TEXT●諸星陽一(MOROHOSHI Yo-ichi)
日本で日本車に乗るというのはじつにコストパフォーマンスが高いことです。世界中の人が「日本のクルマが欲しい」と言っているなか、手軽に日本車が手に入るのはなんともうれしいことだと私は考えます。魅力あるクルマがリーズナブルに手に入ることは本当に素晴らしいことだと思います。
さて、第一に候補としてあげたいのが、スズキ・スイフト、なかでもスイフトスポーツです。
かつては各社からホットハッチと呼ばれるコンパクトでスポーティに走れて、リーズナブルなモデルがたくさん発売されていたのですが、今はそうしたクルマも数少なくなってしまいました。スイフトスポーツは1リットルあたり100馬力を超える、140ps/1.3リットルの4気筒ターボエンジンを搭載するモデルです。
スイフトスポーツの魅力はとにかくキビキビと走ること、この一言に尽きます。ACCやカーテンエアバッグ、誤発進抑制機能などを装備するモデルで6MTが201万7400円、6ATが208万8900円と価格はほぼ200万円で、現実味にあふれています。
もう1台、忘れてはならないコンパクトハッチがあります。それはトヨタ・GRヤリスのFFモデルであるRSです。
価格は265万円なので絶対値としては高いと思います。しかし、今回のお題は「コスパ」ですから、見逃すわけにはいきません。GRヤリスの上位モデルは1.6リットルで272psを発生する3気筒ターボエンジンを搭載するモデルです。駆動方式はアクティブトルクスプリットで、最上級のハイパフォーマンスにはトルセンLSDも組み合わされます。この最上級RZ"ハイパフォーマンス"は456万円となります。内容を見ればこのハイパフォーマンスもコスパはバッチリです。
それでありながらあえてRSのコスパを推したいのです。RSのエンジンは1.5リットルの3気筒でミッションはCVT、駆動方式はFF...つまり中身は普通のヤリス。しかし、ボディが異なるのです。
GRヤリスRSのボディはRZ"ハイパフォーマンス"と同様の高剛性ボディやカーボンルーフ、アルミボンネット、ドアなどで構成されています。ボディが圧倒的に勝っているモデルは素晴らしい走りをしますし、チューニングを進めていってもボディ補強などを行わずに済みます。素材として素晴らしいという面も含めて、GRヤリスRSをノミネートします。
今、人気のジャンルといえばなんといってもSUVです。SUVのなかでバツグンのコストパフォーマンスを誇っているのがダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズです。
グレードはロッキー「G・2WD(200万2000円)」とライズ Z・2WD(206万円)です。両車の価格差はライズには革巻きステアリングが装着されるなどが要因です。最近のクルマはエアバッグの関係で購入後にステアリングを交換することが難しいので、革巻きステアリングが装着されているライズのほうがおすすめかもしれません。
ほぼ200万円で人気のSUVが手に入るのはかなりのお買い得感があります。それに加えて、ロッキー&ライズはエンジンが996ccで1リットルを切ること、FFのこのグレードなら車重が最大980kgで1トンを切ることです。自動車税が1リットルを超える、重量税が1トンを超えると1クラス上がりますので、諸費用面でも優位性があります。
本当はタイヤが16インチとなるモデルのほうが、タイヤ交換時の費用を抑えられるのでおすすめなのですが、16インチタイヤ仕様はACC(アダプティブクルーズコントロール)を装備していないのです。もし、ACCが不要という方は16インチタイヤのグレードを選んだほうが、後々の費用を抑えられます。
『プロが選ぶ最強のお買い得車』は毎日更新です!
予算に限りがある庶民にとって、車選びの際にこだわりたい要素が「コストパフォーマンス」。つまり、その車がお買い得かどうか、ということ。ただ安ければいいというわけではありません。ポイントは「値段と性能が釣り合っているか」。だから、価格が安い軽自動車だからコスパがいいとは限りませんし、1000万円以上のスーパーカーだってその価格に見合う機能や魅力があればお買い得と言えます。
というわけで、自動車評論家・業界関係者といった「クルマのプロ」たちに、コストパフォーマンスが高い「お買い得」な新車を3台ずつ、毎日選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。