TEXT●山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)
レジストロ・クコの大きさは、全長3525mm、全幅1700mm、そして全高2240mmというミニミニサイズ。牽引免許が不要なのはもちろんのこと、なんと牽引するヘッド車両が軽自動車でもOKというのが最大の特徴となっている。
ちなみに、2020年度のグッドデザイン賞を受賞したのも、ホットなトピックだ。
小さな小さなレジストロ・クコだが、キャンピングトレーラーの快適性は大型モデルにも負けていない。まず車内の広さだが、就寝定員3名を確保している。カップルで使うのも良し、気の合う3人組で出かけるのも良し。持て余さないジャストサイズと言えるのではないだろうか。
入口を入ると、車内にはウッディな空間が広がる。壁面のトリムに山小屋調の壁紙を使い、落ち着きのある空間演出を行っている。
ダイネット時のソファーは、コの字形となる。中央には取り外せるテーブルが付くので、3人の場合はそれを囲むように座ることになる。室内高が十分に確保されているため、3人で長時間いても、それほど圧迫感を感じることはないだろう。1人旅に使うのであれば、寝食には十分な広さと言える。
ベッドの展開は至って簡単で、シート下の“支え”を引き出して、そこに背もたれ兼マットを載せるだけ。完全にフラットな就寝スペースになり、その寝心地は申し分のないものだ。3人で寝るには多少窮屈さもあるが、山小屋で寝た経験のある人であれば、さほど気にならないだろう。
入口左手にはキャンピング装備をインストール。L字形のギャレーには標準の「スタンダードパッケージ」でステンレンスシンクが備わっているが、最上グレードの「リミテッドパッケージ」を選べば、49L冷蔵庫やシングルバーナー、小型クーラーなどが装備される。
車内の快適性を向上させる天井ファンやFFヒーターは、中間グレードの「バリューパッケージ」以上に標準装備。コンバーターや外部電源取り入れ口もバリューパッケージからの装備なので、実際はこのグレード以上を選ぶ人がほとんどであろう。
壁面には基本的に3つの開閉するスライド窓が装備されており、開放感を保っている。バリューパッケージ以上を選択すれば、さらに前部に丸い小窓が付くことになる。小さな小窓ではあるが、キッチン回りに明かりが入るので、意外と欲しくなる装備かもしれない。
さて、トレーラーとしての装備も気になるところだろう。アウトリガーは後部2本、慣性ブレーキやボールカプラー、バックランプ、テールランプ、サイドブレーキ、トレーラージャッキももちろん装備されている。
総重量は480kgと、実に軽量だ。この重量であれば軽自動車でもシャシーを痛めることがないだろう。また、ジャッキアップする場合に女性でも簡単に持ち上げられるし、切り離し後の移動などもできるのではないだろうか。
キャンピングトレーラーの利点は、なんと言っても愛車が現状のままでいいこと。「ウチは軽自動車だから、トレーラーは牽けないな」と諦めていたユーザーにとって、レジストロ・クコはまさに福音だ。駐車スペースも軽自動車1台分で済むので、都市部でも駐車場確保にそれほど困らないはず。
ちなみに価格は239万8000円からと、すごくリーズナブルというわけではない。しかし、キャンピングトレーラーは使わない時は「もうひとつの部屋」として活用できるので、移動できるマイクロホームを購入すると考えれば、あながち高い買い物でもないのではないだろうか。
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