REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO ●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
ゴールドウィングのルーツを辿るとCBの上級グレードを目指して開発され、水冷の1L水平対向4気筒エンジンを搭載。シャフトドライブを採用したGL1000(1974年登場)に端を発している。
その後はより上級へと進化革新を重ねる中で、グランドツアラーというコンセプトとプレミアムな仕上がりが評価を集め、特にアメリカ市場で大ヒット。
内外他のメーカーから多数後発のライバル車が投入されるも、その追撃をかわし見事に独壇場のカテゴリーを築き上げてきた。まさに贅を究める孤高の存在として、今もその商品力の高さと確かな人気が堅持されている。
今回のマイナーチェンジでは、カラーバリエーションの変更に加えて、使い勝手や快適性を向上。さらにマニュアルの6速トランスミッションを廃し、DCT一本化を果たしているのも印象深い。
MT(マニュアルミッション)が欲しいと思うユーザーには少し残念かもしれないが、もともと州(アメリカの)を跨いでタンデムでロングツ-リングする様な使い方で、より快適かつ優雅な旅を楽しめる道具として、扱いやすさと快適性はDCTならではの魅力がありゴールドウィングのコンセプトにもピタリとマッチする。
ついでに言うとこのDCTは7速自動変速が基本で、それに加えてリバースも可能。前進時も含めてウォーキングスピードモード(微速前後進機能)が採用されているので、切り返しや車庫入れでも重宝するのである。
今回のトピックで一番目立つポイントはリアのラゲッジボックスが大きく拡大されている。従来は50L容量だった収納容量は61Lになり、フルフェイスヘルメット2個が余裕で入れられる。
この設計変更に伴い、後席のシートバックを従来の17度から24.5度に寝かせたデザインとし、高さも30mm延長。パッセンジャーの快適性が向上したと言う。ゆったりと寛げる乗り味が期待できそう。
また左右シリンダーヘッドの前端部分に装着されるLED式フォグランプを標準装備化。オーディオ系には55Wスピーカー4個を標準搭載。またスマホと連携が図れるAndroid Autoも標準採用された。
なお国内市場での販売計画台数はGold Wing (価格・2,948,000 円) も合わせて500 台。いずれも受注生産方式となっている。
Gold Wing Tour
車名・型式:ホンダ・2BL-SC79
全長(mm):2,615
全幅(mm):905
全高(mm):1,430(スクリーン最上位置1,555)
軸距(mm):1,695
最低地上高(mm):130
シート高(mm):745
車両重量(kg):389
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):27.0(60km/h)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(km/L):18.2〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):3.4
エンジン型式:SC79E
エンジン種類:水冷4ストロークOHC(ユニカム)水平対向6気筒
総排気量(cm3):1,833
内径×行程(mm):73.0×73.0
圧縮比:10.5:1
最高出力(kW[PS]/rpm):93[126]/5,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):170[17.3]/4,500
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):21
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:電子式7段変速(DCT)
変速比:
1速 2.166
2速 1.695
3速 1.304
4速 1.038
5速 0.820
6速 0.666
7速 0,521
減速比(1次/2次):1.795/0.972×2,615
キャスター角(度):30゜30′
トレール量(mm):109
タイヤ(前/後):130/70R-18M/C 63H / 200/55R-16M/C 77H
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):リンク式 / スイングアーム式(プロリンク、プロアーム)
フレーム形式:ダイヤモンド