TEXT●御堀直嗣(MIHORI Naotsugu)
第3位は、1987年からの初代オペル・オメガ CDだ。オペル・レコルトの後継として誕生した中型4ドアセダンで、ステーションワゴンもあったが、私は4ドアセダンに乗っていた。直進安定性に優れ、座席は無印だったがレカロ製で、数百kmを一気に運転しても疲れ知らずだった。さまざまな人から、なぜメルセデス・ベンツEクラスを選ばなかったのかと問われたが、値段の安さと、長距離移動の多かった当時の私の仕事には最適だったのだ。
第2位は、GMのシボレー・コルベットである。ただし、現行のミッドシップとなる前のFR時代のものに限る。所有していたのは、4代目のC4だが、その後の歴代もコルベットならOKというくらいに夢中だった。将来の夢として、GMを扱うヤナセで、コンバーチブルの、外観がライトブルーで、内装が白の本革を特注することを思い続けてきた。飛ばすのが目的ではなく、日本に居ても首都圏の湾岸線を流して走ると、米国の西海岸を駈けているようで気持ちを解放してくれた。
第1位は、テスラ・モデル3だ。これはまだ所有したことはない。だが、テスラのなかでもっとも上質な量産車といえ、モーター駆動の快さだけでなく、大きな画面しかダッシュボードにない内装は、単に奇をてらった装備ではなく、画面に映し出される速度や、周辺のクルマの動きなど、すべてが運転者にとって適切な情報として自然に目に入り、それでいて鬱陶しくなく、安心して運転し続けられる人間工学を極めた装備となっているところに、従来のエンジン車の概念からしか発想できない他社にはない独創性と、先進さと、本物としての実用性を実感した。
EVに対しては、いろいろな意見があると思うが、乗用車の将来はEVしかないと私は考えているし、それによってエンジン車の時代には想像もできなかったクルマの新しい魅力を発見することができる。
唯一残念なのは、日産のリーフのようなVtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)への対応がなされていない点だ。これもEVならではの商品力の拡張性の一つであり、電力の社会基盤(インフラストラクチャー)との相互関係が採り入れられれば、文句ない一台といえる。しかも、廉価な車種が後輪駆動であるのもうれしい。
第3位のオペル・オメガ同様、私は4ドアセダン好きでもあるので、市場のEVのなかでは、やはりモデル3に目が行くのである。