8月9日にイギリス・シルバーストン・サーキットで行われた2020年F1第5戦70周年記念GPの決勝レース(5.891km×52周)は、ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝した。フェルスタッペンとレッドブル、それにホンダにとって今季初優勝である。勝敗を分けたのは「タイヤ」である。ブリスターってなんだ?


TEXT◎世良耕太(SERA Kota)

優秀したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。

前日の予選を制したのはメルセデスAMGで、開幕戦で優勝したバルテリ・ボッタスがポールポジションを獲得。僅差の2番手に3連勝中のルイス・ハミルトンがつけた。フェルスタッペンは4番手で、メルセデス勢とのタイム差は1秒近くあった。




しかし、レースになると形勢は逆転。フェルスタッペンが快調なペースで周回を重ねたいっぽう、メルセデスの2台はタイヤの性能劣化に苦しんでペースダウン。フェルスタッペンに首位の座を譲ることになった。

赤い丸の部分がブリスター

フェルスタッペン車の左リヤタイヤ

メルセデス勢のタイヤの異常を示すサインが、ブリスターだった。泡が破裂したような状態なので、実際のブリスターはトレッド上に点々と存在する。だが走行中のタイヤは回転しているので、黒い帯状になって見えるわけだ(点がつながって線になっている場合もある)。




不適切な内圧設定など、何らかの原因でトレッド部の異常発熱が続くと、トレッドを形成するコンパウンドが含む揮発性の高い物質が沸騰し、気化して泡状に膨らむ。気化がさらに進行すると、表面が剥がれて水ぶくれが破裂したような状態になる。これがブリスターだ。F1参戦全チームにタイヤを供給するピレリの場合は、ブリスターが発生しても見た目から受けるイメージほどには性能は低下しないと言われている。




しかし、健全な状態でないことは確かだ。上に示すハミルトン車の写真を見ると、(右回りの高速コースなので、とくに)高い負荷がかかる左リヤタイヤの中央部にブリスターが発生しているのがわかる。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 F1:ブリスター 祝ホンダ今季初V! 勝敗を分けたのはタイヤ。「ブリスター」ってなんだ?