マツダのコンパクトカー、MAZDA2が商品改良を受けた。注目は、ガソリンエンジンだ。SKYACTIV-X譲りの技術で1.5ℓ直4エンジンを改良。燃費が大きく向上している。また特別仕様車「Sunlit CItrus(サンリット シトラス)が追加された。

追加されたMAZDA2特別仕様車Sunlit CItrus

今回の注目は1.5ℓ直4ガソリンエンジンのSKYACTIV-G1.5の改良である。




現在のMAZDA2のパワートレーンは


ガソリン:1.5ℓ直列4気筒DOHC(SKYACTIV-G1.5)


ディーゼル:1.5ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ(SKYACTIV-D1.5)


で、それぞれ6速MTと6速ATを組み合わせる。




今回大きく改良されたのは、ガソリンエンジンだ。




現在のMAZDA2のガソリンエンジンは

SKYACTIV-Gは、4本の排気管をまず2本にし、その後1本に収束させる4-2-1排気管システムを採る。これにより排気が合流するまでの距離を確保して燃焼室への反射波の影響を減らし、掃気効果を高めて効率のよい燃焼を可能にした。

SKYACTIV-G1.5(改良前)


エンジン形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC


エンジン型式:SKYACTIV-G1.5(P5-VPS型)


排気量:1496cc


ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm


圧縮比:12.0


最高出力:110ps(81kW)/6000rpm


最大トルク:141Nm/4000rpm




改良を受けて、次のスペックになった。

SKYACTIV-G1.5(新型)


エンジン形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC


エンジン型式:SKYACTIV-G1.5(P5-VPS型)


排気量:1496cc


ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm


圧縮比:14.0


最高出力:110ps(81kW)/6000rpm


最大トルク:142Nm/3500rpm




最高出力は、110ps/6000rpmで変わらないが、最大トルクが1Nm向上し、発生回転数が4000rpmから3500rpmへ下がっている。


注目は圧縮比だ。


12.0→14.0と2.0も上がっている。

圧縮比14.0は、マツダがSKYACTIVテクノロジーで世界をアッと言わせたときの数字だ。


当時は、ガソリンもディーゼルも14.0で、ガソリンは「レーシングエンジン並みの高圧縮比」ディーゼルは「際だって低い圧縮比」だった。




ガソリンエンジンの圧縮比14.0は、ハイオクエンジン仕様のもので、国内のレギュラーガソリン仕様は13.0だった。当時は「燃料をハイオクからレギュラーにしたことで、圧縮比が1.0下がります」という説明だった。




今回のSKYACTIV-G1.5の圧縮比14.0はレギュラー仕様での数字だ。

マツダ独自技術Diagonal Vortex Combustionの採用

マツダには、SPCCI燃焼を実現したSKYACTIV-Xエンジンがある。こちらは、デビュー当初、欧州仕様が16.3、日本仕様が15.0という常識破りの高圧縮比を実現した。現在は、日本仕様、欧州仕様ともに15.0に揃えられている。




改良を受けたMAZDA2のSKYACTIV-G1.5には、SKYACTIV-X(現在はe-SKYACTIV-Xと呼ぶ)のエンジン制御技術が投入されている。




Diagonal Vortex Combustion(ダイアグナル・ボーテックス・コンバスチョン=斜め渦燃焼)と名付けられたマツダ独自技術を使うことで、圧縮比を12.0から14.0へ高めた。

技術の詳細は明らかにされていないが、公開された図版によれば、タンブル流(Tamble=縦流れの渦)でもスワール流(Swirl=横渦)でもなくダイアゴナル(Daigonal=斜め)の吸気の流れに直噴インジェクターから噴霧された燃料を乗せてしっかり混ぜた混合気を作り、燃焼を良化するようだ。




燃焼がよくなることで、燃費性能はWLTCモードで最大6.8%も向上したという。また、アクセル操作に対するクルマの応答性とコントロール性も向上しているという。

燃費は


□従来モデル


15S PROACTIVE(FF 6MT)


WLTC燃費:19.8km/ℓ


 市街地モード 15.8km/ℓ


 郊外モード 20.4km/ℓ


 高速道路モード 21.7km/ℓ




□新型


15S PROACTIVE(FF 6MT)


WLTC燃費:20.2km/ℓ


 市街地モード 16.7km/ℓ


 郊外モード 20.5km/ℓ


 高速道路モード 22.0km/ℓ




ちなみに、最終減速比、トランスミッションのギヤ比は変更はない。




この改良にでSKYACTIV-G1.5・高圧縮搭載車のAT/FF仕様は2030年度燃費基準における減税対象となった。

SKYACTIV-G1.5にもいろいろある

□MAZDA2用低圧縮比仕様(P5-VPS型)

1.5ℓガソリンエンジンのSKYACTIV-G1.5は


□MAZDA2用低圧縮比仕様(P5-VPS型)


圧縮比:12.0


最高出力:110ps/6000rpm


最大トルク:141Nm/4000rpm


使用燃料:レギュラー

□MAZDA2用高圧縮比仕様(新型P5-VPS型)


圧縮比:14.0


最高出力:110ps/6000rpm


最大トルク:141Nm/3500rpm


使用燃料:レギュラー

□MAZDA2 15MB(モータースポーツベース用P5-VPS型)

□MAZDA2 15MB(モータースポーツベース用P5-VPS型)


圧縮比:14.0


最高出力:116ps/6000rpm


最大トルク:149Nm/4000rpm


使用燃料:プレミアム

□MAZDA3 FB用(P5-VPS型)


圧縮比:13.0


最高出力:111ps/6000rpm


最大トルク:146Nm/3500rpm


使用燃料:レギュラー

□ロードスター用(P5-VP[RS]型)

□ロードスター用(P5-VP[RS]型)


圧縮比:13.0


最高出力:132ps/7000rpm


最大トルク:152Nm/4500rpm


使用燃料:ハイオク




が、存在する。




マツダのエンジンラインアップのベースラインを支えるSKYACTIV-G1.5への改良の手を緩めない開発陣にも拍手を贈りたいし、モデル末期に近づいているMAZDA2にそれを載せてくるのもマツダらしい、と言える。



情報提供元: MotorFan
記事名:「 圧縮比14.0へ。エンジンまで手を入れたMAZDA2、デビュー。