TEXT●青山尚暉(AOYAMA Naoki)
エンジンが超絶に気持ちいいとされるクルマは、それはもう、フェラーリやマセラティなどのスーパーカーの多気筒エンジンに敵うものはないだろう。が、価格は一般庶民に手が届くものではない。そこでボクは、300万円以下で手に入る、意外にエンジン、気持ちいいじゃん!!というクルマを実用車の中から3台選んでみた。
まずは、先代のクロスオーバーテイストから、いきなりクロスカントリー方向に舵を切った、超人気のSUV、トヨタRAV4だ。
特にガソリン車かつ、もっともオン/オフの走破性、走りのダイナミクスに優れたアドベンチャーグレードの、M20A-FKS、2L直4ガソリンエンジン、171ps、21.1kgmは、”ある程度走り込み、馴染ませる”と、トヨタの乗用系4気筒エンジンらしからぬ!?(失礼)快音とともに高回転まで突き抜けるような気持ちいいエンジンフィールを味わせてくれるのだ。
ダイナミックトルクベクタリングコントロールによる悪路走破性の高さ、オンロードのカーブで旋回方向外側の後輪から押し出されるような曲がりやすさとも相まって、本格SUVらしからぬ運転の楽しさを堪能させてくれる。
続いては、スバルXVだ。
XVはスバルらしくシンメトリカルAWD専用車であり、Xモードという極悪路上等の機能は、インプレッサをベースにクロスオーバーモデルに仕立てた見た目からは想像もできないほどの走破性を持ち合わせる、都会にもアウトドアシーンにも雪道にもバッチリの1台だ。
そのアドバンスグレードなどに積まれる2L水平対向ボクサー+モーターによるFB20と呼ばれるパワーユニットは、リニアトロニック(CVT)の制御の良さ、モーターアシストによって、クラスを超えた濃厚かつ重厚な、上質極まるトルキーな回転フィールの持ち主である。
こう言ってはなんだが、1・6L NAとは別格の、スバルの乗用系モデル最良の走りの心地よさを伝えてくれる1台と言っていい。その話をスバルの某エンジニアや広報スタッフにしたところ、同感の賛同を得られた事実も報告しておきたい。
最後の1台は、意外にもほどがある軽自動車からで、それもS660やコペンといったスポーツモデルではない、ハイトワゴンのワゴンRのHYBRID Tグレード、すなわちマイルドハイブリッド・ターボエンジンである。
マイルドハイブリッドゆえ、モーター感をストロングHVのように感じられないのは当然だが、出足のモーターアシストがもたらす滑らかな加速感、全域の静かさ、軽めのステアリングのリニアでウルトラスムーズな手応え、扱いやすさ、クラスを超えた上質な乗り心地、そしてなんといっても、エンジンを高回転まで回したときの雑味なきウルトラスムーズな回転フィールの気持ち良さは、実は、日産デイズ、ホンダN-WGNといったライバルを圧倒する。
そんな、想定外の加速の良さ=気持ち良さが得られる理由は、軽量高剛性の新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」による、ライバルより50~60kgも軽い軽量ボディの採用も後押ししているはずである。
【近況報告】
様々な面で自粛を余儀なくされてるいる今日頃ごろだが、そんな中、気分をアゲてくれたのが、タフトと新型ハリアー。タフトはカッコ良さ、スカイフィールトップの爽快感にぞっこん。また、ハリアーの「空が見たい」とヴォイスコントロールで発声すると調光・透過が一瞬にして変わる調光パノラマルーフの先進感にも“やられている”。そうそう、6年乗った愛車にキーパーコーティングの最上位EXキーパーを施工。新車よりツルツル、ピッカピカ、手間いらずに。新車気分で気持ちよく乗っている。
【プロフィール】
モータージャーナリスト/ドッグライフプロデューサー/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員 自動車専門誌の編集を経てフリーに。新車の試乗レポートのほか、小学館PETomorrowなどで愛犬との幸せなライフスタイル、クルマ旅を提案。国産、輸入車を20台以上乗り継ぐ。
『気持ち良いエンジンならこの3台』は毎日更新です!
内燃機関は死なず! 世の中の流れは電動化だが、エンジンも絶えず進化を続けており、気持ちの良いエンジンを搭載したクルマを運転した時の快感は、なんとも言えないものだ。そこで本企画では「気持ち良いエンジンならこの3台」と題して、自動車評論家・業界関係者の方々に現行モデルの中から3台を、毎日選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)