日産ルークスは「ミニバンの使い勝手と軽の運転しやすさを両立した」という。運転席の見晴らしの良さと広い後席空間、それに日産でいえばセレナに相当する、ミニバンと同等の先進安全装備を搭載しているのが特徴だ。


TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1780mm ホイールベース:2495mm

後席の広さをウリにする軽自動車には何度も乗り込んでおり、外からイメージする以上に室内が広いのは承知しているつもりだ。それでも、「なにこの広さ!」と感嘆するほど、ルークスの後席は広い。スライドを最後端にした状態で後席に座ると、足が組めるほど前方に余裕がある。スライドを最前にすると足の置き場もないほど窮屈になるが、荷室スペースを優先する場合の限定的な使い方だろう。後席左側を最前、右側をもっとも後ろにした状態の写真で様子を確認していただきたい。

身長183cmの筆者が前後に座っても後席の膝元はこれだけ余裕がある。

トランスミッションは、CVT ギヤ比は2.411〜0.404 後退:2.295 最終減速比:7.319

後席左側を最前、右側をもっとも後ろにした状態がこちら。

新型ルークスはバックドアの構造を工夫したことによって、最初から最後まで軽い力で閉じるようにした。従来は構造上、途中で重くなったのだ。新型ルークスを開発する際、開発陣はスーパーマーケートやショッピングセンターに出向き、軽自動車の使われ方を調査した。すると、買い物した荷物を荷室ではなく、後席足元に置くユーザーが多いのがわかったという。とくに女性ユーザーにとって、バックドアの開閉は重くて面倒というのが使わない理由だった。

後席を一番後ろにスライドするとこの位置。
後席を一番前にスライドするとこの位置。
後席を一番後ろにスライドすしたときの荷室はこうなる。
後席を一番前にスライドすると最大の荷室スペースになる。

こうした背景から、新型ルークスはバックドアが軽々と閉じるように改良した。どれどれと閉めてみると、なるほどいわれたとおり軽々と閉まる。もう一度開けて荷室を確認してみたが、後席がもっとも後ろにある状態だと、わざわざバックドアを開けて荷物を積み込もうと思うほどのスペースは残っていない。後席シートを最前にスライドすると、広大なスペースが生まれる。

荷室側から後席のシートスライドが操作できるのは便利だ。

「使う人のことをよく考えているな」と感心したのは、荷室からのシートスライド操作だ。シートの外側にリクライニングレバー、内側にスライドレバーがついている。どちらも、片手で楽に操作できる。つまり、片方の手が買い物袋などでふさがっていても、空いた手で楽に操作できるということだ(試してみた)。リクライニングレバーを操作すると、後席のシートバックは直立した状態まで立てることができるので、後席が最後端にあっても使えるスペースが増す。

後席を一番後ろにすると、荷室はミニマムだが
後席のシートバックは一番立てると使える空間は増える。

試しにルークスに乗っていつものスーパーマーケットに行き、1週間分の食材を買った。大きめのエコバッグがふたつである。両手がふさがっていたので、「バックドアを開けるのはおっくうだな」と思ったし、「そうだ、あれがあるじゃないか」と思った。




「ハンズフリーオートスライドドア」である。前後ドアの境目あたりでクルマの下に足を出し入れすると、足の動きをセンサーが感知してスライドドアが開く機能だ。ここぞとばかりに足を出し入れしたが反応しない。何度か繰り返して諦め、最後は手で開けた。




「メインスイッチがオフになってる?」と思い、確かめたが、スイッチはオンになっている。スイッチの絵文字を見ると、あたかも左側のドアが反応するように描いてあり、「そうか、ハンズフリーで開くのは左側のみか」と早合点して左側ドアで試してみたが、やはり反応しなかった(何度空振りしたことか)。

ハンズフリーオートスライドドアのメインスイッチ

後でわかったことだが、開け方にはコツがあり、膝から下をシンプルに前後に振るだけでいい。反応しないからといって、まさぐるような動きは禁物だ。そして、左側だけでなく右側スライドドアもハンズフリーで開く。ルークスの購入者は納車時に販売店でレクチャーを受けることと思うが、デキル人の例を参考にコツをつかんでおいたほうがいいだろう。ハンズフリーオートスライドドアの操作に慣れてしまってからというもの、荷物置きはもっぱら後席足元になった。

ルークスは運転席からの見晴らしがいい。

新型ルークスは運転席からの見晴らしの良さにもこだわった。日産が公表したデータによると、アイポイントの高さは先代ルークスより61mmも高く、ミニバンのセレナに近い(セレナより少し低い)。主に身長の低い女性をターゲットにした配慮である。身長の高い人はどうなのかと身をもって確かめてみたが、屋上の柵から身を乗り出すような不安感はなく、ただ見晴らしの良さに感心するばかりだ。

室内長×幅×高:2200mm×1335mm×1400mm

スーパーハイト系の軽自動車に共通する傾向ともいえるが、足を投げ出した姿勢ではなく、足を降ろした姿勢になるため足首の角度がきつくなるのが難といえば難である。そのせいで動きの柔軟性に欠け(歳のせい?)、ブレーキとアクセルの踏み替えがおっくうだし、気を遣うし、疲れる。衝突回避をアシストする機能がついているとはいえ、「もしものときにとっさにブレーキ踏めるかな」と不安になる。「これでちょうどいいんだけどな」と感じる位置より1ノッチ後方にシートをずらしたら、だいぶマシになった(そのかわり、ステアリングは遠くなる)。

助手席側面のレバーを操作すると、楽に助手席を前方にスライドさせることができる

後席へのエアコン吹き出し口はここに。

シートスライドの気遣いは運転席に座っても享受でき、振り返るようにして助手席側面のレバーを操作すると、楽に助手席を前方にスライドさせることができる。後席の冷房効果を高めるため、ルーフ内蔵のシーリングファンを搭載しているのもルークスの特徴だ。運転席から手を伸ばせば届く位置に操作系があるのも気が利いている。

タッチパネル式のオートエアコンのコントロール部

気が利いているといえば、ボタンを押したりダイヤルをひねったりせず、望みの風量にタッチするだけで直接アクセスできるタッチパネル式のオートエアコンは、直感的に操作できる点で気が利いている(デイズから採用)。だが、その上にあるトレイに置いた物(サングラスとかスマホとか)を取ろうとした際に手が触れてしまい、意図せず風量がマックスになったりしたことが何度かあった。以来、試乗期間中はエアコン操作パネル上のトレイに物を置かないことにした。

おなじみになったプロパイロットのスイッチ類は他の日産車と同じ、ステアリングホイール右側に配置されている。

アダプティブLEDヘッドライトシステムはプロパイロットエディションの標準装備

高速道路を走行しているときにアクセルとブレーキ、ステアリング操作をクルマがアシストしてくれる「プロパイロット」の設定があることも含めて(一度使ったらやめられない)、「ミニバンの使い勝手と軽の運転しやすさを両立した」という謳い文句にうそ偽りはない。プロパイロットどころか、高いクルマの装備のイメージがあるアダプティブLEDヘッドライトシステム(プロパイロットのカメラで周辺車両や対向車を高精度に認識し、24灯LEDを個別に制御してハイビームのエリアを最大化する機能)もグレード別に設定がある。これも、一度効果を味わったら離れがたくなる機能だ。

居住性や使い勝手、先進安全装備は充実しており、なんら不足はない。ルークスにとっては外形寸法の小ささが大きな武器になっている。

リヤサスペンションはトーションビーム式
フロントはマクファーソンストラット式
タイヤは前後とも165/55R15
銘柄はダンロップENESAVE EC300+を装着

エンジン 形式:直列3気筒DOHCターボ 型式:BR06-SM21 排気量:659cc ボア×ストローク:62.7mm×71.2 mm 圧縮比:9.2 最高出力:64ps(47kW)/5600pm 最大トルク:100Nm/1750rpm 燃料供給:PFI 燃料:レギュラー 燃料タンク:27ℓ モーター:交流同期モーター 型式:SM21 最高出力2.0kW/最大トルク40Nm

ステアリングはチルトは調整できる。

燃費は189km走行して17.6km/ℓだった。モード燃費はWLTCモード 18.8km/ℓ  市街地モード16.7km/ℓ  郊外モード:20.0km/ℓ  高速道路:19.1km/ℓ

トレッド:F1300mm/R1290mm 最小回転半径:4.5m 最低地上高:155mm

日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション


全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1780mm


ホイールベース:2495mm


車重:1000kg


サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式


駆動方式:FF


エンジン


形式:直列3気筒DOHCターボ


型式:BR06-SM21


排気量:659cc


ボア×ストローク:62.7mm×71.2 mm


圧縮比:9.2


最高出力:64ps(47kW)/5600pm


最大トルク:100Nm/1750rpm


燃料供給:PFI


燃料:レギュラー


燃料タンク:27ℓ


モーター:交流同期モーター


型式:SM21


最高出力2.0kW/最大トルク40Nm


燃費:WLTCモード 18.8km/ℓ


 市街地モード16.7km/ℓ


 郊外モード:20.0km/ℓ


 高速道路:19.1km/ℓ


トランスミッション:CVT


車両本体価格:193万2700円


試乗車はメーカーオプション10万4500円(アメジストパープル/フローズンバニラパールM2トーン/快適パックB7万1500円 ロールサンシェード、撥水加工シート 3万3000円)


ディーラーオプション 32万8517円(ナビレコパック28万612円etc.)

情報提供元: MotorFan
記事名:「 日産ルークス 「気が利いている!」ところが随所に見られるルークス、プロパイロットも一度使ったらやめられない!