今なお自動車好きの間でマスターピースのごとく語られ続ける、スバルの4気筒660cc[EN07型]。各種バリエーションについて調べてみる。

■ EN07型 基本諸元


シリンダー配列 直列4気筒


排気量 658cc


内径×行程 56.0×66.8mm


ブロック材 鋳鉄

 1989年6月にKH型レックスに搭載されEN05型としてデビューを飾ったが、直後(1990年)の軽自動車規格改正に合わせ、55.6mmから66.8mmへとロングストローク化して排気量アップに対応、EN07型となる。これは、ボアピッチが62.5mmと内径拡大には無理があったため。結果としてロングストローク化は小排気量・直4エンジンの弱点である低回転域のトルク不足も解消したため、以後、スバルの軽自動車用主力機の座を保持する。




 当初はSOHC・8バルブだったが、のちにDOHCヘッド仕様の16バルブが追加される。給気方式は自然吸気およびスーパーチャージャー過給で、ターボチャージャー過給が存在しないのがユニークである。


 スーパーチャージャー過給仕様は先代のEN05型から用意されており、登場当時から現在に至るまで、軽自動車唯一のスーパーチャージャー(インタークーラー付き)搭載機である。スーパーチャージャーとして用いるのは二葉のルーツブロワ。メインプーリからベルトを介して駆動する。




 数多くのバリエーションが存在しているが、乗用車用とトラック用(サンバー)に大別できる。前者はフロント横置きの後方吸気/前方排気、後者は乗用車用ユニットを68.5度と著しく後傾させてリヤ搭載、吸排気方向も上方吸気/下方排気へ反転させている。

サンバーのフレーム&ドライブトレーン。

【乗用車用】


1989/06 EN05A 550cc仕様。NAキャブ。


1989/06 EN05Z 550cc仕様。スーパーチャージャー+インジェクション。


1992/03 EN07A 660cc仕様。NAキャブ。


1992/03 EN07E A型のマルチポイントインジェクション仕様。


1992/03 EN07Z SC仕様。


1992/03 EN07X DOHC-SC仕様。


1998/10 EN07S NAのシングルポイントインジェクション仕様。


1998/10 EN07W SC+SPI仕様。過給圧を抑える「マイルドチャージ」。


2003/12 EN07D DOHC+吸気カムフェーザー仕様。


2005/01 EN07U W型のMPI仕様。こちらもマイルドチャージ。




【サンバー用】


1990/03 EN07C NAキャブ。A型の圧縮比10に対してこちらは9.8。


1990/03 EN07Y SC+MPI仕様。インタークーラーは備えず。


1995/10 EN07F C型のMPI仕様。


1999/02 EN07L LPGとのバイフューエル仕様。


1999/02 EN07V F型のSPI仕様。
EN07Z。圧縮比は8.5。最高出力は47.7kW(64PS)/6400rpm、最大トルクは84.3Nm(8.6kg-m)/4400rpm。

EN07W。圧縮比は8.5。最高出力は43.2kW(58PS)/6400rpm、最大トルクは71.6Nm(7.3kg-m)/4000rpm。

EN07V。圧縮比は10.1。最高出力は34.3kW(46PS)/6400rpm、最大トルクは57.9Nm(5.9kg-m)/4000rpm。

 上記ラインナップのうち、最後まで残ったのはE型、X型、D型、F型、Y型であった。乾燥重量はE型が71.2〜83.4kg、X型が87.9kg、D型が72kg、F型が77.8kg、Y型が84kg。

EN07E。圧縮比は10.5。最高出力は34kW(45.6PS)/6000rpm、最大トルクは58Nm(5.9kg-m)/5200rpm。

EN07X。圧縮比は9.0。最高出力は47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクは93Nm(9.5kg-m)/4000rpm。

EN07D。圧縮比は10.5。最高出力は40kW(53.6PS)/6400rpm、最大トルクは63Nm(6.4kg-m)/4400rpm。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | 660ccなのに4気筒でスーパーチャージャー! スバルEN07シリーズ