・GNSS(※)測位情報と、ユーザーの足元の動作データから、視覚障がい者向けの誘導情報を生成
・白杖を持つ手、周囲の音を聞く耳を邪魔せず、足への振動でナビゲーションを行う
・足の神経層に合わせた振動子の配置とし、振動を感じやすい
・本体には柔らかく、形状を保てる素材を採用し、靴の中に入れても違和感が少ない
※Global Navigation Satellite Systemを指し、衛星測位システムの総称
ロービジョン(※)を含めた日本の視覚障がい者数は、2007年時点で164万人と推定されており、2030年には200万人近くまで増加すると予測されている。視覚障がい者はひとりで外出する際、安全とルートの確認を繰り返し行っている。しかし、情報取得は限られた感覚機能で行うため、どうしても注意が行き届かずに「道に迷う」、「不安全に陥る」などの機能的課題が発生する場合がある。
※「【日本眼科医会研究班報告 2006~2008】日本における視覚障害の社会的コスト」において、「よく見える方の眼で、矯正視力が0.1を超えるが、0.5未満」と定義されている
また、これらの課題により「視力に問題がなく、自由に歩いていた時のことを思い出して悔しい」(ロービジョン、中途失明者)、「道に迷った時、周囲の人に話しかけても無反応なことがあり、なぜ無反応なのか理由がわからず怖い」(全盲、中途失明者)といった心理的な課題にもつながっていることが、開発者によるヒアリングで見えてきた。
「あしらせ」は、「視覚障がい者がより安全に、気持ちに余裕が持てるナビゲーション」をコンセプトに、目的地までより安全に移動でき、自立に繋がるプロダクトを目指している。
このたびの発表に際して、株式会社Ashiraseの千野歩 代表取締役は次のように述べている。
「身内の事故をきっかけに、視覚障がい者のより安全で自由な移動を実現したいと活動を始めました。『あしらせ』を開発し、ホンダの新事業創出プログラム『IGNITION』に挑戦して、今回、株式会社Ashiraseの起業に至りました。『あしらせ』の発売に向けて、これからたくさんの壁にぶつかることになると思いますが、一つひとつ乗り越え、視覚障がい者の自由な移動の実現に向けて、全力でチャレンジしていきます」