現在、市場にある後輪転舵システムは、適用することで、ホイールベースが長い大型車両においても最小回転半径を小さくするとともに、走行安定性を高め、安全な走行を可能にする。しかし、これらの既存の後輪操舵システムは大型な上、高級車に採用されるマルチリンク方式など一部の懸架装置のみに適用が限定されているほか、構造上大きな転舵角をとることが困難とされている。
NTNが今回開発した「Ra‐sHUB」は小型で、後輪の懸架装置の種類を選ばず、従来のハブベアリングと同様にさまざまな車両への搭載が可能。トーションビームなどのリンク機構が無い懸架装置で後輪転舵するためには、大掛かりな車両の設計変更が必要だが、「Ra‐sHUB」は比較的容易に搭載でき、あらゆる懸架装置の車両において後輪転舵を実現する。
・ 後輪の角度を左右独立して制御
・ あらゆる懸架装置に搭載可能
・ コンパクトな構造
・ 高剛性、高応答性
・ 大きな転舵角(±10°)
「Ra‐sHUB」は、これらの特長を生かし、車両の情報をもとにタイヤの転舵角度を左右別々に制御することで、車両のコーナリング性能や高速直進時の安定性の向上に貢献する。また、タイヤの走行抵抗を抑えることで、燃費改善にも貢献する。今後、自動運転技術の開発や普及が進めば、車両運動制御はさらなる高精度化が必要とされるほか、より高い安全性を求めて後輪転舵へのニーズや後輪転舵角度の拡大が見込まれる。
なお、本開発品は5月26日〜7 月30日に開催される「人とクルマのテクノロジー展2021 オンライン」に出展されている。