「2020年は、スペック1、スペック2、スペック3の3種類で戦う予定だった。もともとオーストリアGPにはスペック2を投入予定だったが、ファクトリーがシャットダウンされた影響もあり、『スペック1.1』で戦うことになる」(浅木さん)
オフシーズンの開発時には、得意な高地だけでなく、平地のサーキットでもメルセデスに追いつくことを目標に掲げていた。そしてシーズンを通してメルセデスやフェラーリと真っ向勝負で戦い、最終的にレッドブルとともにホンダがシリーズチャンピオンを獲る。浅木さんは、画面越しにそう明言してくれた。
新型コロナの感染拡大がもたらす影響については、「スポーツも興行も、世界が大打撃を受けている。FIAとしても、脱落するチームが出てこないよう開発コストの低減が話題となる。今後、すべてのチームがレースを継続できる予算枠が決まれば、ホンダもそれに合わせて予算を削減する構えだ。開発予算を効率的に使うことが求められる時代が、想定よりも数年早くきたというイメージを持っている」と、世界経済の状況悪化を懸念する。
新型コロナのため、日本グランプリも中止せざるをえない状況となってしまった。「ホンダは日本の企業なので、日本の皆様に頑張っている姿を見ていただくためにやっているようなもの。非常に残念」と浅木さん。1991年以来の地元優勝を多くのホンダファンが期待していたが、その実現は2021年以降に持ち越しとなってしまった。
なお、今回のオンライン会見の最後には、開幕レースに備えて渡欧している山本雅史・モータースポーツ部長も飛び入り(?)参加した。
「いよいよ7月からF1が始まる。マクラーレンの3年間は、ホンダが失っていた9年間(=参戦休止期間)を取り戻すいい勉強をさせてもらった。そして昨年はトロロッソ、レッドブルの4台体制となり、フィードバックが増えて開発も加速した。今年は節目の年となる。スタートラインについた時点で『今年は全戦でいい戦いができそうだ』と思えるのは初めてのこと。2月のカタロニアのテストも充実していた。ホンダが一丸となって、ファンの皆様のご期待に応えられるようにチャンピオン争いをして、年末を笑顔で迎えたい」と意気込みを語ってくれた。
1991年以来の王座獲得をホンダが実現できるのか。ファンも関係者も固唾を飲んで見守る2020シーズン。その行方を占う開幕戦は、7月3〜5日、レッドブルリンク(オーストリア)で行われる。