さて、今回はいよいよベスパの通過儀礼とも呼べるワイヤーの交換と調整作業だ。面倒だし手や工具がグリスまみれになるしで、できればやりたくない作業なのだが、そうも言っていられない。まずはスロットルワイヤーを接続しよう。
上写真のアウターワイヤー下にあるプラスチック部品はワイヤーのガイドになるモノ。これを右写真のようにライトケース下から差し入れてワイヤーを通すのだ。これがないとスムーズな操作ができないだろうし、ワイヤー切れの原因にもなる。紛失に注意だし組み立てる時にはしっかり清掃してあげよう。
続いてクラッチレバーを取り付ける。その前にレバーを磨いてみたのが左写真。上が磨く前で下が磨いた後だが、いかがだろう。スポンジ状の食器磨きとピカールで15分ほど頑張ってみた結果だ。
クラッチレバーとクラッチワイヤーを接続するが、レバーとワイヤーの間にタイコ部品を使うのを忘れずに。ワイヤーはライトケース内を通るため先端が小さく設計されているためだ。P125Xではこのワイヤー先端にタイコ部品を被せてレバーと接続する。レバーの穴やワイヤーが通る部分にはグリスをたっぷりと塗ってあげよう。 レバーを固定するボルトはライトケース内に3枚のワッシャーを入れてから締め込む。スプリングワッシャーもあるため、順序を間違えないようにしたい。
レバーを接続したらエンジン側でクラッチワイヤーの張り調整を行う。なくても可能だが、あると便利な工具を紹介しよう。それが上写真のインナーワイヤープライヤーと呼ばれる工具だ。ワイヤーを工具の押さえ部分(左上)に挟んでグリップを握るとワイヤーを引っ張ることができる。 右写真のようにインナーワイヤープライヤーを使ってエンジン下にあるワイヤーを引っ張り、ワイヤーに取り付けた末端金具を締め込むとワイヤー調整ができるのだ。ただ、最終的にエンジンを始動して再調整するのが無難だろう。
続いては難関のシフトワイヤーだ。以前にアウターごとボディへ通していたものの、まだグリップにつなげていなかったので、早速進めよう。まず下側のシフトダウン用ワイヤーをつなげる。ここにもスロットル同様にプラスチックの受け部品があるので忘れずに。 ダウン側を通したら次はシフトアップ側も同じ手順で接続する。グリップ側の受け皿とワイヤー先端にはグリスをたっぷりと塗り込んでおくこと。グリスが足りないとここでカンタンにワイヤーが切れて泣きを見ることになる。
またボディ側へ移動してシフトボディにインナーワイヤーを取り付ける。この時、シフトボディ手前へアウターワイヤーの受け部品をねじ込むこと。狭い場所なので奥側から進めるとスムーズに作業できる。 シフトボディ内でギザギザに切り欠きがあるプレートの上に載っているのは、インナーワイヤーの末端金具。これをワイヤーへ通してプレートの受け部分にはめ込むのだ。
シフトダウン側のワイヤーをプレートの奥側へ取り付ける。続いてシフトアップ側をプレート手前の受け部分に取り付ける。これで終了ではなく、ここからが面倒。またインナーワイヤープライヤーを使って、まずはダウン側のワイヤーを張る。続いてアップ側のワイヤーも同様の手順で張る。この時、ライトカバーのアッパー部分を載せて左グリップにあるニュートラルの印とカバー側の印の位置が合うかどうか、何度か調整する。 これがまぁ、面倒臭い。何度か調整してスムーズにシフトができるようになればひとまず大丈夫。後はエンジンを始動して操作しながら調整する。
続いてフロントブレーキワイヤーも取り付けよう。まずフロントブレーキレバーをクラッチレバーと同じ手順でライトケースへ装着する。今回はインナーワイヤーだけ新品に交換することにしたので、先にインナーワイヤーをアウターに差し入れてからレバーと接続した。 レバーを取り付けたらブレーキ側に回ってワイヤーを張ろう。ワイヤーをカムの金具に挟むようにして固定する構造で、カム金具の間には穴の開いたボルトが入る。このボルトの穴へワイヤーを差し入れて金具を挟み込むのだ。注意点はボルトを奥側から入れること。始め手前からボルトを入れてナットと締めたらワイヤーが共回りして曲がってしまった。ナットが右写真のように手前に来るようにすること。 ここまで半日がかりの作業になったが、ここまで来れば気がラクになった。次回は電装系を装着しよう。