秘めています。同社との共同研究は、相互にメリットの大きいものと信じており、双方の知見を最大限に交わしながら、さらに安全な社会をつくるため、歩みを進めてまいります」と述べた。
また、ウーブン・プラネット・ホールディングスAutomated Driving Strategy and Mapping Vice President マンダリ・カレシー氏は「商用トラックとバスのメーカーであるMFTBCとの共同研究に着手し、安全な商用車と物流の実現に貢献できることを大変嬉しく思います。私たちは、単に人とモノを移動させるだけでなく、ドライバーへの負荷を軽減し、人々の命を守るソリューションの提供をめざしています。低コスト、高精度、自動かつ高頻度での地図更新を可能にするAMPの開発を通し、グローバル規模であらゆるメーカーとの協業に取り組んでいきます。今回の共同研究は商用車における安全性を最大化させるための取り組みであり、今後もAMPを用いてパートナーと協業することで、更なる価値を提供していきます」と述べた。
MFTBCは、ドライバーや歩行者をはじめ、交通に関わる全ての人に対して安全を届る。そのための取り組みの一つとして、ダイムラートラックグループ内のグローバルな協業のもと、高度運転支援技術の開発に先進的に取り組んでいる。
MFTBCは2019年に、商用車メーカーとして国内で初めてSAE(自動車技術会)が定める運転自動化レベル2相当の高度運転支援機能「アクティブ・ドライブ・アシスト」を搭載した大型トラック「スーパーグレート」を発売した。2021年6月に発表した新型モデルでは、商用車で国内初となる車線内停止方式の「エマージェンシー・ストップ・アシスト」を新たに追加し、さらに進化した高度運転支援機能を大型トラックで実現した。
今後も、これまで以上の安全を実現するために、これらの高度運転支援技術のさらなる改良に加え、SAEレベル4の自動運転技術の開発を進めていく。
AMPは、様々な企業から提供される車両や衛星画像等のデータを活用して高精度の地図を生成し、ユーザーに提供するクラウドソース型のオープンなプラットフォームだ。AMPで生成される高精度地図は、道路上の車線や交通標識、信号等の位置情報に加え、カーブなどの道路形状も含み、これらの情報の更新頻度を高めることで、より安全な自動運転および先進運転支援技術を搭載したモビリティの実現を支える。また、AMPにより高精度な地図をグローバル規模で展開することを目指す。
ECSWは、車両が急カーブに進入する際、ドライバーが安全な速度に落とせるよう、十分な余裕をもって警告を与えるシステムである。商用車の車両状況と、これから進入するカーブの曲率や現在の走行速度とを照らし合わせて、適切なタイミングでドライバーに急カーブへの進入を予告し、十分な減速を促してくれる。これにより、カーブでの横転や対向車線へのはみ出しなどを防ぎ、安全運転の向上に貢献する。
ECSWには、車両の状況を感知するシステムだけでなく、車両の走行ルートを詳細に予知する地図技術が不可欠だ。今回の共同研究では、MFTBCの大型トラック「スーパーグレート」を用いて、AMPを用いた本装置を実証する。