グランプリに選ばれた「Portable Solar Distiller」は、太陽光を活用して汚染された水や海水を蒸留し、きれいな飲料水をつくりだす作品。現地で調達可能な素材を使用し、高度な技術を必要としないアイデアは、飲料水の確保が困難な人々に寄り添うものだ。また、折りたたんで持ち運び可能で、広げて設置した際には人々が集い日差しを避けるためのコミュニティ建築の役割も果たす。
審査員を務めたグレッグ・リン氏は次のようにコメントしている。
「メンターシップや周囲の協力もあり、今回のレクサス・デザイン・アワードも素晴らしいアイデアが集まりました。グランプリを受賞したヘンリーは、応募時のアイデアから最終提案までの進化が目覚ましく、大いに驚かせてくれました。一貫した想いを持ち、作品によってもたらすことのできる影響の大きさや社会的な役割を模索し続けた頑張りは、とても立派でした。プロトタイプ制作のプロセスで、デザインはより明確になり、機能性をもち、そして誰にでも開かれたものになっていきました。実装可能なプロトタイプを作り出す力はデザイナーにとって重要ですが、ヘンリーのプロトタイプはただの製品や器具ではなく、インフラを折り畳んで持ち運ぶことを可能にしたという点において、ポテンシャルの高さを感じさせました」
なお、入賞者6組には、「レクサス・デザイン・アワード2013」の受賞者で、現在は日本と英国でデザイナーとして活躍するTangent吉本英樹氏によりデザインされたトロフィーが贈られた。
●「レクサス・デザイン・アワード」
2013年に創設されたレクサス・デザイン・アワードは、世界中の新進気鋭のクリエイターに焦点を当てる国際デザインコンペティション。より良い未来を形成する力を持った作品を制作するデザイナーやクリエイターを支援することによって、社会に貢献するアイデアを育むことを目的としている。同賞は、世界的に認知された一流のデザイナーをメンターとして、提案したデザイン案のプロトタイプ化に取り組む貴重な機会を6組の入賞者に提供する。
生物の細胞の接合から着想を得た新しい梱包材で、ピースを組み合わせることで、さまざまな形状に変化させることができる。何度でも組み替えて再利用でき、アイデア次第で小物やインテリアなど、梱包材以外の用途にも活用できる。
パンデミックの時代における、“人が存在すること”がもつ意味を探求し、ひとりでいることによる不安や精神的なストレスを和らげようとする。このデバイスが愛する人の鼓動を反映し、精神的なサポートや人と人とのつながりを促す。
人前や公の場での精神的な不安感(パニック障害、社交不安障害など)に苦しむ人を支援するためのスマートフォンカバーとアプリ。音楽のリズムに合わせて、カバーの特定の部分に触れることで、今置かれている状況から意識をそらし、気持ちを落ち着かせることができる。
日常生活で用いる繊維に、ジェスチャーや音、触覚に反応する機能を組み込むことで、触覚やジェスチャーに反応して音楽を奏でることができる布や、ダンスと音楽が共鳴するインタラクティブなカーペットなどを制作。
太陽光を活用して汚れた水や海水を蒸留するためのソリューションで、高度な技術を必要としないようデザインされている。新鮮な水を提供すると同時に、人々が集い日差しを避けるためのコミュニティ建築の役割も果たす。軽量で多様な構造は、地域の環境や人々のニーズに応じて多様な素材、方法で制作することができる。
テラコッタ素材による気化熱を利用して夏場の地下鉄駅構内を冷却させるシステムで、エネルギー消費の削減に貢献。安価で入手しやすく、水分を素早く蒸発させるテラコッタの特質と、列車がホームに入ってくる際に発生する風力という、これまで利用されていない資源に着目した。