45馬力の水冷4気筒エンジンを搭載したクラス最強の「カワサキ Ninja ZX-25R」。マイナーチェンジで41馬力に出力をあげた水冷2気筒の「ホンダ Ninja CBR250RR」。カワサキとホンダが誇る250ccのスーパースポーツをクローズアップ。車検もなくお手軽に乗れるが、驚くほど速い!そんな熱き2台のニーハン(250cc)を比較してみよう。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

カワサキ Ninja ZX-25R……82万5000円(SE/SE KRT EDITIONは91万3000円) ※10%消費税込

写真はNinja ZX-25R SE KRT EDITION(ライムグリーン×エボニー)。

 2020年9月10日、並列4気筒エンジンを搭載したスーパースポーツ250cc、カワサキNinja ZX-25Rの国内仕様がついに発売。2020年7月10日に発表されたインドネシア仕様の最高出力は、ラムエア加圧時で51ps/15,500rpm。一方、国内仕様はラムエア加圧時で46ps/15,500rpmに抑制。とはいえ、国内の250ccクラスでは最強でダントツのパワーを誇る注目の1台だ。




 吸排気に入念なサウンドチューニングが施された4気筒クオーター独特のエキゾーストノート、並列4気筒エンジンのパフォーマンスを最大限に引き出す新設計の高張力鋼製トレリスフレーム、クラス初装備のSFF-BPフロントサスペンションやホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションなど、「これが250ccか!」と思わせる驚愕の機構を、惜し気もなく投入。




 クラッチレバーの操作荷重軽減に貢献するアシスト機能と、シフトダウンに伴う急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するスリッパー機能を備えたクラッチ機構の「アシストスリッパークラッチ」、LED灯火類、ABSなどの最新装備も採用。




 スポーツライディングでのパフォーマンス強化と安心感を高めるKTRC(カワサキトラクションコントロール)、好みや条件に合わせた出力特性が設定可能なパワーモード、スムーズな加速とクイックでイージーな減速を実現するアップ&ダウン両対応のKQS(カワサキクイックシフター)など、最新の電子制御システムにも注目だ。

ホンダ CBR250RR……82万1700円(グランプリレッドは85万4700円) ※10%消費税込

ホンダ CBR250RR。写真はグランプリレッド(ストライプ)。

 ホンダが誇る水冷4ストロークDOHC 4バルブ直列2気筒250ccエンジン搭載のスーパースポーツモデル「CBR250RR」が、2020年9月にマイナーチェンジ。4気筒マルチクオーターのNinja ZX-25Rに対抗すべく、2気筒パラレルツインエンジンをさらに進化させるなど、各部に改良を加えて登場した。




 今回、エンジン、点火系、排気系を見直し、圧縮比をアップさせて最高出力は38馬力から41馬力にアップ。Ninja ZX-25Rにも採用の、クラッチレバーの操作荷重とシフトダウンに伴う後輪ホッピングを軽減する「アシストスリッパークラッチ」を標準装備し、「クイックシフター」もオプション設定するなど、サーキットでタイムを削る=Ninja ZX-25Rを倒すための装備が新たに投入された。




 カラーリングが変更された外観は、サーキットが良く似合う、肉感的ながらシャープで攻撃的なカウル類で武装。より緻密なスロットルバルブの制御を行う「スロットルバイワイヤシステム」を採用し、ライディングモードの各パラメーター設定値を最適化。ライダーの好みに合った「3種の出力特性の選択」を可能にしているのもポイント。




 Ninja ZX-25Rにも採用やLED灯火類、ABSなど、最新機能も各種装備済みだ。

両車のスタイリングとサイズを比較

▲カワサキ Ninja ZX-25R

▲ホンダ CBR250RR(マットガンパウダーブラックメタリック)

▲カワサキ Ninja ZX-25R

▲ホンダ CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)

▲カワサキ Ninja ZX-25R

▲ホンダ CBR250RR(グランプリレッド)

▲カワサキ Ninja ZX-25R

▲ホンダ CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)

■カワサキ Ninja ZX-25R(SE KRT EDITION)


全長×全幅×全高:1,980mm×750mm×1,110mm


軸間距離:1,380mm


最低地上高:125mm


シート高:785mm


キャスター/トレール:24.2°/ 99mm


車両重量:184kg


最小回転半径:2.6m


燃料タンク容量:15L




■ホンダ CBR250RR


全長×全幅×全高:2,065mm×725mm×1,095mm


軸間距離:1,390mm


最低地上高:145mm


シート高:790mm


キャスター/トレール:24.3°/ 92mm


車両重量:168kg


最小回転半径:2.9m


燃料タンク容量:14L




 フルカウルを装備した外観は、どちらもサーキットが良く似合うシャープでスポーティなもの。写真で見る限り、両車ともハンドル位置は低めにセットされ、ステップも攻撃的なレイアウト。




 前後ホイールはどちらも17インチを採用。全長はCBR250RRが85mm長く、車体はやや大柄だが、軸間距離(ホイールベース)は10mm長という設計。数値上では、全長1,980mmのコンパクトでクイックなイメージの強いNinja ZX-25Rに比べ、CBR250RRはサーキットからストリートまで、幅広く安定した走りが楽しめそう。




 キャスター/トレールは、両車とも直進安定性と旋回性を吟味した、スポーツモデルに多用の範囲に設定。最小回転半径はNinja ZX-25Rが0.3m小さく、やや大柄なCBR250RRよりも渋滞路にも強みを発揮しそうだ。

「速さを生み出す秘密は、軽さにあった」がキャッチコピーのスズキ アルトワークス。670kg(5MT / 2WD)の軽量なボディに水冷4サイクル直列3気筒660ccエンジン+インタークーラーターボを搭載。その走りは64馬力の軽自動車ながら、「ワークス」の名に相応しい驚くほどスポーティーなもの。

 2気筒エンジンを搭載したCBR250RRの重量は、エンジンの面積やエンジンの総部品点数の多い、4気筒エンジンを搭載したNinja ZX-25Rよりも16kg軽量。




 四輪車の中には「軽さはスポーツだ」的な文言を謳う車種(スズキのアルトワークスやスイフトスポーツなど)もあるが、軽量な車体にハイパワー&高トルクなエンジンを搭載したCBR250RRは、まさにコレに当てはまる。CBR250RRの軽さは街乗りだけでなく、サーキット走行でも大きなアドバンテージとなるはず。

▲カワサキ Ninja ZX-25R。フロント部には、Ninja ZXシリーズのトレードマークであるラムエアの吸入孔を設置。

▲ホンダ CBR250RRのフロントマスク。Ninja ZX-25Rに負けず劣らず、シャープでスポーティなイメージにデザイン。

▲カワサキ Ninja ZX-25Rのガソリンタンク。CBR250RRに比べてスリムなイメージだが、容量は15L。
▲ホンダ CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)のガソリンタンクは、樹脂によるホールド性を持たせた肉感的な外観。容量は14L。
▲カワサキ Ninja ZX-25Rのテールランプ部。非常にシャープなイメージにデザイン。LEDを採用。
▲LEDを採用した攻撃的なイメージのホンダ CBR250RRのテールランプ部。

Ninja ZX-25Rの4気筒エンジンと、CBR250RRの2気筒エンジンを比較

Ninja ZX-25Rの4気筒エンジン(写真左)、CBR250RRの2気筒エンジン(写真右)

■カワサキ Ninja ZX-25R


エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ


総排気量:249cc


内径×行程(ボア径×ストローク長):50.0mm×31.8mm


圧縮比:11.5:1


最高出力:33kW(45ps)/15,500rpm


※ラムエア加圧時:34kW(46ps)/15,500rpm


最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/13,000rpm


レッドゾーン:1万7000~2万rpm




■ホンダ CBR250RR


エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列2気筒/DOHC 4バルブ


総排気量:249cc


内径×行程(ボア径×ストローク長):62.0mm×41.3mm


圧縮比:12.1:1


最高出力 30kW(41PS)/13,000rpm


最大トルク:25N・m(2.5kgf・m)/11,000rpm


レッドゾーン:1万4000~1万6000rpm




 どちらもレーシーなショートストローク型エンジン(ストローク長よりもボア径が大きい)を採用。ショートストローク比(内径÷工程)はNinja ZX-25Rが1.57、CBR250RRが1.50で、Ninja ZX-25Rの方がショートストローク。




 CBR250RRはライバルのNinja ZX-25Rに対抗すべく、エンジン各部のフリクションロスや、高圧縮ピストン等に変更。市販車では高圧縮の部類に入る、12.1まで圧縮比をアップして最高出力を41馬力までパワーアップさせた。




 しかしながらNinja ZX-25Rの最高出力は、CBR250RRの41馬力を遥かに凌ぐ、45馬力(ラムエア加圧時は46馬力)を出力。250ccクラスにとっての5馬力は、体感的にも大きく、Ninja ZX-25Rの凄さがよく分かる数値となっている。




 Ninja ZX-25Rはハイパワーな小排気量4気筒エンジンならではの超高回転型仕様。1万5500回転でMAXパワーを出力し、レッドゾーンは1万7000~2万回転というレーシングマシン並みの驚異的な数値がポイント。




 この点において、Ninja ZX-25Rは限りなくレーサーに近いテイストに仕上げられているのが分かる(一般公道用のため、もちろんストリートで多用する低中回転域での扱いやすさも吟味されている)。

Ninja ZX-25Rのエンジン特性を示したグラフ。急激とも言える、レーサーのような伸びやかなパワーカーブながら、扱いやすいフラットなトルク特性を備える。

CBR250RRのパワー&トルクカーブ。Ninja ZX-25Rに比べてやや緩やか。

 一方、CBR250RRは1万3000回転でMAXパワー(41馬力)を発揮し、レッドゾーンは1万4000~1万6000回転。Ninja ZX-25Rよりも、2500rpm低い回転数で最高主力を発揮する。




 一般的に2気筒は、1気筒あたりの爆発力が4気筒よりも大きくなるため、軽量&小型のピストンで多くの往復運動をこなす、4気筒のような超高回転型にするのは物理的に不可能(2気筒の大排気量車が、超高回転型エンジンでないのは基本的にこのため)。




 とはいえ、2気筒でレッドゾーンが1万4000~1万6000回転を可能にしたCBR250RRは、驚くほど高回転型エンジンであるといえる。




 なお、超高回転域でMAXパワーを発揮するNinja ZX-25Rは、CBR250RRよりも最大トルクの数値が0.4kgf・m低いのが特徴(この点は、小排気量な超高回転型エンジンの短所だともいえる)。




 Ninja ZX-25Rよりもトルクの深い、“トルクを出しやすい2気筒”のCBR250RRは、街中で多用する低中回転域でも扱いやすく、バイクビギナーでもスムーズに走行できるのがポイントだ。




 一般的に高回転域でパワーを稼いでくれるが、その犠牲としてトルクの細いバイクを速く走らせるためには、一定のパワーバンド(もっともパワーの出やすい回転数)をキープする必要があるため、適格・適切なミッション操作やスロットルワーク(つまりテクニックや経験)が要求される。




 分かりやすい事例として、登り坂が連続するタイトな峠道の走行を想像して欲しい。トルクの薄い(低い)ピーキーな超高回転型エンジンは、ひとたびパワーバンドから外れる(回転数が下がる)と、たちまち失速。これを防ぐためには、パワーバンドのキープ=最適な(車種によっては神経質な)シフトチェンジが要求されるわけが……

▲Ninja ZX-25RのKQS(カワサキクイックシフター)。SEモデルに標準装備、スタンダードモデルはアクセサリー設定。

 Ninja ZX-25Rは「クイックシフター」を採用(※注1)し、クラッチ操作なしのシフトアップ&シフトダウンを可能とした。これにより、ライディングに不慣れなビギナーでも、回転数に関係なく、スムーズな加速とクイックでイージーな減速ができ、超高回転エンジンの特性を楽しめるよう工夫されている。




 なお、ライバルとなるCBR250RRにも、オプション設定(2万5300円/消費税10%込)として、迅速なシフトチェンジを実現するシフトアップ&ダウン対応の「クイックシフター」をスタンバイ。高回転型エンジンの性能をフルに堪能できる、スムーズで素早いシフトチェンジを可能としている。




※注1:SEモデルに標準装備。スタンダードモデルはアクセサリー設定

▲フロントカウル中央孔から空気を取り入れるNinja ZX-25Rの「ラムエアシステム」は、吸気効率を向上させ、エンジン性能向上に貢献。「Ninja H2」と同様のエアボックスに向かう途中でフロントフォークの左側を迂回するダクトレイアウトを採用。

▲CBR250RRのダウンドラフト式吸気レイアウト。エアクリーナーから燃焼室への吸気抵抗低減のために、ダウンドラフト式吸気レイアウトを採用。11.5の高圧縮比、大径バルブ、大径スロットルボアとともに吸気の高効率化を追求し、高出力化に対応。

フレーム&足周りを比較

▲Ninja ZX-25R。高張力鋼製軽量のトレリスフレームは、異なる径と厚さを持つパイプと、モナカ形状のスイングアームピボットセクションの組み合わせで構成。

▲ホンダ CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)。フレームは鋼管トラス構造とし、強さとしなやかさを両立。テストライディングの繰り返しにより、各ガセット類など細部に至るまで調整済み。

■Ninja ZX-25R


フレーム形式:トレリス


フロントフォーク:倒立型SFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)


※インナーチューブ径:37mm


スイングアーム:ホリゾンタルバックリンク式


スイングアーム本体:スチール製


Fホイール:5スポーク 17M/C×MT3.50


Rホイール:5スポーク 17M/C×MT4.50


Fタイヤ:110/70R17M/C 54H(ダンロップ GPR300 / ラジアル)


Rタイヤ:150/60R17M/C 66H(ダンロップ GPR300 / ラジアル)


Fブレーキ:シングルディスク 310mm (外径) +


ラジアルマウント式モノブロック型・異径(上側ø32mm / 下側ø30mm)対向4ピストンキャリパー


Rブレーキ:シングルディスク 220mm (外径) + 片押し1ピストンキャリパー




■ホンダ CBR250RR


フレーム形式:ダイヤモンド


フロントフォーク:倒立型


※インナーチューブ径:37mm


スイングアーム:プロリンク式


スイングアーム本体:アルミ製


Fホイール:7スポーク 17M/C


Rホイール:7スポーク 17M/C


Fタイヤ:110/70R17M/C 54H


Rタイヤ:140/70R17M/C 66H


Fブレーキ:シングルディスク 310mm (外径) + サイドマウント式片押し2ピストンキャリパー


Rブレーキ:シングルディスク 240mm (外径) + 片押し1ピストンキャリパー

▲Ninja ZX-25Rのシャーシ。重心位置、スイングアームピボットの位置、エンジン軸の位置、キャスター角など、シャーシの主要寸法は、スーパーバイク世界選手権に参戦しているレースマシン「Ninja ZX-10RR」のシャーシ設計思想を反映。

・ショーワのSFF(セパレートファンクションフロントフォーク)とBPF(ビッグピストンフロントフォーク)のコンセプトを組み合わせた、250㏄クラス初採用の倒立型φ37㎜SFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)フロントフォークを採用




・ショックユニットとリンケージをスイングアーム上方に配置し、マフラーに大容量チャンバーの搭載が可能となり、マスの集中化にも貢献する、Ninja ZX-10Rと同様の「ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンション」を採用。スイングアーム本体はスチール製




・過酷なブレーキング時にも安定した制動力を確保する、異径対向の4ピストンを備えたモノブロック型キャリパーを採用。また、取り付けはサイドマウント式ではなく、レーシングモデル定番のラジアルマウント式(進行方向にボルト固定したキャリパー)を導入




・ABS システムには、ニッシンの最新ABSコントロールユニットを採用。モーターサイクル用に特別開発されたこのABS は、軽量コンパクトかつ、緻密なブレーキ制御を実現

▲ホンダ CBR250RRのシャーシ。「速さを伝えるマシン骨格」を目指して、シャシーはゼロから構成を検討。フレームは鋼管トラス構造とし、強さとしなやかさを両立。

・フロントサスペンションは倒立式を採用。スライドパイプ径をφ37mmとし、高い剛性と路面追従性に貢献。サーキット走行を想定し、フロントフォーク突き出し量を増やすことで、車体セッティングの自由度をアップ




・左右非対称のガルアーム形状スイングアームを採用。「ヘの字形状」の右側アームはエキゾーストパイプの外側への張り出しを抑え、車体のスリム化とバンク角確保に寄与。スイングアームをアルミ製にすることで、リヤのバネ下重量の軽減とともに、マス集中化による運動性能を向上




・リヤサスペンションは5段階のプリロード調整機構を装備し、プログレッシブな反力特性が得られるプロリンクを採用。ライダーの好みやタンデムライディング時に合わせてアジャストも可能




・ウェーブ形状のディスクブレーキは、フロントにφ310mmのフローティングシングルディスク、リヤにφ240mmのシングルディスクを採用。制動時の安心感を高めるABSも標準装備済み

▲カワサキNinja ZX-25Rのフロント周り。フロントには大径のΦ310mmセミフローティングディスク(有効径:ø276mm)に、異径ピストン(上側:ø32mm、下側:ø30mm)を備えた対向4ピストン型の「ラジアルマウント・モノブロックキャリパー」を採用。ディスク径は「Ninja ZX-14R」と同径。
▲カワサキNinja ZX-25Rのリヤ周り。スイングアームはへの字型。キャリパーは片押し1ピストン。
▲カワサキNinja ZX-25Rのリヤ周り。リヤショック&スイングアームはショックユニットとリンケージをスイングアーム上方に配置し、マフラーに大容量チャンバーの搭載が可能となり、マスの集中化にも貢献する「ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンション」を採用。
▲カワサキNinja ZX-25Rのタイヤ。前後とも軽量なハイグリップのラジアルタイヤ「ダンロップGPR300」を採用。
▲CBR250RRの前後ホイールは、Ninja ZX-25Rと同寸の7スポーク型17インチを装備。SHOWA製フロントフォークはφ37mmの倒立式。ダンパー機構は左側のみに搭載。
▲CBR250RRのフロントブレーキはウェーブ形の大径Φ310mmシングルディスクにNISSIN製サイドマウント式片押し2ピストンキャリパーを組み合わせ。
▲CBR250RRのリヤブレーキは、豪華なウェーブ形のΦ240mmディスクに片押し1ピストンキャリパーをチョイス。
▲CBR250RRのスイングアームは軽量で高強度なアルミ製。モノショックは5段階のプリロード調節可能。

ライディングポジションと足着き性を比較

▲Ninja ZX-25R(写真はメタリックスパークブラック×パールフラットスターダストホワイト) ライダー:ケニー佐川(身長は179cm)

▲CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前) ライダー:近田 茂(身長は170cm)

▲Ninja ZX-25Rのハンドル周り。Fフォークは、金色に輝くフォークトップが眩しい、倒立型のショーワ製φ37mmのSFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)。左右で別々にスプリングと減衰力を受け持つ構造。

▲CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)のハンドル周り。セパレートハンドルはトップブリッジの下側にクリップオンされ、レーシーな雰囲気。

▲Ninja ZX-25Rのシート。スポーツ性と快適性を両立。ホールド性に優れ、薄く見えるが座り心地は良好。
▲CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)のシート。段付きのセパレートシートはライダーが腰を引いた時、シートストッパーとしても機能。
▲Ninja ZX-25Rのガソリンタンク(容量15L)。中央に向かって絞り込まれており、足着き性はGOOD。
▲CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)のガソリンタンク(容量14L)。樹脂カバーの追加で力強い印象を与えるタンクデザイン。スポーツライディング時、ライダーとのフィット感も良い。

 Ninja ZX-25Rのハンドル位置は、見た目ほど低すぎず、ヒザの曲がりも緩めで見た目以上に楽なポジション。サーキット走行はもちろん、街乗りも十二分に対応。785mmのシート高と絞り込まれたスリムな形状によって足着き性も良好。




 CBR250RRのシート高は790mm。身長170cmの場合、両足のカカトは地面にべったり。やや前傾姿勢となるライディングポジションは、適度なバックステップとともに、如何にもスポーツバイクというイメージ。ハンドル位置も低めだが、決して遠くはなく、市街地走行やロングツーリングも快適にこなせる。

メーターを比較

▲Ninja ZX-25Rのメーター。レッドゾーンは1万7000~2万回転。

▲CBR250RRのメーター。レッドゾーンは1万4000~1万6000回転。

 Ninja ZX-25Rはアナログ式タコメーターを中央に配置したレーシーなコックピット。液晶パネルにギヤポジションを表示、その右側に多機能ディスプレイを配置したレイアウトは兄貴分のNinja ZX-6Rと共通。




 CBR250RRはフルデジタル式 。液晶エリアをとり囲む、ベゼルの幅を極力薄くデザインし、液晶部を大型化して視認性を向上させながら、ギアポジション、2種のトリップメーター、時計、燃費計、水温計、ライディングモードなど豊富な情報をライダーに伝達。

スペックでは「CBR250RR」は驚くほどの低燃費!両車の燃費をチェック

▲ホンダ CBR250RR(写真はマイナーチェンジ前)。

■Ninja ZX-25R


燃料消費率(km/L)※1:


24.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)※2


18.9㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)※3




■CBR250RR


燃料消費率(km/L)※1:


40.1km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)※2


27.1㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)※3




※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。


※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。


※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。




 諸元表を見る限り、Ninja ZX-25Rに比べてCBR250RRの燃費は非常に良好。2気筒ならではの燃費の良さが、顕著に表れているのが特徴だ。実燃費でどのくらいの差が出るのかが興味のあるところ。

最新の電子制御システムは?

1:KTRC(カワサキトラクションコントロール)


 250ccモデルとして初めてトラクションコントロールを搭載。このカワサキの先進システムは、3つのモードで幅広いライディング条件をカバーすることが可能。滑りやすい路面など、様々な状況において安定した車体の挙動維持をサポートするとともに、スポーツライディングでのパフォーマンスを強化してくれる。




2:パワーモード選択


 フルパワーモードまたはローパワーモードの選択が可能で、ライダーの好みや条件に合わせた出力特性を設定することができる。




3:QS(カワサキクイックシフター) ※SEは標準装備 / スタンダードはアクセサリー


 250ccクラス初となるクイックシフターを装備することで、クラッチ操作なしのシフトアップとシフトダウンが可能。スムーズな加速とクイックでイージーな減速を実現し、爽快なエンジン特性をより楽しむことができる。

1:スロットルバイワイヤシステム


 スロットルグリップの開度を機械式ワイヤー構造ではなく、電気信号を介して伝達する「スロットルバイワイヤシステム」を、250ccクラス初採用(※Honda調べ / 2017年4月時点)。スロットルグリップ操作に対し、より緻密なスロットルバルブ制御を図ることにより、上質で安定感ある加速フィールを獲得。




2:好みに合わせて選べる「3つのライディングモード」を設定


 電子制御の「スロットルバイワイヤシステム」を活かし、好みに合わせて選べる3つのライディングモード(Sport / Sport + / Comfort)を設定。エンジンパフォーマンス向上にともない、各設定値の最適化を実施。




3:迅速なシフトチェンジを実現するシフトアップ/ダウン対応の「クイックシフター」 ※オプション設定


 シフト操作を電気信号に変換し、燃料噴射タイミングや点火時期などをコントロールして、より迅速なシフトチェンジを実現するシフトアップ/ダウン対応の「クイックシフター」をオプションで設定。 

まとめ:「カワサキ Ninja ZX-25R」と「ホンダ CBR250RR」、どちらを選ぶべきか?

 250cc市場に風穴を開けるべく登場した、4気筒エンジン搭載の250cc最強モデル「カワサキ Ninja ZX-25R」。一方、昨今のスタンダードである2気筒エンジンで、最高のパフォーマンスを誇る「ホンダ CBR250RR」。




 クラス最高出力の45psを発揮するNinja ZX-25Rは、胸のすく超高回転型の並列4気筒エンジンを搭載。エンジンフィールや実馬力を見れば、やはりNinja ZX-25Rが確実に一枚上手といえよう。




 カワサキは今回、250ccには贅沢と思われる装備や機能を、Ninja ZX-25Rにとことん詰め込んできた。それでいて、バーゲンプライスともとれる価格設定でリリース。2020年9月10日発売以来(この原稿作成は2020年9月19日)、Ninja ZX-25Rの予約状況は好調とのこと。今後はサーキットイベント等、メーカーも一丸となってNinja ZX-25Rを盛り上げていく模様だ。




 一般的にNinja ZX-25Rのような、スポーツ性の強いモデルは、趣味としてのサブバイク(クルマとビッグバイクを所有したユーザー)として選ばれる傾向にあるといわれる。




 実際、上記の通り、Ninja ZX-25Rはかなりスポーツ性の強いモデル。とはいえ、筆者がもしも通勤に使用するならば、使いやすさ・利便性・燃費性の面で、CBR250RRがいいかな? でも趣味に使うのであれば、Ninja ZX-25Rを選ぶかも。




 もしもあなたがトコトン走りにこだわるならば、超高回転型エンジンで燃費は悪いけれど、“バーゲンプライス”なNinja ZX-25Rをセレクトすべきかな。




 このように用途によってモデルが選べる250cc市場は、ユーザーにとって非常にアリガタイといえる。メーカー様に感謝!

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情報提供元: MotorFan
記事名:「 発売ほやほやの2台。Ninja ZX-25RとホンダCBR250RRを比べてみる。|4気筒と2気筒の250頂上決戦