エクストロイドCVTはご存じ、一般的にはトロイダルCVT、もう少し詳しく言えばハーフトロイダル式のバリエータユニットを用いた世界で唯一の市販車用変速機。変速レンジは広く、広く知られるベルト&プーリ式のCVT勢が苦しむ伝達効率のデメリットはほぼ皆無、無段変速であるからして当然スムース&サイレントで、究極的には発進装置も要らない——
まずい、これを語ると止まらない。トロイダルの記事じゃなかった。まあとにかく、夢の変速機といえば個人的にはエクストロイドCVTにとどめを刺す。これを載せたクルマがかつて市販されていたというのがすばらしいのである。Y35型セドリック/グロリア、V35スカイラインに搭載されていた。
「でもお高いんでしょう?」。当時は確かに高価なクルマたちだった。だから!本企画ならなんとかなりそうだと考えたわけである。3車種の中では圧倒的にグロリア推し。あのパキパキしたボディに滑らかエクストロイドCVT……夢心地である。どれくらいのお値段かな——7件もある! 25万、69.9万、59万、59.8万、38万、59.8万、59万。えーと……300万円の企画だったな、ちょっと予算が余りますね……。
というわけで仕切り直し。そ、そうだ。インフィニティのクーペが欲しいと去年熱く語ったっけ。アレだ!——と調べたら、件のインフィニティQ60閣下は当然300万円なんぞで買えるはずもなく撃沈。そうですよね……。
と、ここでまた思い出した。スカイラインのクーペが好きなんだった。
クーペという車形は、誤解を恐れず言えば、とにかく中途半端である。シートは4名以上なのに乗り込むときにはドアが2枚しかない。荷物はたくさん積めない。スポーツカーみたいに派手じゃないし、だったら屋根の開くクルマにしよう、という逃げもない。だから好きなのである。
スカイラインのクーペ、それのMTでお願いします。
うおおかっけー。
このクルマを、どこもいじることなくフルノーマルで、だけどタイヤだけは最高級品にして、なんの気負いもなく(見えるようにして)さらりと乗り回したい。「ビジネスクルーザーです」とか言いながら。