2021年3月25日に新発売される新型フォルツァは同社の軽二輪スクーターを代表する主力モデル。2000年デビュー以来、進化熟成を重ねてきているが、今回は外観スタイリングの変更に加え、フレームやエンジンも一新されている。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO ●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)/山田俊輔(YAMADA Shunsuke)/株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

ホンダ・FORZA.......658,900円

インディーグレーメタリック
マットガンパウダーブラックメタリック
パールホライゾンホワイト

スタイリングのイメージラインは継承しながらも細部までリフレッシュ

 250ccエンジンを搭載するシティコミューターとして定着した評価を得ているフォルツァの最新モデルが登場した。今回で第5世代を数えるモデルチェンジだが、相変わらずアグレッシブな雰囲気を醸すスタイリングに加えて、最新技術が注ぎ込また熟成進化は侮れない。


 フルLEDのランプや、あえてアナログ表示に拘ったツインメーターの存在等、従来モデルから踏襲された部分もあるが、多岐に渡りリフレッシュされた。


 


 まずパワーユニットは新世代環境対応スクーター用エンジンのeSP+を搭載。従来比でボアは1mm小さく、ストロークは2.2mm長い。67×70.7mmと言うロングストローク・タイプの249ccになっている。


 水冷SOHCの4バルブヘッドは吸排気ポートのデザインが一新されて、吸排気及び燃焼効率をさらに追求。フリクションロスの低減化も徹底された。


 さらに冷却性能も見直されピストンの内側に潤滑オイルを噴射するピストンオイルジェットを採用。水冷用ラジエターも燃料タンクの前方にレイアウトし直されている。


 エンジン性能の諸元値に大きな変化は見られないが、最高出力の発生回転数が高くなった事と、定地燃費率の向上が認められる。


 アンダーボーンフレームも一部が設計変更された。前後荷重バランスを従来モデルより若干フロントヘビーにセッティング変更され安心感のある車体挙動に寄与したと言う。


 その他、フロントの電動スクリーンは可動域が40mmも伸ばされてウインドプロテクション性能をアップ。USB(Type-C)電源ソケットの標準装備や、オプションのトップボックス(35L容量)にスマートキー連動タイプを設定するなど、洗練度を高めた仕上がりを披露している。


 


 時代の進化にしっかりと適応熟成させているのが印象深い。2018年登場の先代モデルと比較して本体価格も据え置かれた。なお国内の年間販売計画台数は2,000台である。

一部が設計し直されたアンダーボーン・フレーム。スチールパイプの材質、パイプ径、肉厚を一新。接合部分の位置も設計変更されている。
ボアストロークの変更を初め燃焼効率を追求し4バルブ化、吸排気ポートデザインも一新されたeSP+エンジンを搭載。
先代モデルから搭載されたHSTCの概念図

ディテール解説

アグレッシブでスポーティなデザインを披露するフロントマスク。ウインカーはバックミラーに組み込まれている。

左右セパレートレイアウトのLED式ヘッドランプデザイン。
ハイビーム状態にすると中央部が点灯して左右が連なる一体デザインとなる。
フロントスクリーンは、ハンドル左側にあるグレーのシーソースイッチ操作で電動可動する。可動範囲は180mmに及ぶ。最下端ならスクリーンのトップエンドがライダー目線と干渉しないレベルの低さにあり、最上端ではウインドプロテクションが向上。前方からの風はヘルメットの頭上を抜ける感じになり、静かな乗り味が期待できる。
フロントには15インチのアルミホイールを採用。軽量化も追求されている。シングルディスクローターはφ256mm。NISSIN製の2ピストン・ピンスライド式油圧キャリパーを採用している。

右出しアップマフラーは、排気抵抗を軽減する構造を採用。リヤホイールは14インチ。ブレーキディスクはφ240mm。NISSN製の油圧キャリパーが採用されている。

ハンドル左側スイッチは、走行中に操作する物が集約レイアウトされている。右上のスイッチは電動スクリーン用。INFO AやBはデジタルメーターの表示切り換え等を担う。
ハンドル右側スイッチは比較的シンプル。赤いのはエンジンキルスイッチ。中段グレーはハザードスイッチ。下の黒いのが始動用スタータースイッチだ。
中央に液晶表示を挟んだアナログ式2眼メーターのデザインは従来から踏襲されている。左が160km/hスケールの速度計。右が11,000rpmスケールの回転計。レッドゾーンは9,000rpmから、いずれも自発光式の目盛りと指針が採用されている。

ボリューム感のある段付きダブルシート。しっかりした後席用グラブバーも装備されている。

解錠するとシートは前ヒンジで開けることができ、48Lのラゲッジボックスが現れる。
ご覧の通り、ヘルメット2個が収納可能。A4サイズのビジネスバッグを入れる事もできる。
テールアップでフィニッシュするシャープなデザイン。ランプまわりも上質な仕上がりに見える。

フルLEDランプを連ねたテールランプ。
ブレーキランプとハザードを全灯したシーン。

⬛️主要諸元⬛️

フォルツァ


車名・型式:ホンダ・2BK-MF15


全長(mm):2,145


全幅(mm):750


全高(mm):1,360


軸距(mm):1,510


最低地上高(mm):145


シート高(mm):780


車両重量(kg):186


乗車定員(人):2


燃料消費率(km/L):41.5(60km/h)〈2名乗車時〉


WMTCモード値(km/L):33.2〈1名乗車時〉


最小回転半径(m):2.4


エンジン型式:MF15E


エンジン種類:水冷4ストロークOHC 4バルブ単気筒


総排気量(cm3):249


内径×行程(mm):67.0×70.7


圧縮比:10.2:1


最高出力(kW[PS]/rpm):17[23]/7,750


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):24[2.4]/6,250


始動方式:セルフ式


燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火


燃料タンク容量(L):11


変速機形式:無段変速(Vマチック)


キャスター角(度):26°30′


トレール量(mm):89


タイヤ(前/後):120/70-15M/C 56P / 140/70-14M/C 62P


ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク / 油圧式ディスク


懸架方式(前/後):テレスコピック式 / ユニットスイング式


フレーム形式:アンダーボーン




製造国:タイ

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【エンジンの仕様も変更】ホンダ・フォルツァは第5世代モデルへ。