ものすごく熱い想いが込められていたり、なんだかとっても“場当たり”的だったり──。


バイクの車名の由来にはいろんなルーツがあります。真偽が定かではない車名も一部含めつつ、その来歴をモトチャンプが深掘りしました!




REPORT:宮崎正行

イメージカラーはホワイトだった 【YAMAHA・BELUGA50ED[ベルーガ50] Since1981】

偶蹄目イッカク科シロイルカ属に分類されるシロクジラ、別名「ベルーガ」。大人の男性が乗るに相応しい大柄ボディが特徴で、 当時のヤマハのハイエンドスクーターだった。キャッチコピーは「これが本格スクーター。よき友、ベルーガ新発売」。渡辺貞夫が懐かしい。

造語の勢いは誰にも止められない! 【HONDA ・ZOOK [ズーク] Since1990】

「~ずく(接尾語)」からの造語ネーミング。ずく→ずーく→ズーク! 半ば強引と思える造語テクはホンダの独壇場と言えるだろう。 オヤジギャグが幅を効かす企画会議の現場を見てみたいものだ。ズック(スニーカー)みたいにイージーに乗れるバイクという意味も。

静岡県浜松市ポンテデーラ区 【SUZUKI ・GEMMA125 DELUXE [ジェンマ125] Since1981】

ジェンマはイタリア語で「宝石」という意味。デザインに優れた永遠に輝く宝石のようでありたいという願いが込められた、ド直球なネーミングがむしろ男らしい。 端正なフォルムがイタリア製のあのスクーターに似てるって? いやいやこっちは直線デザイン勝負!

オレといっしょに遊ぼうぜ! 【YAMAHA ・BW’S [ビーウィズ]Since1988】

「Be With」でビーウィズ。たぶん、オレたちといっしょにアウトドアで遊ぼうぜ! というようなヤマハ製の造語。明るい言い切りがいかにもヤマハらしいネーミングですね……と思っていたら、ファットなタイヤ(Big Wheel)を装着しているからBW'sだって!(笑)

ゼウス神のご子息名にあやかって 【HONDA ・DIO [ディオ] Since1988】

ネーミングで困ったときにありがち? ギリシア神話に登場する全知全能の神ゼウスのお子さんたちの名前「Dioskuroi(ディオスクーロイ)」からアタマの3文字を拝借して名づけました。もし3文字じゃなくて4文字だったらディオは「ディオス」だったかも。

都会派スクーターでドレスアップ! 【SUZUKI・ADRESS50 [アドレス50] Since1987】

add(加える)+dress(ドレス)」。シート下にスタイリッシュなウェアを入れて、さまざまなシチュエーションで自分を演出できる……そんな理由からの造語的英語らしい。メットインがまだまだ目新しかったころの雰囲気が伝わってくる。「住所」じゃなかったのね(笑)

貴兄のライフをズームアップします! 【HONDA ・ZOOMER [ズーマー] Since2001】

「乗り手のライフスタイルをクリエイティブに拡大(ZOOM)してくれるツール」、というホンダ製の造語。バイクと言わずにツールというあたりがNプロモデルらしくていいですね。栄枯盛衰なのか国内モデルが2017年に生産終了。歴史に残るグッドデザインでした。

CMキャラクターは宮崎美子 【YAMAHA ・SALIENT [サリアン] Since1982】

女性ユーザーを狙ったサリアンの車名は、英語の「Salient(セイリアント)」をフランス語風に読んだものらしい。顕著な、目立つ、跳躍するという意味とのこと。多くのスクーターが国内シェアの覇権を競った熱き時代のトップセラーになることを、ヤマハが夢見て……。

ウェイブはなんと電波だった! 【SUZUKI ・SKYWAVE250[スカイウェイブ250] Since1998】

軽い語感からライトな意味合いと思いきや、じつは「上空波、最上空波、上空へ送られる無線波」となっている。そう、無線用語なのだ。無線だけに「もっと発信したい、伝えたい」というメッセージが込められているとか。3種の排気量で成功したスクーターの雄だ。

ジュリオの発売日を知っていますか? 【HONDA ・JULIO [ジュリオ] Since1998】

ジュリオ。スペイン語で「7月」という意味です。例によって、スパニッシュ。そこでイジわるな筆者は「当時のジュリオの発売日が7月じゃなかったらお客様相談センターにフリーダイヤルしてやる~」と思って調べましたらですね、7月31日発売でした。くやしい!(笑)

ヤマハの願いは天に通じた? 【YAMAHA・AXIS [アクシス] Since1990】

アクシスは英語で「軸」。ヤマハが「大ヒットモデルのジョグに続く新たな主軸スクーターになってほしい」と願って命名されたという。スクーター以外でも使われることの多い「アクシス」という言葉、そういう意味だから人気なのね。六本木のあの会社もたしか……。

ラクチンだからラクーンかと思いきや…… 【HONDA ・RACCOON [ラクーン] Since1980】

どこかふざけたスペリングなので造語かと思いきや、英語でちゃんと「アライグマ」の意味でした。もちろん楽チンの意味も重ねてね。ちなみに世界名作劇場「あらいぐまラスカル」の原題は「RASCAL」。きっとホンダの企画会議にも車名「ラスカル」案が上ったハズ!

なんとなく「山」の意味らしいッス 【SUZUKI ・DJEBEL125[ジェベル125] Since1992】

スズキにしては珍しく造語車名のジェベル。とはいえなんとなくアラビア語由来の英語らしい。意味は「山脈」、「小山」、「丘」のアラビア語「JABAL(ジャバル)」がルーツとか。いまいち不明瞭で……ちなみにフランス語だと競走馬の意味だが、それは関係ないっぽい。

最先端すぎて憧れキャラまで届かず 【KAWASAKI ・KLE250 ANHELO[KLE250アネーロ] Since1993】

アネーロは、スペイン語で「憧れ」の意味だそうで。でも開発コンセプトはだいぶ時代の先を行っていて、フロント21インチかつ250ccのアドベンチャーモデルって……まさに今大人気のジャンルのご先祖様じゃないですか! ちなみに鳥のエミューがモチーフ。

フェーザーとフェザーは違うのだ 【YAMAHA・FZ250 PHAZER[FZ250フェーザー] Since1985】

85年発売のFZ250はフェーザーで、2001年発売のFZS1000 FAZER(フェザー)とは別モノであることを前もって確認。で、「フェーザー」。たぶん新しいフェーズ(段階、局面)を切り拓くパワーを持った新機軸のスポーツバイク、という意味だろう。うーん、素敵!

ありそうでどこにもないホンダ語 【HONDA ・XELVIS [ゼルビス] Since1991】

どこにも見当たらないゼルビスという言葉、やっぱりホンダ製でした。「特別の(Xtra)、元気づける(Elate)訪問者(Visitor)」の頭文字をとってXELVISと公式表明されています。その心は「心を揺さぶる最高の友人」……コレって整っているんですかね?

これはもしかしてやっちゃった系? 【SUZUKI ・MARAUDER125[マローダー125] Since1998】

あまり聞かれないマローダーという英語、ずばり「略奪者」の意味らしい。「同じアメリカンのイントルーダー(侵入者)やデスペラード(ならず者)とイメージ統一し命名」とスズキさんは言いますが……略奪者って(笑)。かなり“勇み足”なネーミングなのでした!

憶測の域を出ませんが…… 【KAWASAKI ・AV50 [AV50] Since1982】

いろいろ冷静に類推するに、「American Vehicle」の頭文字をとったネーミングなような気がします。Z-LTD系の末弟として、カワサキ最小の横型4スト単気筒エンジン搭載、その気概に感じましょう! ちなみに令和の今、AVといえばアレだけです。

どうも若者スラングが語源らしい 【HONDA ・GROM [グロム] Since2013】

「GROMMET(グロメット)」の短縮語……って、あの部品のグロメット? 違います。このグロメットは、スケーターやサーファーなどのエクストリーム系スポーツを楽しむアスリートとのこと。らしい。若者に乗ってほしいというホンダの願いが込められています。

セローはみんな知っているかも 【YAMAHA・SEROW225[セロー225] Since1985】

英語の「SEROW(セロー)」はカモシカのこと。野生のカモシカが「ケモノ道を身軽に長距離でも走り抜く」というイメージがセローの基本コンセプトにベストマッチ、ということで採用された。そんなセローも225~250ccを通じて35年、第8世代へと進化している。

もしかして末裔はハンターカブかも 【HONDA ・IHATOVO TL125S[イーハトーブTL125S]  Since1981】

IHATOVOでイーハトーブと読みます。これはホンダではなく宮沢賢治がアイデアした理想郷を意味する造語。ホンダはバイクと自然との融和において人間の幸せをはぐくむことができるという“理想”をかかげて名づけたのだ。こんな自然体なオフ車、今ならCT125なのかな。

ナイスバーディではない!? 【SUZUKI ・BIRDY90[バーディ90] Since1973】

英語で「小鳥」の意味。街に住む小鳥のように、生活の場にフィットした愛されるバイクになりたいというメインコンセプトを名前で表現したという。作為のないストレートなネーミングで、実際にも愛されバイクだった。なんとなくゴルフ用語かと思っていたよ……。

ファラオラリーで風間深志が優勝 【YAMAHA ・TDR250 [TDR250] Since1988】

「Twin Dirt Racer(ツインダートレーサー)」のそれぞれの頭文字をとったTDRは、88年に水冷2サイクル2気筒エンジンを搭載して発売されたオンロード寄りのデュアルパーパスモデル。「TZRエンジン搭載」というだけでめちゃ興奮したあの頃が懐かしい!

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【バイクの名前】知っててよかった? 知らなきゃよかった! 車名の理由。