今回発行された国際標準 ISO 21202(*2)(部分的自動車線変更システム)では、ドライバーによる車線変更の指示に基づきシステムが車線変更動作を行うタイプ1と、システムによる車線変更の提案に対しドライバーが承認するとシステムが車線変更動作を行うタイプ2に分類され、それぞれに要求される要件やその検証試験方法が定義されている。タイプ1においては車両近傍のドライバーの死角となるエリアを、タイプ2においてはより後方のエリアに対する障害物検知機能を備えることを本規格では要件としている。
本規格は、日本が国際議長を務めるISO(国際標準化機構)/TC204(ITS 高度道路交通システム)/WG14(走行制御)に、日本から2017年8月に提案し、2020年4月27日に国際規格として発行された*3。
ドライバーが苦手とする車線変更操作の大部分をシステムが行うことで、ドライバーは周辺の安全確認に集中することができる。本規格の発行により、一定の性能を有したシステムを搭載した車両が世界に普及し、自動車による交通事故の減少につながることが期待される。また、国連SDGs*4の一つである2020年までの世界道路交通事故死傷者半減にも寄与することが期待される。
*1 引用:平成29年3月 一般社団法人日本自動車工業会、公益財団法人交通事項分析センター 四輪車が車線変更中に発生した死傷事故の分析
*2 正式名称:
ISO 21202:2020 Intelligent transport systems — Partially automated lane change systems (PALS) — Functional / operational requirements and test procedures
*3 今回発行された国際規格は、経済産業省の委託事業である省エネルギーに関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(省エネルギー等国際標準開発(国際標準分野))(高度道路交通システムに関する国際標準化・普及基盤構築)の成果の一部によるものです。
*4 国際連合広報センター(持続可能な開発のための2030アジェンダに関連する統計委員会活動)
持続可能な開発のための2030アジェンダに関連する統計委員会の活動について(http://www.unic.or.jp/files/a_res_71_313.pdf)