TEXT●森口将之(MORIGUCHI Masayuki)
コスパの意味の中には、マルチパーパスも含まれると思っている。なので手頃な価格で買えるスポーツカーなどではなく、適度なサイズでいろいろ使える車種を選んだ。まず第3位はプジョー308SW アリュール ブルーHDiだ。
ディーゼルエンジンを積んだステーションワゴンは、多くの荷物を積んで長距離を快適かつ経済的に走れる。しかも308SWはホイールベースをハッチバックより長くしているからキャビンは広大。乗り心地も一段とゆったりしている。
加えて1.5リッターのディーゼルターボエンジンが素晴らしい。ディーゼルとは思えない軽やかな回りっぷりと、ディーゼルならではの粘り強さ、経済性を併せ持つ。最新型は先進運転支援機能も充実。乗り心地の良さともども、遠くへ行きたいという想いを叶えてくれる存在だ。
マツダ3ファストバックは発売から2年が経とうとしているので、あちこちで目にするけれど、今でも出会うたびにドキッとする。こんなにかっこいいデザインのクルマが日本車の量産車で、200万円台前半スタートというのは驚くべきことだ。
もちろんマツダ3にはディーゼルエンジンやスカイアクティブXもあるけれど、個人的な推しは、もっとも安い1.5リッターのガソリン車。ロードスターにも集まれるエンジンの軽快な回りっぷりが爽快だし、望めばマニュアルトランスミッションも選べる。
素晴らしいデザインには、それに見合った高度なメカニズムが欲しいというユーザーもいるだろう。でも僕は逆に、この素晴らしいボディをベーシックなメカで走らせることが、むしろ面白いと思っている。
1位はやっぱりこれ。いまだにルノーの看板車種として親しまれ、同じフランスのプジョーやシトロエンからの刺客さえ呼び寄せてしまったカングーだ。
12年前に現行型にモデルチェンジしたときは、全幅が一気に拡大したことに驚いたが、癒し系のデザインは受け継がれていたし、ユーザーにはプラスに映ったようだ。当初の1.6リッター自然吸気エンジンと4速ATは、途中で1.2リッターターボと6速デュアルクラッチにアップデート。このパワートレインは2ペダル需要が大きい日本のために開発されたという話を聞いて、ますます好きになった。
ブランス車伝統の乗り心地の良さを受け継ぎつつ、見た目からは想像できないハンドリングを披露するところも高評価。しかもクルマを通して新しいライフスタイルへと導いてくれる。本当にみんな、楽しそうに使いこなしている。本国で発表された新型も気になるけれど、その前に現行型を全力で評価しておきたい。
『プロが選ぶ最強のお買い得車』は毎日更新です!
予算に限りがある庶民にとって、車選びの際にこだわりたい要素が「コストパフォーマンス」。つまり、その車がお買い得かどうか、ということ。ただ安ければいいというわけではありません。ポイントは「値段と性能が釣り合っているか」。だから、価格が安い軽自動車だからコスパがいいとは限りませんし、1000万円以上のスーパーカーだってその価格に見合う機能や魅力があればお買い得と言えます。
というわけで、自動車評論家・業界関係者といった「クルマのプロ」たちに、コストパフォーマンスが高い「お買い得」な新車を3台ずつ、毎日選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。