・全車がターボエンジンを搭載し、トランスミッションは10速AT
・フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式を採用
「35年のアキュラの歴史で最速であり、最高のハンドリングと最も充実した装備を併せ持つセダン」という謳い文句とともに登場した、二代目TLX。日本では未導入のモデルなのでなじみがないかもしれないが、かなり魅力的なスポーツセダンであることが発表資料からはうかがい知れるので、かいつまんでご紹介したい。
新型TLXのデザインは先代からのキープコンセプトだが、ボディはやや大型化された。ホイールベースを3.7インチ(約94mm)延長、全幅も2.2インチ(約56mm)ほどワイドになった一方で、全高は0.6インチ(約15mm)低められている。
プラットフォームは、新設計のアキュラセダン専用のものを採用する。NSXを除くと、アキュラ車の中では最高の剛性を誇る。また軽量素材を56%(重量比)採用しているのも、アキュラのセダンの中では最多である。そして、フロントバンパー、ボンネット、フロントフェンダー、フロントダンパーマウントにアルミ素材を採用して軽量化を実現しただけでなく、12Vバッテリーはトランク内に配置するなど重量配分にもこだわっている。
また、新型TLXではフロントサスペンションがダブルウィッシュボーン式に変更されたのもトピックだ。さらに、可変ステアリングギヤレシオ、バイワイヤの電動サーボブレーキシステム、アダプティブダンパーシステムなども採用する。
パワートレーンにも注目だ。新型TLXは、2種類のターボエンジンがラインナップする。標準モデルに搭載されるのは、2.0ℓ直4VTECターボだ。最高出力は272psを発生する。先代モデルの2.4ℓ直4(自然吸気)に対して、66psものパワーアップだ。先代モデルでは3.5ℓV6(自然吸気)も選べたのだが、2.0ℓ直4VTECターボは最高出力こそ劣るものの、最大トルクでは約18Nm上回る。
そして、新開発された3.0ℓV6直噴ターボは10年ぶりに復活する「タイプS」に搭載される。日本の栃木県にあるR&Dセンターが開発を担当したこの新エンジンは、スクロールターボチャージャーと電子制御式ウエストゲートの採用により、高トルク・高レスポンスを実現。タイプSの発売は2021年春の予定で、最高出力などのスペックはその発売時期に合わせて公表されるという。
2種類のターボエンジンに組み合わされるのは、10速ATだ。先代の8速AT&9速ATに対して、レシオレンジの拡大や1速のローギヤレシオ化などが実現しているほか、4段ダイレクトダウンシフト(例えば10速から6速へのダウンシフトが可能)も採用する。タイプSではレスポンスの良い走りが楽しめるように、この10速ATにも独自のチューニングが施される。
SH-AWDも進化した。新型TLXに搭載される第四世代は、リヤのトルク容量を40%増とすることで、フロントからリヤへのトルク伝達の速度を30%向上している。
新型TLXでは通常走行時、エンジントルクの最大70%をリヤアクスルに伝達し、リヤアクスルは走行状況に応じて、そのトルクの最大100%を左右の後輪に配分することが可能だ。
なお、SH-AWDは2.0ℓ車にオプション設定、タイプSには標準設定となる。4WDのタイプSは、新型TLXが初めてだ。
新型TLXではとかく走りのパフォーマンスに目が行きがちだが、安全装備に関しても新しい技術が採用されている。その一つが、助手席用エアバッグだ。これは野球のキャッチャーミットのように膨らむ3室構造を採用しており、衝突時に助手席乗員の頭部をより効果的に包むことが可能となっている。