サスペンションはフロントがストラット、リヤがトーションビームという一般的な構成。ホイールはベースグレードが16インチスチール(タイヤは205/60R16)、それ以外は17インチアルミ(タイヤは205/55R17)を履く。
キックスのエクステリアにはVモーショングリルやブーメランヘッドライト&テールライトなどが採用され、一目で日産車と分かるものになっている。目新しさはないものの、万人に受け入れられそうなまとまりの良いデザインだ。ピラーがブラックアウトされたフローティングルーフが特徴的だが、ルーフのカラーはボディ同色のほか、ブラック、ホワイト、オレンジが用意されているのがユニークである。
インテリアのコンセプトは「Gliding Wing(滑空翼)」とのこと。中央の7.0インチ・ディスプレイはApple CarPlayやAndroid Autoに接続することが可能となっている。また、最上級グレードの「SR」ではBOSEのサウンドシステムも用意されている。運転席ヘッドレストの2.5インチスピーカーのほか、フロントドアに6.5インチスピーカー、Aピラーに1.0インチツイーター、リアドアに5.25インチスピーカーがインストールされる。
キックスの自慢の一つはユーティリティだ。北米日産のホームページでは「起亜ソウルを凌ぐ」とライバルを名指しつつ、室内と荷室の広さをアピールしている。また、2020年モデルのキックスでは、日産の安全技術「セーフティーシールド360テクノロジー」が追加された。歩行者検出機能付き自動緊急ブレーキ、後退時に障害物を感知した際に作動する自動ブレーキ、車線逸脱警告、ブラインドスポット警告などがその内容だ。
北米仕様のキックスを一通りチェックしてみたが、その感想を一言で言うと「オーソドックス」。デザインも装備も、突出した部分は見当たらない。北米の自動車メディア『CAR AND DRIVER』を見てみると、「走りは平凡だが、使い勝手がいい」といったような評価がされており、カテゴリー別のランキングでは5位となっていた(1位はマツダCX-30、2位は起亜セルトス、3位は現代コナ、4位は起亜ソウル)。
そんなキックスだが、じつは北米では苦戦が続く日産で好調なセールスを記録している。日本でもコンパクトSUVのカテゴリーは活況で、トヨタCH-R、マツダCX-30、ホンダ・ヴェゼルなどライバルは少なくないが、そうした群雄割拠の中、キックスはどれだけ存在感を発揮できるのだろうか。成功の鍵を握るのはe-POWERの存在と価格設定だと思われるが、はたして日本仕様のキックスはどのような姿で登場するのだろうか。正式発表が楽しみだ。