TEXT●石井昌道(ISHII Masamichi)
発売の約1年前の開発テストに呼ばれたこともあって縁を感じるアルピーヌA110。もともとブランドに憧れはあり、その復活を知って喜んでいた一人だが、プロトタイプからして想像以上のハンドリングを実現していたことに驚いた。
こういったミドシップスポーツは運動性能が高い反面、テールスライドしたときのコントロール性を確保するのがたいへんなので、アンダーステア気味に仕立て上げるのがほとんどだが、優秀なリアサスペンションのおかげで、気持ち良く俊敏に曲がり、スライドコントロールも抜群にやりやすい。
頑張れば手が届かない価格でもないので、いつかは手に入れたい。A110にするかA110Sにするかを妄想するのがいまの楽しみ。
テスラのモデルSでは電気モーターの強力なパフォーマンスに魅了された。モデル3はリーズナブルな本格普及バージョンなだけかと思いきや、新世代としてシャシー性能が大幅に進化。低重心でヨー慣性モーメントの低いBEVの資質を存分にいかした驚異的なハンドリングが実現されている。
先日のEVレースではサスペンションとタイヤをモディファイしたモデル3が1分3秒台(筑波サーキット)を記録したが、1800kg以上の車両重量としてはかなりの速さ。電気モーターが強力なだけではない。重量配分に優れ、エンジンマウントの揺れなどといった問題もないBEVの魅力は、じつはシャシー性能のほうが大きいと思っている。
これも現実的な価格なので、次期か次々期FXの候補の一台。
フェラーリのV8ミドシップ・ベルリネッタは歴代モデルのどれも好きだが、F430あたりからドライバビリティの高さに驚かされるようになり、458イタリアでは、数多あるスーパースポーツのなかでも別格と感じるようになった。コアテクノロジーの一つがE-デフで、ハイパフォーマンスなのに従順で驚くほど乗りやすく、攻める気にもさせてくれる。
最新モデルのF8トリブートの試乗はまだかなっていないが、間違いなくいいだろう。自分には手の届かないモデルだが、何かの間違いでお金持ちになったら欲しい。
■石井昌道(いしい・まさみち)
もとは自動車雑誌の編集者だったが、フリーランスのモータージャーナリストに転身。スポーツカーおよびスポーツドライビングが好きだが、日常を快適に過ごせて安全性の高い乗用車にも興味を持ち続けている。現在の愛車はBMW320d(F30)とポルシェ911(997)。
あとどれだけクルマに乗れるだろうか。一度きりの人生ならば、好きなクルマのアクセルを全開にしてから死にたいもの。ということで、『乗らずに後悔したくない! 人生最後に乗るならこの3台』と題して、現行モデルのなかから3台を、これから毎日、自動車評論家・業界関係者の方々に選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)