また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2009年10月に発売されたホンダの5ナンバー1BOXミニバン「ステップワゴン」の四代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●本田技研工業
ホンダは2005年5月に発売した三代目ステップワゴンで、新開発の低床・低重心プラットフォームを採用するとともに、60mmの低床化、40mmの低重心化、75mmの低全高化、45mmの全長短縮を行うなど、ダウンサイジングを大胆に敢行。
同時に二代目と同等レベルの室内空間を確保したと主張したものの、FF車で1770mmという1BOXミニバンらしからぬ低い全高に加え、ウェッジシェイプデザインを採用したことによるサイドウィンドウ縮小の影響も大きく、競合他車に比べて開放感に乏しい室内空間となってしまった。
そうしたこともあってか、両側リヤスライドドアを採用しなかった二代目に続き、三代目ステップワゴンはわずか4年の短命モデルに。その失地挽回を図るべく、2009年10月にデビューした四代目ステップワゴンは、三代目の低床・低重心設計を踏襲しつつ全長を50mm、全高を45mmアップ。よりスクエアなボディ形状とし、サイドウィンドウも上下に拡大した、背高パッケージに回帰している。
また、3列目の格納機構が左右跳ね上げ式から床下格納式に変更されたことで、格納時には床面がフラットになるうえ、荷室上部の幅が大幅に拡大された。
その一方で、エンジンはR20A型2.0L直4、トランスミッションはFF車がCVT、4WD車が5速ATのみに集約。10・15モード燃費はFF車が13.8~14.2km/L、4WD車が12.6km/Lと、三代目デビュー時より1km/L以上改善されている。
では、そんな四代目ステップワゴンがどのように進化していったのか、モデルの変遷を以下に記す(価格はいずれも発表時点のもの(当時の税率における消費税込み))。
標準仕様のほか、内外装のみならずFF車の足回りもスポーティに仕立てたエアロ仕様の「スパーダ」を設定。グレード構成および価格は下記の通り。最上級グレード「Li」および「Zi」にはHonda HDDインターナビシステム+マルチビューカメラシステムおよびACC(アダプティブクルーズコントロール)が標準装備される。
<標準仕様>
G(FF/4WD)…208万8000円/235万8000円
G・Lパッケージ(FF/4WD)…225万7000円/252万7000円
L(FF/4WD)…240万8000円/265万8000円
Li(FF/4WD)…320万8000円/345万8000円
<スパーダ>
S(FF/4WD)…245万8000円/272万8000円
Z(FF/4WD)…261万8000円/286万8000円
Zi(FF/4WD)…334万8000円/359万8000円
<標準仕様>
G(FF/4WD)…208万8000円/235万8000円
G・スマートスタイルエディション(FF/4WD)…234万円/261万円
G・HDDナビスマートスタイルエディション(FF/4WD)…255万円/282万円
L(FF/4WD)…243万8000円/268万8000円
Li(FF/4WD)…320万8000円/345万8000円
<スパーダ>
S(FF/4WD)…245万8000円/272万8000円
Z(FF/4WD)…261万8000円/286万8000円
Z・HDDナビエディション(FF/4WD)…282万8000円/307万8000円
Zi(FF/4WD)…334万8000円/359万8000円
FF車をマイナーチェンジ。
標準仕様は新デザインのフロントグリル・バンパーおよびLEDリヤコンビランプ、スパーダは新デザインのLEDアクセサリーランプ内蔵フロントグリルと前後エアロバンパー、プロジェクタータイプのHIDヘッドライトを採用して、いずれもエクステリアの押し出し感をアップ。
インテリアは、標準仕様のセンターパネルやステアリングガーニッシュなどをウォーム系シルバー色とし、ダークグレーのセンターパネルロアなどで落ち着いたテイストに。スパーダのセンターパネルなどをクール系シルバー色とし、ステアリングガーニッシュなどは高輝度シルバー色塗装として質感を高めている。
また、新開発CVTとアイドリングストップを全車標準装備し空力性能を高めることで、「G」でJC08モード燃費15.0km/L、「スパーダS」「スパーダZ」で同14.8km/Lに改善。2列目キャプテンシート仕様のほか、リンクアップフリーに対応したHondaインターナビ+ETC車載器(専用通信機器+通信費無料※6)を新たに設定している。
そのほかグレード構成の見直しが行われ、FF車のラインアップは下記の通りとなった。
<標準仕様>
G…218万8000円
G・Eセレクション…233万1200円
G・インターナビEセレクション…258万3200円
G・コンフォートセレクション…249万8200円
Li…330万8000円
<スパーダ>
S…249万8000円
Z…267万8000円
Z・インターナビセレクション…293万円
Z・クールスピリット…279万6000円
Zi…347万2000円
4WD車をマイナーチェンジ。トランスミッションを従来の5速ATから新開発CVTに変更したほか、FF車と同様の変更を行った。4WD車のグレード構成および価格は下記の通り。
<標準仕様>
G…248万8000円
G・Eセレクション…263万1200円
G・インターナビEセレクション…288万3200円
G・コンフォートセレクション…277万8200円
Li…358万8000円
<スパーダ>
S…279万8000円
Z…295万8000円
Z・インターナビセレクション…321万円
Z・クールスピリット…302万6000円
Zi…370万2000円
Hondaインターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器とグラブレール(運転席/3列目左右)などを標準装備した「G・インターナビコンフォートセレクション」(FF/4WD…275万200円/303万200円)と「スパーダZ・クールスピリットインターナビセレクション」(FF/4WD…304万8000円/327万8000円)を追加した。
「スパーダS」をベースに、両側パワースライドドアおよび左右スライドドアイージークローザーを標準装備した「パワーエディション」(FF/4WD…254万8000円/284万8000円)と、さらにHondaインターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器(ナビゲーション連動)を追加した「インターナビパワーエディション」(FF/4WD…280万円/310万円)を設定した。
ナビ装着用スペシャルパッケージを「G」と「スパーダZi」以外、スーパーUVカットフロントドアガラスを「G」以外、Hondaスマートキーシステムを「G・Eセレクション」と「スパーダS」、セキュリティアラームを「スパーダS」、クルーズコントロールを「G・Eセレクション」「スパーダS」「スパーダZ」に標準装備した。
そのほかグレード構成の見直しが行われ、ラインアップは下記の通りとなった。
<標準仕様>
G(FF/4WD)…218万8000円/248万8000円
G・Eセレクション(FF/4WD)…233万1200円/263万1200円
G・コンフォートセレクション(FF/4WD)…249万8200円/277万8200円
<スパーダ>
S(FF/4WD)…252万円/282万円
Z(FF/4WD)…267万8000円/295万8000円
Z・クールスピリット(FF/4WD)…279万6000円/302万6000円
Zi(FF/4WD)…347万2000円/370万2000円
■ホンダ・ステップワゴンスパーダS(FF)*2009年10月発表モデル
全長×全幅×全高:4690×1695×1815mm
ホイールベース:2855mm
車両重量:1610kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1997cc
最高出力:110kW(150ps)/6200rpm
最大トルク:193Nm/4200rpm
トランスミッション:CVT
サスペンション形式 前/後:ストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:205/60R16 92H
乗車定員:8名
車両価格(当時):245万8000円