今回はそんな魅力あるセダン、そのなかでも運転の楽しいスポーツセダン5選紹介する。現在スポーツセダンは新車価格は高く、簡単に手が出せないものが多い。しかし中古車は別。10年前、手が届かなかった魅力あるスポーツセダンが100万円以内で手に入れることができる。ぜひ自分に合う一台を見つけていただきたい。
ただ、今回は「100万円で買える」スポーツセダンを選んだが、中古のスポーツセダンを選ぶとなると、クルマを見極める目も重要だ。特にスポーツグレードの10年落ちとなると走行距離や程度が厳しくなる。そのクルマの状態、程度はしっかり確認してから購入していただきたい。また必ずしもそのスポーツグレードだけが良いとは限らない。同じエンジンを積んだ他のグレードに変更するのもひとつの手だ。しっかりどのグレード、エンジンが良いかをしっかりと確認してから探すと良いだろう。
2009年に発売されたスバル・レガシィB4は『グランドツーリング イノベーション』をコンセプトとし、水平対向 エンジンを中心とするシンメトリカル AWDなど独自の技術をベースに、初代より磨き続けてきた優れた走行性能や安全性などを進化させたモデルだ。発売当初のエンジンは水平対向4気筒 2.5ℓNAと水平対向4気筒 2.5ℓターボの2種類が設定された。NAエンジンは低回転から発生するトルクによりスムーズでゆとりのある走行性能を実現しており、穏やかでゆったりドライブするのにぴったりだ。その一方でターボモデルは最大出力285psを発生し、最大トルクを2000rpmからフラットに持続させ、優れた走行性能と扱い易さを実現した。またトップグレードには通常の5ATの他に6MTの設定もある。
2012年の改良では2.5ℓターボモデルは2.0ℓ直噴ターボエンジンへとダウンサイジングを果たし、最高出力は15psアップし、300psとなった。同時に2.5ℓNAエンジンも新世代のものにバトンタッチ。こちらは従来型に対して、日常的に使用する中低回転域のトルクを向上させている。
NAとターボモデルの性格の違いは大きい。ターボモデルはWRXほどのじゃじゃ馬で獰猛な性格ではないが、それでも日常生活で「スポーツ」を楽しみたい人向けだ。平均中古価格は約75万円だ。
全長×全幅×全高(㎜)=4730×1780×1505
ホイールベース(㎜)=2750
エンジン:2.5ℓ 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:285ps(210kW)/6000rpm
最大トルク:35.7kg・m(350Nm)/2000~5600rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
新車価格:320万2500円
※2002年発売当時のスペック
マツダスピード アテンザは、当時新開発の2.3ℓ直噴ガソリンターボエンジン「MZR 2.3 DISI(ディジー) TURBO」、電子制御アクティブトルクコントロールカップリング4WDシステムなど、独自の技術を搭載したハイパフォーマンスセダン。最高出力は272ps、最大トルクは380Nmというスペックを誇る。このエンジンのトピックは優れたエンジンレスポンス。筒内冷却効果により初期加速の充填量がアップすることで、ターボチャージャーのタービン/コンプレッサー回転速度が素早くリニアに上昇する。このため、アクセルを踏み込んですぐの2500rpm付近からターボの過給効果を発揮し、優れたエンジンレスポンスを実現した。また電子制御アクティブトルクコントロールカップリング4WDシステムは、前後輪のトルク配分を100:0から50:50まで調整でき、状況に合わせて適切な調節が可能だ。トランスミッションは通常モデルのアテンザにはない6MTのみとなっている。
ノーマルのアテンザは178psの2.3ℓNAと150psの2ℓNAのエンジンが設定されており、マツダスピード アテンザはまったくの別物だと考えた方が良いだろう。特にMTで洗練されたリニアな走りを楽しみたい人におすすめの一台だ。平均中古価格は約73万円。ただ、注意が必要なのは他のモデルと比べて中古車市場にあまり出回っていないことだ。タマ数が少ないため程度が良いものも多くない。購入を検討する場合はしっかり車両の状態を見極めていただきたい。
全長×全幅×全高(㎜)=4760×1780×1430
ホイールベース(㎜)=2675
エンジン:2.3ℓ 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:272ps(200kW)/5500rpm
最大トルク:38.7kg・m(380Nm)/3000rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:6MT
新車価格:302万4000円
※2005年発売当時のスペック
2004年に発売された4代目レジェンドは、「独自の存在感」、「胸のすく走り」、「高い機動性」の3つをキーワードに、あらゆる走行状態において、乗る人に「上質」「快適」「安心」を提供し、「New Driving Experience=新次元のドライビング体験」をもたらすことを目指し、開発された。エンジンは軽量・コンパクト化した「V6 3.5ℓ VTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)」を採用し、発売当時のスペックで最高出力300ps、最大トルク353Nmを発生。トランスミッションは5ATを組み合わせ、低回転域から高回転域まで全域にわたり強力なトルクを生み出し、市街地から高速走行までゆとりのある力強さを発揮させる。実はこのクルマ、2004年にこれまで上限が280psまでだった自主規制が解除されたあと、日本製乗用車では初の自主規制値を突破した歴史的な1台なのだ。また新型レジェンドやNSXにも引き継がれている四輪駆動力自在制御システム「SH-AWD」を採用。前後輪と後輪左右の駆動力を自在にコントロールする。またドライバーの運転操作や走行状態から最適な前後左右の駆動力配分を判断し、前後配分を30対70から70対30、後輪左右配分を100対0から0対100まで無段階制御が可能となった。駆動力を走るためだけでなく旋回にも利用することで車両の運動性を飛躍的に向上させた。さらに当時は珍しかった、車線維持支援機能や歩行者を検知しドライバーに知らせるインテリジェント・ナイトビジョンシステム(世界初)など最新技術がてんこ盛りの高級GTカーだ。2008年に登場した後期型は、エンジンの排気量を3.5ℓから3.7ℓに拡大。最高出力も309psへとパワーアップしている。2010年には新たに6速AT+パドルシフトを採用した。
4人が快適にドライブを楽しめる、ドライバーズカーを求める人におすすめだ。平均中古価格は約60万円。前期型は圧倒的に数が多いが、少し古いため状態が良いものも少ないためできれば後期型を選びたい。おすすめグレードは「レジェンドユーロS」または「レジェンドユーロL」。レジェンドの性格にあったスポーティなグレードだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4985×1845×1455
ホイールベース(㎜)=2800
エンジン:3.7ℓ 水冷V型6気筒SOHC24バルブ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:309ps(227kW)/6300rpm
最大トルク:37.7kg・m(370Nm)/5000rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
新車価格:593万円
※2008年発売当時のスペック
2006年に登場したアルファロメオ・アルファ159は、アルファ156の後継車種として登場した。Dセグメントに属し、ドイツ車のライバルはCクラス、3シリーズ、A4、日本車だとISと競合する。エンジンは直噴式2.2ℓ・JTSエンジン、V6 3.2ℓエンジンの2種類が設定されている。2.2ℓエンジンのトランスミッションは6MTと、ATモード付6速シーケンシャル・トランスミッション「セレスピード(Selespeed)」が選択でき、最大出力は185ps、最大トルクは230Nmを発生する。一方で、V6 3.2ℓエンジンはフルタイム4WD「Q4」との組み合わせとなり、6MTかシーケンシャルモード付き6速AT「Q-トロニック(Q-Tronic)」を選択できる。最大出力260ps、最大トルクは322Nmを発揮する。おすすめはやはりV6搭載モデル。速さと安定した走行性能はピカイチ。さらに高回転型のエンジンはアクセルを踏めば踏むほどV6の甲高いアルファらしいエンジンサウンドを響かせる。特に4000回転以降のサウンドは絶品だ。一方2.2ℓエンジンでも充分スポーティ。ただ、どちらかと言えば実用性重視のエンジンのためスポーツセダンの”雰囲気”を楽しむモデルといえる。
また他にはないアルファ159の特徴はなんといってもこのスタイル。特に縦長の逆三角形フロントグリルは一目でアルファロメオだとわかる印象的なデザインだ。「トライローブ」と言われるこの特徴的なグリルはミラノ市の勲章をイメージしたものだ。他の車にはない個性的なスポーツセダンを求める人にもこのアルファ159はおすすめだ。
平均中古車価格は約89万円。ただ注意が必要なのは3.2ℓのモデルは100万円を超えるものが多いことだ。また、イタリア車のため走行距離10万キロ超のものはできるだけ避けたい。購入前にそのクルマのコンディション(特に2.2ℓモデルを検討するならセレスピードの状態)をチェックしよう。
全長×全幅×全高(㎜)=4690×1830×1445
ホイールベース(㎜)=2705
エンジン:3.2ℓ V型6気筒DOHC24バルブ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:260ps(191kW)/6300rpm
最大トルク:32.8kg・m(322Nm)/4500rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:6MT
新車価格:529万円
※2006年発売当時のスペック
「パサート CC」はその名の由来(CC=コンフォートクーペ)が示すとおり、フォルクスワーゲンの上級 セダン「パサート」をベースに新たに開発されたフォルクスワーゲン初の4ドア4シータークーペだ。現在発売されているアルテオンはこのパサート CCの後継車とされている。エンジンは2.0ℓターボと3.6ℓNAの2種類。前者の2.0TSIは、200psの直噴ターボエンジン「TSI」とティプトロニック付の6速オートマチックトランスミッションの組み合わせ。大きなボディサイズながらゆとりのある走行性能を実現している。一方で3.6ℓV6FSIエンジンを搭載する「パサート CC V6 4MOTION」は、 299psの最高出力を、高効率で経済性に優れる新世代トランスミッション6速「DSG」(デュアルクラッチトランスミッション=DCT)と第4世代に進化したハルデックスカップリング式の四輪駆動システム「4MOTION」を介して無駄なく路面に伝える。これによりV6モデルは、当時、歴代のフォルクスワーゲンでは「最速」と言われ、ダイナミックでパワフルな走りを実現した。
おすすめはやはりV6 3.6ℓNAエンジンだ。前述したアルファ159は音を聴かせるエンジンだが、こちらはどちらかと言えば爽快に走るGTカーという性格。また「DSG」との組み合わせも最高でスポーツセダンらしい小気味の良い変速を実感できる。
平均中古価格は約72万円。V6モデルも100万円以内で十分見つけることができる。ただタマ数が少ないため注意が必要だ。
全長×全幅×全高(㎜)=4815×1855×1425
ホイールベース(㎜)=2710
エンジン:3.6ℓ V型6気筒DOHC24バルブ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:299ps(220kW)/6600rpm
最大トルク:35.7kg・m(350Nm)/2400~5300rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:DCT
新車価格:625万円
※2011年発売当時のスペック
今回は100万円以内という条件を設定したが、もう少し出せば購入可能なモデルを1台紹介する。
それは2002年に発売されたアコードユーロRだ。2.0ℓNAエンジンを搭載したこのモデルはじつはヨーロッパではタイプRとして売られていた。それほど獰猛なスポーツカーというわけだ。最高出力は220psを発揮し、NAの気持ちの良いVTECサウンドを響かせる。中古平均価格は約100万円。今回紹介しなかったのは100万円以内のものは走行距離が過多のものや修復歴ありのものが多かったため。しっかりとした状態の良いものは100万円以内では少なかった。そのため、今回はこのような形で紹介することにした。FFの獰猛なスポーツセダンを求め、100万円プラスαの余裕のある方はぜひチェックしていただきたい。
今回は中古で100万円以内で買えるスポーツセダンを紹介した。スポーツセダンといえばトヨタ・クラウンアスリートや日産スカイライン、BMW3シリーズをまず思い浮かべる人が多いのではないだろうか。この3台を紹介しなかったのは、他とはちょっと違った選択肢を紹介したかったためだ(もちろんこの3台も良いクルマだ)。中古車市場には100万円といえども、高級なGTカーからじゃじゃ馬な激しい性格を持つモデルまで幅広い種類のスポーツセダンが充実している。今回紹介した5台は他の車には持たない個性を持つクルマを選定した。クルマ好きだけどスポーツカーでは実用性が……という方や落ち着いたスポーツカーが欲しいという方にはスポーツセダンはぴったりではないだろうか。ぜひこの5台をショッピングリストに載せて検討していただきたい。