ただし、この設計ではボアを拡大して排気量を増やすことが難しい。排気量の増減はピストンストロークで調節することになる。また、ボアピッチはシリンダーブロックとシリンダーヘッドを締結するボルト穴の位置を大きく左右する。何本のボルトで留めるか、どの場所で留めるかという要件は1気筒あたりの最大燃焼圧力に左右され、充分な冷却を行なうための冷却水路設計からの影響も受ける。近年のディーゼルエンジンでは吸排気系の理想的な取り回しがボルト位置よりも優先される場合もある。要件は複雑だ。したがって、ボアピッチの決定はエンジンの素性を決定するといっても差し支えない。だからエンジン設計の「最初の一歩」なのである。