TEXT●大音安弘(OTO Yasuhiro)
今や日本一の人気者へと成長し、販売トップを独走するホンダN-BOX。その勢いは、今年も変わらず、昨年比よりも販売台数自体は減少しているものの、2020年11月までの軽自動車新車販売及び登録車含めた新車販売台数トップの座を維持。昨年までの軽自動車新車販売5年連続及び登録車を含む新車販売3年連続のトップの記録は更新が期待される。
そんなN-BOXが、2020年12月にマイナーチェンジモデルを実施。主な改良は、内外装の仕様変更にある。実車披露が行われた現場で、仕様の進化についてチェックしてみた。
エクステリアの変更は、ワゴンらしい安定感を強調したフェイスリフトがメイン。愛らしい顔立ちの標準車の変化は小さく、従来型と新型が並ばないと違いには気が付きにくいかもしれない。
一方、大きくイメチェンを図ったのが、クールな「カスタム」だ。グリルデザインを変更し、ナンバー位置も中央配置に。メッキ―パーツも強調され、存在感を高めている。前期型の持つスポーティさは失われたが、王道的なカスタムワゴン風味が強まったともいえ、ワゴン好きには支持されそうだ。
ツートーンルーフを含めたカラバリもN-BOXを選ぶ楽しみだが、新型ではツートーンのボディカラーを基本に内外装をドレスアップ。よりお洒落な仕様に進化した。
特に、アクセントとして新たに加わった専用ホイールは、塗装仕上げとなるのが嬉しいところ。オプションパーツや社外品のパーツを選んで内外装をドレスアップするよりも手頃なので、人気が高まりそうだ。
基本的にインパネ周りのデザインはそのまま。ただ一部の加飾や色使いが変更されている。
大きく雰囲気を変えたのは、標準車。ダッシュボードとドアトリムの色味が、ベージュからダークブラウンに。これによりカジュアルさが弱まり、シックな雰囲気に。ベージュによる明るさも魅力的だったが、ユーザーから汚れが目立つとの声もあり、今回のカラーチェンジとなったようだ。
センターレイアウトのメーターパネルは、ホンダ車らしくタコメーターとスピードメーターを備えた二眼式のもの。左側には、インフォメーションディスプレイが備わり、ホンダセンシングのACC表示なども行う。オーディオ機能は、全車レスが標準。最大8インチナビゲーションシステムまで対応する。
シートレイアウトは現行型同様に、フロントベンチシートタイプ、助手席にロングスライド機構を備えた左右独立式フロントシートタイプ、フロントベンチシートとラゲッジにスロープを備えるタイプの3種類だ。前後席とも乗員周りのスペースにゆとりがあるので、乗降がし易く、乗車時も窮屈さを感じさせないのは、スーパーハイトワゴンの特権だ。
ゆとりの後席の活用に一役買うのが、全車標準となるシートバックテーブルだ。後席用のコンパクトなテーブルだが、ドリンクポケットが備わり、ドライブ途中の休憩時の食事などに便利そう。三密を避けるために、テイクアウトを活用している人も多い今、どうしても愛車での飲食も増えている。そんなニーズにも応える嬉しい機能追加だ。
シート表皮は、基本的にファブリックだが、従来型同様にカスタムのターボ車に加え、カスタムのコーディネートスタイルに上質なプライムスムース合皮を採用。見た目の豪華さに加え、手触りも良いため、標準車のコーディネートスタイルにも採用して欲しいところだ。
ラゲッジスペースは、低いフロアと大きな開口部により様々なサイズの荷物に対応。ラゲッジルームから、2分割式の後席をワンタッチで可倒できるのも便利だ。植木鉢などの背が高く倒れやすい荷物は、揺れの少ない後席側に積むことが可能。足元スペースで不足する場合には、シート座面のチップアップで対応できる。
さらにライフケアビークルとなるスロープ仕様は、車いすの乗降のための専用装備が加わるものの、緩やかなスロープを活かし、自転車や小型バイクなどの積載にも便利で趣味にも最適。これは初代N-BOX+の利便性を受け継ぐ価値であり、現行型も誰でも購入することが出来る。
広さと積載性に優れたスーパーハイトワゴンとして2世代目となるN-BOXだけに、ワゴンに求められる価値は、現行型となった時点で磨き挙げられたため、基本的な使い勝手に変化はない。しかし、コーディネートスタイルや汚れの目立ちに内装とするなど、新たな提案もしっかりと行われており、トップ独走態勢の意気込みを感じさせる。