先代となる三代目では、全部で4種類のボディタイプ(3ドア、4ドア、シャトル、CR-X)を用意し、それぞれ個性を打ち出していたが、渡辺はそれがユーザーにとって本当に嬉しいのか?と疑問を抱いていた。そこで、新型では4種類の個性に加えて、役割をより明確に区分することで選んだ人が本当に満足できるようにしたという。
ハードウェアは“爽快感”をテーマに、広い前方視界やヘッドクリアランスに余裕のあるキャビン、容量が大きくて使いやすい荷室、さらには200km/h近い速度でもしっかり走れるエンジンや足回りなど、人間が気持ちよく使えることを土台にした上で、ボディタイプごとに明確にした役割をつくり上げていった。
課題となったのは、やはり「役割」を明確にする作業だった。
3ドアは長年の経験とノウハウから困ることはなかったが、4ドアは後席の居住性をポイントに設計して安心感や囲まれ感を出すのに苦労したという。5ドアのシャトルは、使い勝手の良さが見直された。残るCR-Xは、日本ではスポーツカーとして受け入れられていたため、試作段階ではミッドシップもつくられたという。ただし、FFよりも重量が増加し、それを軽量化するために掛かるコストがメリットに見合わないとしてボツになった。しかし、現行型では本格的なスポーツ走行にも使われていたため、FFでも十分走れるだけの運動性能を磨き上げていくという方針に固まったという。
そのほかにも、先代がボディタイプ別にバラバラにボディ設計されており、これが生産効率を下げていたと考え、新型ではフロアパネルやボンネットフード、ドア、ヘッドライトなど徹底的に共通部材の使用が図られた。