REPORT&PHOTO●増田満(MASUDA Mitsuru)
輸入車を紹介するなら、ドイツ車は欠かせない存在だろう。まず紹介するのは「かぶと虫」と呼ばれ世界中で愛されたビートルだ。ビートルことフォルクスワーゲン・タイプ1は1953年に日本でも発売が開始され、1978年まで正規輸入された長寿モデル。様々な仕様が存在するが、この日来場していたのは1966年より前のタイプ1と思われるが、程度は上々だった。
フォルクスワーゲン(以下VW)タイプ1をベースに、コーチビルダーであるカルマンとカロッツェリア・ギアが手掛けたクーペボディを備えるのがVWカルマンギア。1955年に発売され1973年まで生産された人気モデルで、クーペのほかにカブリオレも存在する。オリジナルのタイプ1と並ぶと、スタイルの良さが際立っている。
続いてはVWとも縁の深いポルシェ。ポルシェの歴史を語るうえで欠かせない存在が初の量産車となった356だろう。VWのパーツを流用しながら独自のスタイルとチューニングが施された2ドアクーペ・カプリオレで、1950年から1965年までの15年間作り続けられた。VWベースということで本家ポルシェだけでなくレプリカも数多く存在する。上写真は1600スーパーと思われる。
ポルシェは356から911へ生産モデルを切り替え世界的なヒット作になっていた。そこでさらに販路を広げるべく、VWのパーツを積極的に活用して新車価格を911より安価に設定した914を1970年に発売している。VWタイプ4の1.7リッター水平対向4気筒エンジンを、911のリヤエンジン方式ではなくミッドシップレイアウトとして採用。911と同じ水平対向6気筒エンジンを搭載する914/6も併売された。
続いてBMWでは3台のE24系6シリーズが並んで参加していた。まず上写真は世界一美しいクーペと称された635をベースに、シルキーシックスと呼ばれた3.5リッター直列6気筒エンジンをDOHC化して260psまでパワーアップさせたハイスペックモデルのM6。
下の2台は左がアルピナ、右がハルトゲと、どちらも635をチューニングしたコンプリート車だ。
ドイツに続いてはイタリア車だ。上写真はアルファロメオが1962年に発売を開始したジュリアで、翌年に追加されたジュリア・スプリントGTに代表されるクーペではなく、ベルリーナと呼ばれるセダン。TIやTIスーパー、スーパー1300やスーパー1.3など数多くのバリエーションが存在するが、基本的なスタイルは変わらない。1974年にはマイナーチェンジによりフロントマスクを一新しているが、こちらはそれより前のモデルだ。
続いてはフィアット傘下になったランチアが小型高級車であるベータのスポーツモデルとして1975年に発売したベータモンテカルロだ。1984年まで生産された長寿モデルながら日本での人気、登録台数は少なく希少車といっていいだろう。写真のモデルは1978年に一度生産が打ち切られた後、1980年に再生産されたシリーズ2。車名からベータが取れ単にモンテカルロとなったほか、斜め後方視界を妨げていたリヤデザインをガラスに変更したことが特徴だ。
輸入車の最後はイギリス車。この日は写真のロータス・ヨーロッパが1台だけ参加していた。ヨーロッパは当初、フランスを中心としたヨーロッパ地区でのみ販売された入門編スポーツカーだった。低価格とするためルノー製1.5リッターOHVエンジンを採用し、サイドウインドウやシートが固定式だったりと走る以外の機能を捨て去っていた。1968年には固定式サイドウインドーやシートなどを廃止して実用性をもたらしたシリーズ2へ進化。1971年にはエランに積まれた1.6リッターDOHCエンジンを積むツインカム、1972年には同エンジンをビッグバルブ化したスペシャルへ進化している。
今回で「静岡・三保レトロカーフェスティバル2021&いすゞ+スバルミーティング」のレポートは終了となる。来年の開催が今から楽しみだ。