また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2015年5月に国内デビューした現行モデルが四代目にあたる、マツダのライトウェイトFRオープンスポーツカー「ロードスター」の三代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●マツダ
1989年9月に国内デビューした初代ユーノス・ロードスターは、軽量コンパクトで手頃なボディサイズにエンジン性能、ハンドリング、そして価格で、見事ライトウェイトFRオープンスポーツカーの復権を果たした。
その後1998年1月に二代目となり、さらに7年後の2005年8月、三代目ロードスターへとスイッチ。二代目は初代から多くのメカニズムがキャリーオーバーされていたが、三代目でプラットフォーム、パワートレインとも全面的に刷新されることになった。
それに伴い、全長×全幅×全高は40×40×10mm、ホイールベースは65mm拡大。内外装はデザイン・質感とも劇的にモダナイズされ、法規制の強化もあり衝突安全性能と環境性能も劇的に進化した。また、エンジンは二代目の1.6Lおよび1.8Lから、170ps(MT車。AT車は166ps)と189Nmを発する自然吸気のLF-VE型2.0L直4にスケールアップされている。
だが、これらの要素は、何も手を打たなければ重量増に直結する。それは、ロードスターの価値を根底から揺るがすものだ。
ベーシックな「ロードスター」(5速MT:220万円、6速AT:230万円)、205/45R17 84Wタイヤ(他グレードは205/50R16 87V)やトルクセンシング式スーパーLSD、ビルシュタイン製ダンパー、フロントサスタワーバーといった走りの専用装備を装着する「RS」(6速MT:250万円)、タン色の本革シートや布製ソフトトップを標準装備する(「RS」にもオプションで装着可能)「VS」(6速MT:250万円、6速AT:260万円)の3グレードを設定。
また「RS」をベースとして、外装には専用のクローム加飾を多用したほか、専用ボディカラーのベロシティレッドマイカを設定。室内にも専用のレッド本革シートやアルミ調加飾を用いた「3rd Generation Limited」(サード・ジェネレーション・リミテッド。6速MT:275万円)を、国内500台限定、世界3500台限定で発売した。
2005-2006年次の「日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞記念車」(6速MT:269万4500円、6速AT:270万円)を発売。
「RS」6速MT車および「VS」6速AT車をベースとして、専用デカールを助手席側フロントフェンダーに装着したほか、黒の布製ソフトトップを採用。カッパーレッドマイカのボディカラーには黒の本革シート、ブリリアントブラックのボディカラーには赤の本革シートを組み合わせた。
レース仕様ベースモデル「NR-A」(5速MT:230万円)を追加。
「ロードスター」5速MTをベースに、車高調整機構付ビルシュタイン社製ダンパー、トルクセンシング式スーパーLSD、本革巻ステアリング、アルミ製ペダル、フロントサスタワーバーを装着する一方、標準装備の16インチホイールをスチール製に変更し、アルミ製をオプションとしている。
ブラックのクロス製ソフトトップなどカタログモデルには設定のない装備の選択や、カタログモデルではセットオプションとして提供されている装備の単品選択を可能とした「ウェブチューンドロードスター」を、マツダが運営する受注生産サイト「Web Tune Factory」(ウェブチューンファクトリー)で販売開始した。
トランクスペースを犠牲にせず、ホイールベース間のシートバックスペースに約12秒で収納可能な電動格納式ルーフを採用した「パワーリトラクタブルハードトップ」を追加。開口部増大に伴いボディ補強も施しながら、ソフトトップ車に対する重量増を37kgに抑えている。前後重量配分と重心高の変化に合わせてサスペンションも専用のセッティングとした。
グレード構成はソフトトップ車とほぼ同様で、「ロードスターRHT」(5速MT:240万円、6速AT:250万円)、「RS RHT」(6速MT:270万円)、「VS RHT」(6速MT:270万円、6速AT:280万円)の3種類。
「ブレイズエディション」(<ソフトトップ>6速MT:284万円、6速AT:287万円 <RHT> 6速MT:304万円、6速AT:313万5000円)を発売。
「RS」「RS RHT」6速MT車および「VS」「VS RHT」6速AT車をベースとして、外装には高輝度塗装のBBS社製鍛造17インチアルミホイール、専用クローム&クリアタイプパーツを装着した。
ボディカラーは専用のラディアントエボニーマイカと、標準車用に新採用されたハイランドグリーンマイカの2色を設定。室内にはサンドベージュの本革シートを採用し、アルミ調加飾パネルを装着することで、スポーティかつエレガントな仕様としている。
「プレステージエディションエディション」(<RHT> 6速MT:295万円、6速AT:305万円)を発売。
「RS RHT」6速MT車および「VS RHT」6速AT車をベースとして、外装には高輝度塗装のBBS社製鍛造17インチアルミホイール、室内には黒の本革シートおよび、運転席のシート高を30mm高められるラチェットレバー式シートリフターなどを装着した。
初のフェイスリフトを実施。グレード構成はソフトトップ車が「S」(5速MT:233万円)、「NR-A」(5速MT:245万円)、「RS」(6速MT:260万円)、RHTが「S RHT」(6速AT:268万円)、「RS RHT」(6速MT:286万円)、「VS RHT」(6速AT:295万円)の各3種類に整理された。
マツダ車共通の五角形グリルを新たに採用し、前後バンパーおよびランプ、サイドシルガーニッシュのデザインを変更。標準装着ホイールのデザインも一新されたほか、BBS社製鍛造17インチアルミホイールが「RS」「RS RHT」「VS RHT」にオプション設定された。RHTにはさらに、クロームメッキで縁取られたメッシュタイプのグリルやクローム調の加飾パーツが装着されている。
室内には新デザインの5連メーターを採用したほか、シート形状を見直してホールド性をアップ。「VS RHT」にはハバナブラウン色の本革シートを標準装備した。また、ブラック本革(「RS」「RS RHT」)と、黒を基調とした本革とアルカンターラを組み合わせたレカロ社製バケットシート(「RS」「RS RHT」「VS RHT」)をオプション設定している。
2.0L直4エンジンは、パワーピークを従来の6700rpmから7000rpmに、レブリミットを同7000rpmから7500rpmに上昇。さらに6速MT車には新開発の「インダクションサウンドエンハンサー」を採用した。
6速MTは、1速~4速のトリプルコーンシンクロのアウターコーンをカーボンコーティングし、3~4速のシンクロサイズをアップ。6速ATには「ダイレクトモード」や「アクティブアダプティブシフト(AAS)」を新たに実装している。
ハンドリングに関しては、フロントのロールセンター高を26mm下げることで、旋回時のコーナー外輪の上下荷重変動を小さくし、旋回時における操舵応答性とロールのリニアリティをアップ。フロントバンパーの両コーナー下端およびリアコンビネーションランプを水平方向に張り出した形状とし、床下に配置されたフロントタイヤディフレクターの面積を拡大することで、空力特性を改善した。
二度目のフェイスリフトを実施。グレード構成はソフトトップ車が「S」(5速MT:233万円)、「NR-A」(5速MT:245万円)、「RS」(6速MT:260万円)、RHTが「S RHT」(6速AT:268万円)、「RS RHT」(6速MT:286万円)、「VS RHT」(6速AT:292万円)と変わらず。
フロントグリルの開口部を拡大し、フロントチンスポイラーを新たに採用したほか、ソフトトップ車はブラック基調、RHTはシルバー色の加飾パーツを多用して、両タイプをより差別化。また、タン色の布製ソフトトップおよび本革シートが復活した。
走りにおいてはスロットル制御およびブレーキブースターの特性を変更しコントロール性を向上。また歩行者頭部保護基準の強化に合わせ、新開発のアクティブボンネットを採用するとともに、新デザインのフロントバンパーおよび17インチアルミホイール、車両内部の配線などにグラム単位の軽量化を実施して、重量増を抑えている。
■マツダ・ロードスターRS(FR)*2005年8月発売モデル
全長×全幅×全高:3995×1720×1245mm
ホイールベース:2330mm
車両重量:1100kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1998cc
最高出力:125kW(170ps)/6700rpm
最大トルク:189Nm/5000rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 前後:205/45R17 84W
乗車定員:2名
車両価格(当時):250万円