実は探してみると今でも新車で買える2ストのバイクはチラホラあるんです。今回はそんな2ストバイク、Ninja150RR、TS185ERに乗って悩んでみました!
PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
Ninja150RR:問い合わせ●オートサロンオギヤマ(http://ogiyama.co.jp/)
TS185ER:問い合わせ●ベテルモーターサイクル(https://www.bethelmc.jp/)
インドネシアカワサキから2015年まで発売されていた2ストロークフルカウルのNinja150RR。
見た目は日本でもよく見る4ストロークNinjaシリーズと似ていますが、なんと中身は水冷2ストローク単気筒エンジン。
公道モデルでカワサキ最後の2ストロークとも言えるモデルでしょう。日本にも2014年式などが多数輸入されていて2020年現在でもまだギリギリ新車で購入することができます。
個人的にインドネシアのバイクって国産と比べてしまうと明らかにチープな部分が多いことがあり、Ninja150RRも実車をみるまではそれと同じ系統だと思ってましたが、実際は国産と比べても見劣りしないほど細部までしっかり作られていて高級感のあるバイクでした。
インドネシアでもこのバイクは高級車として位置付けられており、Ninjaの名に偽りのない圧巻のクオリティです。
エンジンは水冷2ストローク単気筒149cc。キャブレター式で、排気デバイスのスーパーKIPS、2次エアシステムのHSASを搭載しており、90年代の2ストレプリカのようなハイスペック2ストマシンとなっています。
Ninja150RR
全長:1,930 mm
全幅:720 mm
全高:1,095 mm
ホイールベース:1,305 mm
車両重量:134 kg
エンジン型式:水冷2ストローク単気筒
排気量:149 cc
最高出力:28.5 ps
エンジン潤滑方式:分離給油
タイヤ:90/90-17 49S 110/80-17 57S
主に南米で発売されていたスズキのTS185ER。日本でも様々なバイク販売店から新車の状態で販売されています。
この見た目で気づく方もいるかもしれませんが、70年代に日本国内でも発売されていた同社のハスラーシリーズにそっくりな見た目なんです。
しかし日本で売られているTS185ERの大半は2014年式。見た目と年式がここまでかけ離れているバイクも中々少ないでしょう。
とはいえ、2014年式なんだから中身は最新技術が……なんてことはなく、エンジンはまさかのハスラーと同じ空冷2スト単気筒。
ネオレトロが流行っているこの時代にはある意味合っていない、ガチレトロな新車で買える2ストマシンです。
空冷2ストローク単気筒183ccのエンジンは旧車のハスラー250と比べても見た目はほぼ同じ形。排気デバイスは無し、キャブレター式となっています。
TS185ER
全長:2,160 mm
全幅:860 mm
全高:1,125 mm
ホイールベース:1,375 mm
車両重量:102 kg
エンジン型式:空冷2ストローク単気筒
排気量:183 cc
エンジン潤滑方式:分離給油
タイヤ:2.75-21 45P 4.10-18 59P
Ninja150RRに乗ってみると、低回転では意外とおとなしめ。今回はお店の試乗車をお借りしたためチャンバーが交換されていましたが、昔の2ストマシンにあったようなピーキーすぎて低回転がスカスカ、なんてことは一切なくこれなら街でも十分乗りやすいフィーリング。
少し元気よく高回転まで回すと7000回転あたりから一気に1万回転以降まで綺麗に吹け上がっていくので2ストらしいパワーバンドを体感できました。
2ストはチャンバーとセッティング次第というところはありますが、今回のNinja150RRはかなりリニアに回るので非常に扱いやすい部類の2ストだと思います。
タイトなコーナーであればシフトを2速まで落として立ち上がりで7000〜8000回転からスロットルを開け始められるように乗るとちょうどパワーバンドだけを使って走ることができるので4ストにはない独特の楽しさがあります。
もちろん4ストでもできますが、この爆発的加速を立ち上がりで毎回味わえるのは2ストならでは。
逆に2スト250などでこれをやろとすると相当なスキルが必要な場合があるのと、速すぎて知らないうちにかなり速いペースで走ることになってしまいます。
もちろんNinja150RRでも速いペースで走ることは可能ですが、150ccのエンジンなのでまだ安全マージンを残したペースで楽しんで走れるのが一番良いと思った所。
2スト初心者が一番最初に乗る2ストとしても親しみやすいバイクだと思います。
TS185ERは逆にNinjaとは性格が違っていて高回転よりも低回転の瞬発力が目立ったポイント。エンスト寸前の超低回転からでもスロットルを開ければ粘り強く吹け上がっていくので特にオフロードをトレッキングみたいなスピードで走っているときにかなり便利でした。
極端に言えばトライアルマシンのようなフィーリング。高回転まで回りますが、一番元気なのは低回転〜中回転域なので、回せば回すほど無理に回っている感が出てきます。
モトクロッサーみたいに攻めた走りというよりはゆったりのんびり、探検しながら林道をトレッキングするのが一番味を活かせる走り方だと思います。
TS185ERの車重はなんと102kg。跨ってスタンドをはらった瞬間から軽さが伝わってきます。取り回しも楽だし、オフロードでスタックしたとしてもこの軽さは武器になります。
そんな車体にトライアルマシンのようなエンジンが載っているので、個人的にはゆっくり走っている分の機動力の高さは現行車と同等、もしくはそれ以上かもしれません。こういうフィーリングのマシンって最近じゃまずありません。
その代わり特定の条件でしかこの良さは光らないので、その点比較的どんな状況でもよく乗れる現行車には到底敵いませんが、この味付けにしびれるライダーは多いと思います。
同じ2ストとはいえ、どちらも全く性格が違ったNinja150RRとTS185ER。オンロードで2ストらしいフィーリングを味わうならNinja150RRですが、現代で新車で買えて旧車らしい見た目と2ストフィーリングのTS185ERも中々捨てがたい…。
どちらも今買っておいて損はしないバイクだと思います。個人的にはTS185ERがあまりにもどストライク過ぎて撮影後、値段や乗り出し価格を真剣に調べていたのはヒミツ……。
今買える2ストマシンは現代でも十分楽しめる味わいを持った2ストでした!