このたびイナパル・プラスティコ社に新設したCF-RTM成形設備は、帝人グループが有する炭素繊維、CAE解析、流体解析、プリフォーム(炭素繊維シートなどを金型/部品形状に合わせて予め賦形すること)、金型設計などに関する技術を駆使することにより、製造工程の完全自動化を実現した。この設備により、部品の要求性能に応じて厚みを調整することができ、かつ炭素繊維を50%以上含有する高強度な成形品の製造が可能となる。また、射出時間が20秒と短いため生産効率も向上し、さらに、このプロセスによる成形品は、従来のアルミ製部品を約30%軽量化できることから環境負荷低減にも貢献する。
CF-RTMはこうした特長により、自動車業界で「クラスA」と称される美麗な外観を有する外板部品や、優れた剛性が求められるホワイトボディなど、主要構造部材の成形が可能であることが評価され、既に欧米の自動車メーカーでの採用が確定している。今後はリサイクルされた炭素繊維材料を使用し、3分間で量産に向けた成形を実現すべく開発を強化していく。
■ イナパル・プラスティコ社
事業内容:自動車向け複合材料/部品の設計・成形・加工
設備新設拠点:ポルトガル セトゥーバル県パルメラ
設備内容:圧縮プレス機、RTM射出成形機、接合装置
設備投資額:約6.8億円(約550万ユーロ)
設備稼働時期:2020年12月