というわけで用意したのは右写真の3点。前回潤滑剤を拭いて軽くワイヤーブラシを当ててみたのだが、真っ黒な変色は落ちそうになかった。そこで耐水ペーパーで表面の変色とサビを同時に落としてみようという作戦だ。手順としては潤滑剤をシャフトへ吹きかけ、そこへペーパーを当ててシコシコひたすら磨くだけ。何度か試してから潤滑剤の代わりにピカールを使い、程よいところでピカールと布で仕上げてみた。
もうここまできたら新品のシューを組むだけ。でもその前にひと手間かけよう。というのもブレーキまわりの部品たちが汚いままなのだ。シューに使うプレートも写真に写っているが、これは新品のシューに付属しているので磨かなくて大丈夫。肝心なのはシューを動かすカムのシャフト部分で、ここがスムーズに動かないとブレーキング時のフィーリングが悪化する。汚れを落とすのと同時に軽く磨いて摺動性を良くしておこう。
シューを組む前にもうひと手間。というのもシューを組んだ後だとメーターギアまわりへグリスを入れるのが面倒だから。シューを組む前なら簡単に円筒内へグリスを入れることができる。また同時にシューが入るシャフト、カムが入る円筒にもグリスを塗布しておく。
シューを組んだらドラムをかぶせよう。その前にドラム内側のシューとの当たり面を入念に清掃しておくこと。ドラム内を清掃したらドラムをかぶせ、アクスルナットを締め込んでいく。ナットが手で軽く締められるくらいに清掃しておくことも大事で、シャフト側も同様だ。
最後にキャップを装着してフロントブレーキの交換作業が終了した。たかがブレーキシューの交換にここまで手間と時間がかかるとは誰も思わないだろう。これが長期放置車の現実というもの。ただ、時間と手間をかければ、路上復帰したときの喜びもひとしおというもの。地道にコツコツが大事なのだ。
次回はヒビ割れたタイヤを交換してみる予定だ。