TEXT●大音安弘(OTO Yasuhiro)
クルマの購入を考えた際、300万円以下という予算は、割とリアルな価格帯だ。それだけに、お財布に優しくて、最もワクワクできるSUVである「ダイハツ・タフト」を押したい。
「SUVならば、同じ軽でも本格派のスズキ・ジムニーじゃないの?」って声もあるだろう。確かにジムニーは凄い。ストイックに自然を親しむならば、その答えは正解だが、もし誰かとレジャーを楽しみたいなら、タフトはあなたの最強の味方となってくれるだろう。
ガラスルーフの「スカイフィールトップ」は、単なる明り取りではなく、乗員の視界を広げ、ワクワク感をアップ。タフトが提案する2名乗車仕様なら、後部は広い荷室に早変わり。あれこれ必要なキャンプ道具だって楽々と飲み込んでくれる。そしてDNGAが生む軽レベルを超えた走りの良さは、どこまでも足を延ばしたくなる頼もしさが味わえる。
でも購入するなら、ターボにすべし。NAとは、走りの差が段違いだ。
600万円もの予算があれば、SUVも選びたい放題となるが、ここは大きさではなく、性能に予算を回して「SQ2」をチョイス。都市型SUV「Q2」の高性能バージョンだ。実質的にエントリーモデルとなる「30TFSIスポーツ」と比較すると、驚くなかれ、213万円も高い! ちょっとハードル高めの車種なのだ。しかし、スペックもキャラクターも大きく異なる。
アウディ自慢の4WD「クワトロ」の効果もあり、0-100km/h加速は、4.8秒をたたき出す。その性能も納得で、300ps/400Nmの2.0L直列4気筒ターボは、「30TFSI」が搭載する実用十分な1.0L直列3気筒ターボの約2.6倍の出力を誇るのだから...。
意外なのが、その乗り味で、意外と大人の味付けで、乗り心地も悪くない。分かる奴だけが乗ってくれれば良い。そんなシブさを感じる特別なQ2なのだ。
どれでも欲しいSUVが手に入れられるなら、アストンマーティンDBXを選びたい。DBXはアストン初となるSUVだが、ラグジュアリースポーツメーカーのSUVとしては、最後発となる。ただその分、スポーツカーとSUVのクロスオーバーとなるDBXに求められる本分をしっかりと理解している。
乗り心地は、英国車らしい見事なおもてなし。それでいて、400ps/700Nmを発揮する4.0LV8ツインターボを活かしたスポーツ走行も、お得意。それでいてオフロードも難なくこなすというのだから、まさにジェームズ・ボンドみたいなクルマだ。
しかし、最も好意を抱く点は、DBXがまぎれもなく、アストンであること。5m越えとワイドボディだが、巧みなデザインでサイズはもっと小さく映るし、その流麗なシルエットも、アストン・クーペのイメージにもピタリと重なる。ブランドの持ち味と高性能のミックスは、初代ポルシェ・カイエンターボの衝撃に匹敵すると思う。
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