ルノーのBセグハッチバック、ルーテシアが日本でもデビューした。前型ルーテシアが「R.S.」やルノースポーツの印象が強かったが、新型はどうだろうか? プラットフォームもエンジンもトランスミッションも一新したルーテシアを500kmほど試乗した。

インテンステックパックにはインテンスにプラスして、レーンセンタリングアシスト/ 360°カメラ/ブラックドドアミラー/スマートフォンワイヤレスチャージャーが標準装備となる。

前型ルノー・ルーテシア 全長×全幅×全高:4095mm×1750mm×1445mm ホイールベース:2600mm

新型ルノー・ルーテシアは、ルーテシア(もちろん欧州ではクリオ=Clioである)として5代目となる。5(サンク)から続くルノーのBセグ・メインモデルだ。




編集部のあるビルの地下駐車場で対面したときに、「お、クリオ、立派になったな、大きくなったな」と思った。しかし、実際は前型より小さくなっている。


新型ルーテシア


全長×全幅×全高:4075mm×1725mm×1470mm


ホイールベース:2585mm




前型ルーテシア


全長×全幅×全高:4095mm×1750mm×1445mm


ホイールベース:2600mm




明らかに質感が上がっていることと、デザイン的にも落ち着いたテイストだからそう感じたのだろう。たとえば、サイドパネルとルーフのつなぎ目はレーザーブレージングで接合されているから、いわゆるモヒカン接合と違って、無粋なモールがない。

プラットフォームはCMF-B。前型より50kg軽量化されたという。

新型はプラットフォームもエンジンもトランミッションも一新している。


まずはプラットフォームだ。新型からルノー・日産・三菱のモジュラープラットフォームCFM-Bを使う。おかげで軽量に仕上がったという(実際、前型より軽い)。

全長×全幅×全高:4075mm×1725mm×1470mm ホイールベース:2585mm

トレッド:F1505mm/R1495mm 最小回転半径:5.2m 最低地上高:135mm
車両重量:1200kg 前軸軸重770kg/後軸軸重430kg

エンジンは、H5H型1.3ℓ直4DOCH直噴ターボを搭載する。前型は0.9ℓ直3ターボ、1.2ℓ直4ターボとルノースポールモデルの1.6ℓ直4ターボだった。




Bセグのライバルたちの多くが3気筒エンジンを載せるのに対してルノーは4気筒を選んだ。この4気筒は、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)とルノーが共同開発したもので、メルセデス・ベンツではM282型を名乗る。最大の特徴は「デルタシリンダーヘッド」と称する側方視で三角形のシリンダーヘッドは、カムシャフト/バルブトレーンの動きと機械的配置をゼロから見直すことで発案された非常にユニークなものだ。131ps/240Nmは1200kgの車重に対して充分だ。

エンジンはM282型1.3ℓ直4DOHCターボ。ルノーの名称ではH5H型となる。エンジン 形式:直列4気筒DOHCターボ 型式:H5H 排気量:1333cc ボア×ストローク:72.2mm×81.4mm 圧縮比:9.6 最高出力:131ps(96kW)/5000pm 最大トルク:240Nm/1600rpm 燃料供給:DI 燃料:無鉛プレミアム 燃料タンク:42ℓ ターボチャジャーのウェイストゲートは、電動式になった。

なかなかごついエンジンマウントが見える。

トランスミッションは、7速DCT。1速:4.461 2速:2.647 3速:1.437 4速:0.975 5速:0.754 6速:0.682 7速:0.547 後退:3.651 最終減速比:4.165(1/2/6/7速)4.753(3/4/5速)

トランスミッションは7速DCTになった。前型が6速だから1速増えたことになる。1速増えたことよりも、新型は湿式デュアルクラッチになったことがトピックだ。前型は乾式だった。ゲトラグ(マグナ)と共同開発したもので、おそらく「7DCT300」をベースにしたものだろう。




とスペックの確認は事前にしていたので、早速乗り込んでみる。

たっぷりとしたシート、豪華ではないけれど明るくて常識的なインテリア、まぁまぁ丸いステアリングホイール。シートの座り心地もいい。175cmの標準体型の筆者がドライビングポジションを取ったのち、後席に座ってみる。前席との間にはこぶし1個は入らないが4cmほどの隙間ができる。ルーフをボディ後端まで伸ばしていることもあって、後席はBセグハッチバックとしては充分な広さだ。

キーの表側はこうなっている。
裏側はこう。個人的にはもう少し小さくてもいいと思う。

さて、走りだそう。




ルノーは2ペダル・トランスミッションにDCTを多用する。トランスミッションとしての伝達効率の高さとダイレクト感がDCTの美点だが、低速域、あるいは走り出しがギクシャクしがちという弱点もある。乾式DCTはそれが顕著にでる傾向があるのだが、新型は湿式だ。これなら、と思って走り出した。




が、やっぱりギクシャク、というか走り出しに滑らかさが足りない。たとえば、信号待ちでエンジンがアイドルストップから再始動ーギヤが1速に入って走りだすという一連の動きがドライバーの思うよりワンテンポ遅いのだ。これがトルコンATならもっと滑らかなのは明らか。




とはいえ、走り出してしまえば、この7速DCTはとても気持ちよく変速してくれる。7速100km/h巡航時のエンジン回転数はメーター読みで1950rpm(2000rpmにはならない)。つまり、街中の渋滞、あるいは信号ばかりある都内の走行よりも、信号が少ない郊外路、ワインディング、高速道路が得意ということになる。




湿式DCTなのにどうしてこういう振る舞いになるのか? ルノージャポンの担当者に伺うと、エミッション対策が進んでからこういう傾向が出てきた、という。

タイヤサイズ:205/45R17 コンチネンタルEcoContact 6

リヤはこのクラス標準のトーションビームアクスル。
フロントはマクファーソンストラット式。

フランス車というと、しなやかなサスペンション、優しい乗り心地と思い浮かべるが、新型ルーテシアはいい意味でフランス車っぽくない。これは先進運転支援技術をBセグハッチバックにも入れていこうとすると、どうしてもクルマの動きを固めていかないとまずいから、らしい。つまり「ふんわり」な脚周りでは最新のADASはうまく機能しないということなのだ。

けっして豪華ではない。が質素でもない。いい道具感のあるインテリア。

今回の試乗では540kmほど走ってみた。ためしに、(いまはすっかり行けなくなってしまった)海外出張を想定して、大型のスーツケースを積んで成田空港までドライブしてみた。立てて入れると大型のスーツケースはラゲッジスペースに収まる(2個は入らない)。




ドライブモードは「ECO」「Sport」「My Sense」の3つがあり、ステアリング(のアシストの仕方)やメーター、室内のライティングなどを設定できる。せっかくなので、「My Sense」でステアリングを「Sport」にしてみた。ステアリングはしっかり感が増していい感じだったが、あとで担当者に伺うと「電動パワーステアリングのアシスト量を変えているだけじゃない」んだそうだ。切り始めの手応え、アシストの立ち上げ方なども微妙に変えているそうだ。

ドライブモードは「ECO」「Sport」「My Sense」の3つ。

それぞれのモードで設定できる部分が異なる。

ステアリングは「Comfort」「Regular」「Sport」の3つの設定から選べる。

リラックスするために音楽をかける。残念ながら新型車のオーディオはどんどんCDのスロットがなくなっている。やむを得ずApple CarPlayでAppleMusicを使ってみる。




これがびっくりするくらいいい音がするのだ。


インテンスには、BOSEのサウンドシステムが標準でつく。9スピーカーのシステムで、注目はトランクに設置されたサブウーファーだ。詳細はわからないが、どうやらブループリント・アコースティック社のフレッシュエア・スピーカー技術を元に開発されたもののようで、貴重なカーゴスペースを犠牲にすることなく、豊かな強力な超重低音サウンドが楽しめるという触れ込みにウソはない。文句なくBセグトップ級のオーディオだ。これはいい。

サブウーファーはラゲッジ左側に設置されている。ブループリント・アコースティック社のフレッシュエア・スピーカー技術を元に開発されたもの。
8スピーカー+サブウーファーはBOSEとの共同開発。
ラゲッジスペースは左右102cm、奥行63cm、高さ65cm

後席を倒す(分割可倒式)と奥行は136cmまで拡がる。

オーディオの音は最高なのだが、タイヤのロードノイズがちょっと大きい。タイヤサイズは205/45R17のコンチネンタルEcoContact 6を履く(この1銘柄だそう)。もっとロードノイズが低いタイヤを履いた方がいいと思った。




燃費は、534km走って燃費は5.8ℓ/100km。17.2km/ℓ(平均速度33.8km/h)だった。WLTCモードが17.0km/ℓだから、それ以上の燃費だったことになる(あくまでも燃費計の数字だが)。

ステアリングホイールが丸いのはうれしい。
シャークフィンアンテナは8800円のオプション。これはつけておきたい。
成田空港の駐車場はこの通りガラガラだった。

最上級グレードだからアンビエントライトの色や明るさを調整できる。最近流行の装備なのだが、個人的にはあまり必要性は感じない。

立派になったルーテシア。それでも前型よりボディサイズは小さくなっているのだ。

ほんの数日、一緒に過ごしただけだが、新型ルーテシアの実力は非常に高いと感じた。大きくなりすぎたCセグのクルマより使いやすくて燃費もいい。なんとなく、CセグからBセグへ、自動車の中心点が移動しつつあるように感じた。




新型ルーテシアなら、おそらくなにも我慢することなく一家に一台、ファーストカーの役割を果たしてくれる。価格もリーズナブルだ。7速DCTのマナーを除けば、


「フランス車ってやっぱりちょっとマニアっぽいよね」という部分はない。(非常に良い意味で)ごく普通に乗れる出来の良いBセグハッチバックだ。

BセグがハッチバックもSUVも中心になっていく、そんな予感を漂わせる新型ルーテシア。

ルノー・ルーテシア インテンステックパック


全長×全幅×全高:4075mm×1725mm×1470mm


ホイールベース:2585mm


車重:1200kg


サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式


駆動方式:FF


エンジン


形式:直列4気筒DOHCターボ


型式:H5H


排気量:1333cc


ボア×ストローク:72.2mm×81.4mm


圧縮比:9.6


最高出力:131ps(96kW)/5000pm


最大トルク:240Nm/1600rpm


燃料供給:DI


燃料:無鉛プレミアム


燃料タンク:42ℓ


燃費:WLTCモード 17.0km/ℓ


 市街地モード12.7km/ℓ


 郊外モード:17.2km/ℓ


 高速道路:19.8km/ℓ


トランスミッション:7速DCT


車両本体価格:276万9000円

情報提供元: MotorFan
記事名:「 新型ルノー・ルーテシア | いきなりBセグハッチバックの「優等生」 この一台ですべてこなせる