TEXT●森口将之(MORIGUCHI Masayuki)
自動車メディア業界初の仕事場がRV(レクリエーションナルビークル)専門誌の編集部で、妻の実家は世界一の豪雪都市である青森市。そんなバックグランドを持っている僕はどうしても、SUVに関しては本格派を推しがちだ。
まずはクロスオーバーのパイオニアであるスバルのXV。多くのなんちゃってSUVと一線を画しているのが最低地上高200mmという、本格派SUVに匹敵する数字だ。水平対向4気筒エンジンと左右対称4WDシステムも、1972年のレオーネ4WD以来の伝統。そのうえで現行型は環境に優しいマイルドハイブリッドも選べる。
もうひとつのXVの魅力はスタイリッシュなボディと鮮やかなカラー。色でも楽しませてくれる数少ない日本車のひとつだ。
なんと言っても元祖SUVは外せない。多くのSUVが逃げ出してしまうような極悪非道を、ラダーフレームや前後リジッドサスペンションなど伝統的な技で平然とクリアしていく。しかも電子制御に頼っていないからこそ、操る歓びも満喫できる。
さらに特筆すべきは現行型で、右ハンドルのドラポジがまともになり、ハンドルがよく切れるなど、日本の道への適性を大幅に高めている。日本で売れ筋のアンリミテッドではなく、2ドアのショートボディを選んだのは、それがオリジンだから。
オフロードでも予想以上に使える2リッター4気筒ターボが選べないのは残念だけれど、3.6ℓV6という自然吸気大排気量マルチシリンダーを選べる車種は希少になりつつあるので、味わい重視ならいいと思っている。
ラグジュアリーブランドやスーパーカーブランドが続々とSUVをリリースしている。あのような車種を欲しいと思うだろうか。同じ価格帯でそのブランドの伝統を濃厚に受け継ぐセダンやスポーツカーが買えるのに、なぜあのようなクルマを選ぶのか理解できない。どうせ買うなら本物に限る。
ということでレンジローバー。今から50年前の1970年にラグジュアリーSUVというカテゴリーを確立したパイオニアであることも尊敬の対象だが、エクステリアもインテリアも控えめながら上質で、真の高級とは飾り立てることではないことを教えてくれる点も好印象。SUVとは思えない優しい乗り味は病みつきになる。3種類あるパワートレインは3ℓV6ディーゼルターボがおすすめだ。
『予算別おすすめSUV・3選』は毎日更新です!
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