REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)
取材協力●トライアンフ モーターサイクル ジャパン
トライアンフ・ボンネビルT100 Bud Ekins(バド・イーキンス).......1,293,500円
ボンネビルは、スチールのダブルクレードル・フレームにバーチカルツイン・エンジンを搭載したスポーツバイク。ニーグリップラバーを備えたガソリンタンク、ほぼストレートに後方へ伸ばされたダブルシート等のデザインはまるで教科書をみる様な、丹精な仕上がりを披露している。
往年のボンネビルは650cc で1960年代まではそれがスポーツバイクの頂点に位置していた。CB750Four の登場はあまりにもインパクトが大きく、豪快なナナハン・マルチパワーに目を奪われたが、冷静な目を持つライダーの間では、スポーツバイクとしての総合的な最速マシンとして、揺るぎない評価を得ていたのである。
現在はT100シリーズとT120シリーズが揃えられていて、T100は900cc エンジンを搭載。モダンクラシックバイクとして開発されたモデルで、その原点(手本)は1959年式ボンネビルをイメージして造られたと言う。
空冷の様に見える冷却フィンの造形にもこだわりを主張したエンジンは水冷のSOHC直(並)列2気筒。気筒当たり4バルブ構造を持ち、270 度クランクを採用。ボア・ストロークは84.6×80mmというショートストロークタイプである。
吸気系はマルチポイントシーケンシャル電子制御式の燃料噴射を、そして排気系にはクロームメッキで美しく仕上げられた2into2のキャブトンマフラーを装備。2 本ショックのスイングアーム式リヤサスペンションや、インナーチューブが蛇腹のゴムブーツでカバーされた正立式フロントフォーク。そしてスポークホイールの組み合わせ等、全てのデザインが歴史あるブランドへのリスペクトを感じさせてくれる。
今回の試乗車はBUD EKINS (バド・イーキンス)の名を掲げた特別仕様。広報資料から引用すると、彼は「プロのスタントマンで、モトクロスとデザートレースのトップ選手であり、スティーブ・マックィーンの親友の一人でもあり、ライディングパートナーでもある」と書かれている。
アメリカではレジェンドライダーとして知られトライアンフブランドの知名度と販売促進に大きく貢献。その後アメリカでトライアンフのトップディーラーとしてビジネスでも成功。そんな活躍に敬意を表して作り上げた特別仕様なのである。
穏やかな乗り味と強かなハイパフォーマンスとのバランスが絶妙
足つき性チェック(身長168cm)
ディテール解説
◼️主要諸元◼️
エンジンタイプ:水冷並列2気筒SOHC 8バルブ 270°クランク
排気量:900cc
ボア・ストローク:84.6×80mm
圧縮比:10.55:1
最高出力:55PS(40kW)/5900rpm
最大トルク:80Nm/3230rpm
吸気システム:マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射
排気システム:クロームメッキ仕上げ 2-INTO-2 エクゾーストシステム
駆動方式:Xリングチェーン
クラッチ:湿式多板式、アシスト付
トランスミッション:5速
一次減速比:1,257(93/74)
二次減速比:2,412(41/17)
ギヤ比:
1速:3.500(49/14)
2速:2.500(45/18)
3速:1.850(37/20)
4速:1.480(37/25)
5速:1.296(35/27)
フレーム:チューブラースチール製ツインクレードル
スイングアーム:チューブラースチール製両持ち式
ホイール(前/後):32本ワイヤースポーク、スチールリム 2.75-18インチ/同4.25-17インチ
タイヤ(前/後):100/90-18 / 150/70 R17
サスペンション(前/後): KYB製φ41mmカートリッジフォーク/KYB製ツインショック、プリロード調整機能
ホイールトラベル(前/後):120mm / 120mm
ブレーキ(前/後):φ 310mmシングルフローティングディスク、Nissin製2ピストンフローティングキャリパー、ABS / φ255mmシングルディスク、Nissin製シングルピストンフローティングキャリパー、ABS
全幅:715mm
全高:1100mm (除くミラー)
シート高:790mm
ホイールベース:1450mm
キャスター:25.5 º
トレール:104mm
乾燥重量:213kg
燃料タンク容量:14.5L
燃料消費率:3.8L/100km(26.3km/L)
ライダープロフィール