TEXT◎世良耕太(SERA Kota)
ポップアップストアとは、主にブランドの訴求やイメージの向上を狙った期間限定店のことだ。ポルシェジャパンはPorsche NOW Tokyoを、「新しい潜在カスタマーとポルシェブランドの接点をつなぐ」店舗と位置づけている。「世界で最も新しい形のポルシェの施設」とポルシェジャパンのミヒャエル・キルシュ社長が形容するPorsche NOW Tokyoは、ドバイ、アテネ、台北、ポルシェ本社のあるドイツ・シュトゥットガルトに次ぐ展開となる。
7月9日にオンラインで行なわれたオープン会見では、Porsche NOW Tokyoではポルシェ初のフル電動スポーツカーであるタイカンを展示し、ポルシェのEモビリティに対する取り組みを紹介していくことが説明された。ガラスで囲まれた開放感のある店舗には、当初3台のタイカンが展示され、150kW級の出力を誇るポルシェターボチャージングステーションが設置される。また、ポルシェモデルのVR体験スペースが設置され、日本初導入となる「ポルシェプロ」が常駐。製品やブランドに関するあらゆる疑問に答える。
プロダクト&プライシング マネージャーのアレクサンダー・クワース氏は、タイカンの日本仕様について説明した。興味深いのは、2019年11月に行なったジャパンプレミア後の期間限定予約プログラム参加者のデータだ。なんと、予約者の45%がタイカンで初めてポルシェを選んだのだという。さらに、95%の予約者がガソリンエンジン車からの乗り換え、すなわち、ポルシェ・タイカンが初めての電気自動車ということになる。
クワース氏は「ポルシェは充電インフラにおいても妥協はありません」と切り出し、最大150kWの出力を誇るポルシェターボチャージャーの設置状況について説明した。タイカンの車載バッテリーを24分で最大80%(走行距離300km分)まで充電することが可能なポルシェターボチャージャーは、全国のポルシェセンターに順次設置される予定だ(2020年内に21拠点設置予定)。
販売店への充電ネットワークの整備は、自宅で充電できないユーザーへのサービスも想定しており、「販売店での充電をホームチャージングの代わりにご利用いただくと、年間走行距離が1万キロ程度の場合、月に1〜2回程度の来店でタイカンを楽しんでいただける」と話した。また、東京、名古屋、大阪の公共施設に、ポルシェターボチャージングステーションを設置する計画で、現時点ですでに4ヵ所で工事が始まっていることが明かされた。
キルシュ社長は、「Porsche NOW Tokyoでは、いち早くタイカンの試乗ができるように計画しています」「今後は他ブランドとのコラボレーション等も企画しているため、何度も遊びに来てください」と語りかけた。
なお、会見の冒頭でキルシュ社長は、「私たちが全力で取り組む施策のうち、ご紹介すべきもうひとつの例」として、千葉県木更津市に建設中の「ポルシェ エクスペリエンス センター」を紹介した。2021年夏にオープンする同センターは、「ポルシェファンにエキサイティングな試乗体験を提供」するだけでなく、「既存のポルシェファンのみならず、若い世代もポルシェを体験することで、共に対話できる場が確立されると同時に、日本におけるポルシェコミュニティをさらに発展させる絶好の場となる」と期待する。
しばらくは、ポルシェジャパンの動きから目が離せない。