REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●月刊モト・チャンプ
研究用モデルとして開発。モンキーのスーパーチャージャーには100cc前後が最適だと判断
「デイトナ」が製作したスーパーチャージャー・モンキーは、幅広い商品の研究・開発のための車両として、イベントやミーティングなどの催事のみに披露された、走る実験室的なカスタムだ。
スーパーチャージャーとは、エンジン内に空気を送り込むためのタービン(過給機)を強制的に作動させ、大量の混合気を吸い込ませることで燃焼を増大させるシステムのこと。排気圧によってタービンを回すターボチャージャーとは異なり、クランク軸などの回転運動を利用し、ベルト等を介してタービンを動かしているのがポイント。写真のモンキー改は、クランクシャフトの回転運動を利用し、ベルトを経由してタービンを動作させている。
一般的にスーパーチャージャーは、低回転から一気に加速するのが特徴。一方、100cc前後の小排気量車には、ターボチャージャーよりも、低回転域から高回転域までスムーズに過給しやすいスーパーチャージャーが楽しめるはず。これが開発のきっかけだったと、当時のデイトナ開発者は話していた。
いよいよ0-50m大会に出場。モンキーのスーパーチャージャー仕様は怒涛の加速力を披露!
・ベースマシン:モンキー50(12V)
・スーパーチャージャーシステム:試作
・エンジン:ハイポートヘッド104cc+ロングストローククランク(ボア52mm×ストローク49mm)
・キャブレター:ケイヒンPCφ20
・ミッション:5速クロス
・クラッチ:湿式4ディスク
・マフラー:メガホン(試作)
・前後ホイール:10インチチューブレスアルミ
・フロントフォーク:Φ31正立型
・スイングアーム:160mmロングアルミ
・リヤショック:335mm
・外装:アルミ製ガソリンタンク、トラッカーシート改
ブースト圧は0.5~1.0kgに設定。排気量104ccで15馬力以上を発揮
試乗インプレッション!どこまでも続く独特の図太いトルクを発揮
このモンキー改はミニバイクの領域を超えた、驚異のパワーと新発力
スーパーチャージャー・モンキー(2001年仕様)の過給機部をチェック
サージタンクの容量見直し、各部のレイアウト変更、プーリー比の見直し等々、随時仕様変更されたデイトナのスーパーチャージャー・モンキー。その後も改良を重ね、足周り、外装共々着実に進化。最終的には、ロー&ロング+フルカウル付きのドラッグマシンフォルムとなった(2001年仕様)。
直線にマトを絞った(ここに辿り着いたともいえよう)同車の速さは改良ごとに磨きが掛かり、2001年の春、デイトナ本社のテストコースで行われた0-50mのテスト走行において、写真の2001年仕様は非公式ながら、3秒を切る驚愕のタイムを連発した。
多くのモンキー好き達が待ち望み、一部では市販化も噂されたモンキー用スーパーチャージャーだが、残念ながら市販化には至らなかった(※注)。
※注:スーパーチャージャー・モンキーはあくまでも商品の研究・開発用車両として位置付けられていたため、当時からデイトナでは「キット発売の予定はない」とアナウンスしていた。