A:バルブマチック搭載
B:E85燃料対応(2000年以前はサイドドラフト式のSUキャブ2連装)
C:カリフォルニア州規制対応キャブ
D:ダウンドラフト式キャブ2連装
E:燃料噴射(いわゆるEFI)
F:バルブ挟み角の小さな省燃費型DOHCヘッド
G:バルブ挟み角の大きな高出力型DOHCヘッド
H:高容積比設計
I:シングルポイント式燃料噴射
J:(かつてはオートチョーク装着車)(排ガス処理の某装置装着車)
K:“アトキンソンサイクル”採用・除HEVエンジン
L:縦置き用
M:フィリピン市場用
N:CNG仕様
O:該当なし
P:LPG仕様
Q:該当なし
R:低オクタン価燃料のための低容積比設計
S:D-4型直噴仕様(かつてはスワールポート搭載車)
T:ターボチャージャー過給仕様
U:三元触媒搭載車
V:D-4D型コモンレール仕様、あるいはダイハツ搭載のトヨタエンジン
W:該当なし
X:“アトキンソンサイクル”採用HEVエンジン
Y:該当なし
Z:スーパーチャージャー過給仕様
このV35A-FTS型は、先代のLSが搭載されていたUR型V8エンジンの代替として開発された。4.6ℓのV8自然吸気から3.5ℓのV6ターボへ。容積も気筒数も減らし、性能を向上させた、お手本のようなダウンサイジングユニットである。
V35A-FTS@LS500:314kW/5200-6000rpm、600Nm/1600-4800rpm
1UR-FSE@LS460:288kW/6400rpm、500Nm/4100rpm
今回のLS500に載せられたA35A-FTSと、先代のLS460に載せられた1UR-FSEの出力曲線を比べてみると、上のような図表になった(発表されている数値とグラフカーブがなぜか完全に一致しないが、そこは参考程度にご覧いただきたい)。一目でわかるのがトルクの発生の仕方で、V35Aがいきなり立ち上がっているのちに過給圧制御でフラットにして最大トルクのままフラットにしているのに対し、1URは回転上昇とともにトルク値が高まっていく。組み合わせる変速機は、V35Aがアイシン・エィ・ダブリュのAWR10L65型10速AT、1URも同じくエィ・ダブリュで、こちらはTL-80型の8速ATである。
V35A-FTSのトピックのひとつがロングストローク設計である。
V6エンジンというのはなかなか悩みの多い方式で、等間隔燃焼とバンク角の設定というのがひとつ挙げられる。4ストロークサイクルにおいてはクランクシャフト2回転でワンサイクルというのはご存じのとおりで、そのワンサイクルで6つの気筒を等間隔で燃焼させようとするなら、720度÷6で、120度という数字が得られる。
V6エンジンは向かい合う気筒のクランクピンを共用する設計にすることで全長を抑えられる特長があるので、そうすると、たとえば1番気筒が着火したのちに、じゃあ次は何番気筒を着火させればいいかといえば120度回転した後に上死点にあるシリンダ……となると2番気筒が、1番気筒に対して120度の角度に設置されていればベスト。つまり、バンク角120度のV6エンジンである。
ここでようやくV35A-FTSの話に戻る。このエンジンも多分に漏れず60度バンク。内径×行程値を確かめてみると85.5×100.0mm、ロングストローク設計であることがわかる。レーザクラッド式バルブシートによるストレートポートとそれに伴うバルブ挟み角の拡大、高タンブル吸気と直噴による急速燃焼など、先行したA25A型と共通する項目がいくつか見て取れるように、どうやら燃焼のさせ方について同様を目指したように思える。マツダSKYACTIVも、排気量は違えど燃焼パターンを同じくして──としていた。
じゃあ間延びしてしまうボアピッチはといえば、スペースに事欠かないことを利用して水路を穿ち、積極的に冷却することで耐ノッキング性を高めることに成功した。ホンダも高パフォーマンスエンジンのボア間に溝を設けて水路とし、同じ効果を狙っていたのをご存じの方もいらっしゃるだろう。ただしV35Aの水路はφ5.5mmものサイズ。その効果の高さがうかがえる。