シリンダー間にも水路を設け、ライナーの冷却強化に努めている。また、ピストン側では2mmの低張力リングを使用することで、摩擦損失も低減した。2005年の時点で世界最高レベルの15.8という低圧縮比を実現している。
VNT(Variable Nozzle Turbo=可変ノズルターボチャージャー)は、排ガスの排出速度に応じてモーターでベーンの角度を制御し、過給効率の最大化を図る。通常はステップモーターが使用されるが、2AD-FHVでは正確さを期して直流モーターを採用した。必要に応じて低速域で可変ベーンを稼働することもできる。これにより、2.0ℓのディーゼルターボに対してタービンホイールのイナーシャを30%低下、低速域における過給のレスポンス向上を図る。
D-CAT(Diesel Clean Advanced Technology)は、2003年11月に発表された後処理技術。NOxとPMを“同時に”処理するDPNRと酸化触媒に、EGRを組み合わせたシステムである。DPNRは、Diesel Particulate NOx Reductionの略で、一平方インチあたり300セルの多孔質セラミックフィルタをエキゾーストマニホールド近傍にセット、その下流に酸化触媒を配する。また、DPNRの最適化のためには排ガスのA/Fを調整する必要から、エキマニに“5本目”のインジェクターを装備。リッチスパイクを発生させ、NOxを吸蔵還元する。
■ 2AD-FHV
エンジンタイプ:直列4気筒ディーゼルDOHC16V+VGターボ
総排気量(cc) :2231
圧縮比:15.8
ボア×ストローク(mm):86.0×96.0
最高出力(kW[ps]/rpm):130 [177] /3600
最大トルク(Nm/rpm):400/2000-2600
シリンダーヘッド材質:アルミ合金
シリンダーロック材質:アルミ合金
燃料供給装置 :デンソー製ピエゾ式コモンレール200MPa
過給機:VTG(可変タービンジオメトリー)ターボ
CO2 (g/km):157@セダン/159@ワゴン
エミッション・コントロール
後処理 :Euro5 トヨタ「D-CAT」+酸化触媒
変速機:6MT
搭載車種:アベンシス(欧州仕様)