REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
カワサキのNinja ZX-10RとNinja ZX-10RRは、Ninja ZXシリーズのフラッグシップモデル。市販車最高峰のロードレース「スーパーバイク世界選手権」において、2015~2020年の6年連続でライダー&マニュファクチャラーズタイトルを獲得したことでも有名。
2021年モデルは、その高いサーキット走行性能をさらに向上。また、川崎重工グループの技術を結集した証として、「Ninja H2」を始めとしたH2シリーズに続き、2021年モデルよりリバーマークも付与された。
・空力性能を約7%向上させた、流線形でレーシーなスタイリング
・ダウンフォースを約17%向上させた一体型ウイングレット装備のカウリング
・軽量コンパクトな新型のLEDヘッドライト
・よりコンパクトな形状としながらも、前モデルと同じ効率を維持するラムエアインテーク
・スーパーバイク世界選手権参戦マシンからのフィードバックに基づく、空冷オイルクーラーを装備
・足周りのセッティング変更によるコーナリング性能の向上
・サーキット走行でアグレッシブなライディングポジションを実現する、新しいシートデザイン
・サーキット走行から高速道路走行まで、幅広いシーンでの防風性能を高めた、新形状のフロントウインドシールド
・長距離走行時のライダーの負担を軽減し、より快適なツーリングを楽しむことができるクルーズコントロール
・状況に応じてトラクションコントロールとパワーデリバリーを効率的に設定可能な、インテグレーテッドライディングモード
・スマートフォン接続機能を備えるTFTインストゥルメントパネル
・スーパーバイク世界選手権での偉業により特別に付与されたリバーマーク
カワサキNinja ZX-10RRは、Ninja ZX-10Rをベースに、下記のハイパフォーマンスパーツを組み込んで、サーキット走行でのポテンシャルや限界を大幅に向上させた贅沢なモデル。新しいNinja ZX-10RRは、上記の新型Ninja ZX-10Rをベースに、
・高回転域の性能を向上させるPankl社製の軽量ピストンとチタニウム製コネクティングロッド
・高回転域で性能を引き出す、Ninja ZX-10RR専用の新設計カムシャフト
・サーキット走行を前提にセッティングした、ショーワ社製バランスフリーフロントフォークとBFRC lite リヤサスペンション
・ハイレベルのブレーキ性能に貢献する、フロントブレーキに採用したレース用ステンレスメッシュブレーキホース
・機敏なハンドリングを実現する、マルケジーニ社製7本スポークアルミ製鍛造ホイール
・ストリートとサーキットで優れたパフォーマンスを発揮する、ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSPタイヤ
・サーキットシーンでの使用を想定したシングルシート
を装備して走りを極めている。
≪新型≫
全長x全幅x全高:2,085mm×750mm×1,185mm
軸間距離:1,450mm
最低地上高:135mm
シート高:835mm
キャスター/トレール:25.0°/ 105mm
懸架方式:前…テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)、後…スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
ホイールトラベル:前…120mm、後…115mm
タイヤサイズ:前…120/70ZR17M/C(58W)、後…190/55ZR17M/C (75W)
ホイールサイズ:前…17M/C×MT3.50、後…17M/C×MT6.00
ブレーキ形式:前…デュアルディスク 330mm (外径)、後…シングルディスク 220mm(外径)
ステアリングアングル(左/右):27°/ 27°
車両重量:207kg
≪前モデル≫
全長×全幅×全高:2,085mm×740mm×1,145mm
軸間距離:1,440mm
最低地上高:145mm
シート高:835mm
キャスター/トレール:25.0°/107mm
懸架方式:前…テレスコピック(倒立・インナーチューブ径43mm)、後…スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
ホイールトラベル:前…120mm、後…114mm
タイヤサイズ:前120/70ZR17M/C(58W)、後190/55ZR17M/C(75W)
ホイールサイズ前17M/C×MT3.50、後17M/C×MT6.00
ブレーキ形式:前デュアルディスク 330mm(外径)、後シングルディスク220mm(外径)
ステアリングアングル(左/右):27°/27°
車両重量:206kg
新型はフロントカウルを大型化し、フロントスクリーンの高さをアップしたため、全高が40mmアップ。軸間距離(ホイールベース)は10mmロング化。ブレーキの仕様、ホイールサイズ、タイヤサイズは前モデルと同じだが、新型は前後サスペンションのセッティングを変更。コーナリング時のフロント周りの設置感をアップして、扱いやすさを向上している。重量は新型が1kg増。
≪新型≫ 【カッコ内はRR】
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ
総排気量:998cm³
内径x行程/圧縮比:76.0mm×55.0mm/ 13.0:1
最高出力:149kW(203PS)/13,200rpm【150kW(204PS)/14,000rpm】
ラムエア加圧時:156.8kW(213.1PS)/13,200rpm【157.5kW(214.1PS)/14,000rpm】
最大トルク:115N・m(11.7kgf・m)/11,400rpm【112N・m(11.4kgf・m)/11,700rpm】
燃料タンク容量:17L
燃料消費率(km/L)(※1):
…20.3km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
…16.5㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)
≪前モデル≫ 【カッコ内はRR】
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ
総排気量:998cm³
内径×行程/圧縮比:76.0mm×55.0mm/ 13.0:1
最高出力:149kW(203PS)/13,500rpm【150kW(204PS)/13,500rpm】
ラムエア加圧時:156kW(212PS)/13,500rpm【157kW(213PS)/13,500rpm】
最大トルク:114N・m(11.6kgf・m)/11,200rpm【115N・m(11.7kgf・m)/11,200rpm】
燃料タンク容量:17L
燃料消費率(km/L)(※1):
…21.0km/L(国土交通省届出値…60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
…16.8㎞/L(WMTCモード値…クラス3-2、1名乗車時)
スペック上、ラムエア加圧時の最大出力、最大トルク、燃費消費率は若干異なるが、基本的にエンジンの仕様に変更なし。なお、前モデルも新型も、Ninja ZX-10RRはNinja ZX-10Rよりも高回転型にチューンされ、全域においてシャープでフラットながら、扱いやすい特性にアレンジ。サーキットに特化したNinja ZX-10RRは、新型の場合、Ninja ZX-10Rに比べて最高回転数を400rpm向上して1万4700rpmとし、アドバンテージを高めている。