REPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)
※今回の試乗はモデルチェンジ前の2019年モデルとなります。
ホンダレブル250(2019年モデル)……537,840円/ABS付きは588,600円
80年代のバイクブームを経験したライダーなら、「レブル」の名前に懐かしさを感じることだろう。レブル(Rebel)とは直訳すると「反逆」を意味し、初代モデルは今から30年以上前の1985年に発売された。当時はレーサーレプリカブームの真っ最中だったが、気軽に乗れるアメリカンとして、速さ以外に楽しさを求めるライダーから根強い支持を集め、1996年まで発売されたロングセラーモデルとなったのだ。
初代モデルはハンドルの高いチョッパースタイルに空冷2気筒エンジンを搭載し、まさにアメリカンというデザインだったのに対して、新型は「シンプル&ロー」をコンセプトに、欧米でも人気のボバースタイルを踏襲。エンジンはCBR250Rの水冷単気筒を中低速寄りにリファインし、従来のアメリカンイメージからガラリと印象が変わった現代的なクルーザーとして生まれ変わった。
ちなみにボバーとは、1930〜40年代にアメリカで流行したダートトラックレースに参加していたバイクをモチーフにしたカスタムのこと。短くカットしたヘアスタイルの「ショートボブ」が語源と言われ、車体やフェンダーが短く、ハンドルは低めで、極力無駄な装備を削ぎ落としたスタイリングが基本だ。
●足つきチェック(ライダー身長182cm)
シート高は690mmと原付スクーターなみで、着座位置のタンクやシートが絞り込まれていることもあって足着き性は抜群に良い。着座位置やステップの位置に対してステアリングのグリップ位置は遠めだが、アメリカンとしてはコンパクトなポジションに収まっている。ステップ位置が、アメリカンとしてはかなり後方にあるから、慣れるまで戸惑う人も多いかも!?
●ディテール解説
CBR250R系の水冷単気筒249ccエンジンを吸排気とFIのセッティングを最適化し、クルーザーにふさわしい低速からの力強いトルクを実現している。マイチェン後はスリッパークラッチを新採用し、後輪のホッピングやクラッチレバーの操作荷重を軽減。
シングルディスクとニッシン製2ポットキャリパーの組み合わせは、アメリカンモデルとしては強力! しっかりとフロントでスピードが調整できる感覚はスポーツバイクに近い感覚だ。
φ45のパイプを使ったスイングアームには伝統的なツインショックを採用。スプリングも黒に仕上げて、ボディとの統一感を生み出している。フレームやタンデムステップステーもパイプ形状とし、一体感を強調している。右リヤフェンダーの下にはヘルメットホルダーも装備。
上から見ると丸みを帯びた曲線が魅力的なティアドロップ型燃料タンク。まるでカスタムビルダーの一品物のような造形が、オーナーを満足させる。
ライダー側は座面が広いが、タンデム側は小ぶりなシートのみで積載スペースはあまりない。タンデムシートはボルト1本で着脱でき、カスタマイズしやすい。
丸形のハロゲンバルブを採用したオーセンティックなヘッドライト。ウインカーとともにカスタマイズポイントでもあるが、飽きのこないバイク本来のスタイルが魅力的でもある。新型はLED4灯タイプになったが、クラシカルなこの旧型が好みという意見もチラホラ!
ブラック塗装されたバーハンドルはインチサイズで、アメリカンとしては低めに設置されている。シンプルなコクピットは「SIMPLE &RAW」のコンセプトを具現化している。
ABS以外の電子装備を極力抑えた仕様なのでスイッチボックスはシンプル。右スイッチボックスにはセル、キルスイッチ、ハザード、左スイッチボックスはライトのHi・Low切り替え、ホーン、ウインカースイッチのみ。ライトのLow側を押し込めばパッシングもできる。
車名・型式:ホンダ・2BK-MC49
全長(mm):2190
全幅(mm):820
全高(mm):1090
軸距(mm):1490
最低地上高(mm):150
シート高(mm):690
車両重量(kg):168(ABS仕様は170)
乗車定員(人):2
燃料消費率*1(km/L):
国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…46.5
WMTCモード値(クラス)…34.1
最小回転半径(m):2.8
エンジン型式:MC49E
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(㎤):249
内径×行程(mm): 76.0×55.0
圧縮比: 10.7
最高出力(kW[PS]/rpm):19[26]/9,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):22[2.2]/7,750
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):11
クラッチ形式:湿式多板
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比:
1速…3.415
2速…2.250
3速…1.649
4速…1.350
5速…1.166
6速…1.037
減速比(1次/2次):2.807/2.571
キャスター角(度):28°00′
トレール量(mm):110
タイヤ:
前…130/90-16
後…150/80-16
ブレーキ形式:
前…油圧式ディスク
後…油圧式ディスク
懸架方式:
前…テレスコピック式
後…スイングアーム式
フレーム形式:ダイヤモンド
■製造事業者/本田技研工業株式会社
●ライダープロフィール