アメリカンエンジンといえばV8——という印象だが、実のところ大勢を占めるのはV6勢。クライスラーブランドでコアユニットとして活躍するV6エンジンの特徴をご紹介しよう。

クライスラーPENTASTARは、ジープ・グランドチェロキーの搭載エンジンとして2010年に登場。4.7ℓV8エンジンを上回るパワーと、優れた燃費性能を併せ持つ。




シリンダーブロックは鋳鉄製スリーブを鋳込むかたちで高圧鋳造されたアルミ合金製。各バンクに2本のカムと1気筒あたり4本のバルブを配置したシリンダーヘッドも同様にアルミ合金製だが、これに組み合わされるヘッドカバーは樹脂製。チェーンで駆動されるカムシャフトには吸排気それぞれのタイミングを任意に変更することが可能なデュアルVVTが装備される。

ちなみにカムシャフト駆動用のチェーンはそれぞれのバンクで独立しており、クランクシャフトからアイドラーを経て2本に分配。さらにオイルポンプ駆動用にも独立したチェーンを持つため、全部で4本のチェーンが用いられる。




2016年に大幅刷新、吸排気VVT(可変バルブタイミング機構)およびESS(アイドリングストップ機能)はそれまでも実装されていたが、それに加えて2ステージの切り替え式可変バルブリフト機構を装備、EGRの導入とあわせて(水冷式EGRクーラも実装した)低負荷域でのポンピングロス低減に努める。VVTの作用角も、それまでの50度から70度へと拡大された。これらにより、圧縮比を11.3まで上げ、効率を高めている。吸気マニフォールド/インジェクタも新設計とし、点火コイルも強化を図った。

水冷式のEGRクーラ。ヘッド内蔵の排気マニフォールドの様子もうかがえる。

補機類の配置を変更することで、縦置き横置きのどちらにも対応することが可能という自由度の高さも特徴のひとつ。下左の縦置き配置の4WDパワートレーンはJeepグランドチェロキーのもので、上右はクライスラー200に用いられる横置きFFレイアウト。

■ PENTASTAR


気筒配列 V型6気筒


排気量 3604cc


内径×行程 96.0×83.0mm


圧縮比 11.3


最高出力 213kW/6400rpm


最大トルク 347Nm/4000rpm


給気方式 自然吸気


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 ロッカーアーム


燃料噴射方式 PFI


VVT/VVL In-Ex/◯


(ジープ・グランドチェロキー)
情報提供元: MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | ジープが搭載する高機能自然吸気V6エンジン[PENTASTAR]