REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) 取材協力●HVファクトリー https://hvfactory.com/
2021年5月現在、道路交通法施行令において、排気量50cc未満の原付一種は最大積載重量が30kg以下、51cc以上の自動二輪車は60kg以下、ミニカーは30kg以下に定められています。 しかしミニカーに該当する、超小型EV(電気自動車)の「コムス」を発売するトヨタ車体が、警察庁に「昨今のデリバリー業務の需要急増に伴い、ミニカーの最大積載量を100kg程度にして欲しい」と要望。 これに対し、警察庁所管の自動車安全運転センターが2018年9月、走行実験を実施。実験の結果、90kg超を積載した場合でも、走行安定性やブレーキの制動性などに問題がなかったため、重量制限を緩和するに至りました。 警察庁は意見募集を経た上で、道路交通法施行令を改正し、ミニカーの最大積載量を30kgから90kgに変更。2021年6月28日施行を目指します(2021年4月24日、警察庁公表)。
各アフターパーツメーカーからは、300L(冷蔵庫並)の容量を誇るジャイロキャノピー用デリバリーボックスもラインナップ。HVファクトリーからは、容量270Lがリリースされています。 縦長形状の大容量デリバリーボックスは、主に都市部のクリーニング屋さん(スーツなどを引っ掛けて利用)、植木屋さん、花屋さんなどが配達用として利用。 これらの大容量デリバリーボックスのポイントは、「縦に長い物」も積載・移動できること。まるで本棚のように内部に棚が設置できるタイプもあり、用途に合わせて自由に選べるのがポイントです。
HVファクトリーによれば、縦長の大容量デリバリーボックス装着車は、横風をもろに受けやすく、特に風の強い日はハンドリングが不安定になりやすいので注意が必要。また、荷物をフルに積んだ状態=後ろが重すぎると、走行中にフロントが浮いてしまうこともあります。 ヘビーな荷物を頻繁に乗せるジャイロキャノピーやジャイロXは、乗り心地や操作性が悪くなってくるなど、「前後のサスペンションがへたってきたな」と思ったら、できるだけ早く新品のショックアブソーバーに交換しましょう。 ユーザーの中には、ジャイロシリーズにかなりヘビーな荷物を載せて走る人が多いのも事実(仕事をする上では、毎度積載重量を測っている暇や余裕がなどない等が主な理由)。 ジャイロシリーズはヘビーな荷物を載せて走ることを想定し、頑丈な車体に設計・製作されていますが、 ・49ccの小排気量エンジンであること ・構造的に二輪スクーターより車重、総重量が重く、各部に負荷がかかりやすい という特徴があります。そのため、常にフルスロットルの走行を続けるなど、“荒っぽい乗り方”を長期間継続すると、当然ながらエンジンや足周りが傷みやすい(2万km程度で不具合が出る場合も)。「元々は原付一種である」ことを前提に、優しく取り扱ってあげることも大切です。
HVファクトリーには、ミニカー登録したジャイロに、「魚釣り用の大きなクーラーボックスを、横向きに2個(120L×2個)積みたい」という要望もありました(釣り場によっては路上駐車の取り締まりが厳しい場所もあり、車体の小さなジャイロは重宝される)。 自動車扱いとなるミニカーの場合、道路運送車両法で「全長+10%を超えてもいい」と規定されるなど、原付一種よりも積載方法が、やや緩いのが特徴。そのため、魚釣り用の大きなクーラーボックスも、横向きに2個積むことができたそう。 HVファクトリーには、「ミニカー登録したジャイロキャノピーの屋根に、全長をやや超えるサーフボード(ショートボード)を乗せる仕様にしたい。加えて12VのDC電源を設置し、リヤ部にシャワー装置を搭載できるようにして欲しい」という依頼もありました。ミニカーならば、合法的に製作可能です(ただし積載量には制限あり)。 ジャイロシリーズを知り尽くしたHVファクトリー(神奈川県横浜市)では、各ユーザーの要望に対し、法律の範囲で収まる大きさや重量を適切にアドバイス。「自分流のジャイロに仕上げたい!」という人は、一度相談してみては?