今回試乗させていただいたCX-5 XD Silk Beige Selection(4WD)は、以下の特別装備を追加した特別仕様車だ。
・スウェード調生地のグランリュクスをシート中心部に使用したハーフレザレットシート(カラーはシルクベージュ)
・LED室内照明(マップランプ/ルームランプ/ラゲッジルームランプ)
・前席用LEDフットランプ&イルミネーション(カラーはホワイト)
・LEDフロントフォグランプ
IRカットガラス
いうまでもなく、マツダでもっとも売れているクルマがCX-5である。
日本の2019年1-12月の販売台数は
CX-5:3万1538台
デミオ:2万6657台
MAZDA3:2万4667台
CX-8:2万3294台
MAZDA2:1万1172台
CX-3:9889台
CX-30:9068台
だ。デミオとMAZDA2を足すと3万7829台だから国内では2番目というのが正しいが、北米の販売台数をみると、CX-5の重要さがわかる。同じく2019年のデータだと
CX-5:15万4545台
MAZDA3:5万741台
CX-9:2万6861台
MAZDA6:2万1524台
CX-3:1万6229台
MX-5 Miata:7753台
CX-30:899台
と断トツでCX-5が売れている。マツダのグローバル販売台数の25%がCX-5なのだ。
CX-5もCX-8も買うならディーゼル、そして4WDだと思っている(最初の試乗会で乗り比べた時に4WDの方が乗り味がよかった)ので、今回の試乗車はぴったり好みにあう。相変わらず2.2ℓ直4ディーゼルのSKYACTIV-D2.2は非常に静か。マツダ横浜R&Dセンターから新宿の編集部まで首都高を流すと燃費は20km/ℓを超える。
翌日、いつものように都内から三浦半島へ試乗に出かけた。第3京浜という路面の荒れた自動車専用道、葉山や三崎近辺の狭い郊外路を走る。
あれ? CX-5の乗り心地っってこんな感じだったかな? 意外や突き上げや揺すられ感がある。SUVってやっぱり重心が高いんだなと思わせる乗り心地。つい先日、同じ道をMAZDA3の1.5ℓで走ったときのような、どんな細い道もどんな荒れた道も自信を持って走って行けるという確信が、ちょっとだけ欠けている。これはCX-5がよくないというよりも、新世代商品群になったMAZDA3やCX-30の出来がよりよいからだ。
平坦路から急な登り坂に40-50km/hくらいで差し掛かってアクセルを踏むと思いの外、インジェクターのポンプ音(なのかは不明だが)が聞こえる。初めて現行CX-5に乗った時に感動した静粛性に翳りを感じた。もちろん、静粛性能が落ちたわけではない。これは、マツダがMAZDA3からもうひとつ高いレベルに移行したからだろう。
依然としてCX-5はとてもよいのだ。
特別仕様のキーとなるシートはカラー、肌触りともに大変心地よい。セーレンの人工皮革グランリュクスはスエード調の素材で、ドライブ中お尻が滑らないのがいい。明るくて上質なベージュカラーもいい。が汚れには気を付ける必要がありそうだ。
マツダ×BOSEという組み合わせでハズレを引いたことがないから、今回も安心してCDをスロットに挿し込む。
新型コロナ禍で街中の雰囲気が重いから、それを吹き飛ばす意味でヴァン・ヘイレンの『JUMP』が入ったベストアルバムと気持ちが落ち着くパット・メセニーグループのアルバムだ。
オーディオ評論家でないので、音の良し悪しをうまく表現することはできないが、CX-5のBOSEは、素直でメリハリの効いたBOSEらしい音がする。とても気持ち良い。最近試乗したマツダ車のオーディオを勝手に評価をすると、こうなる
MAZDA3/CX-30のBOSE> MAZDA3/CX-30の標準オーディオ=今回のCX-5のBOSE>MAZDA6のBOSE
である。これまたMAZDA3/CX-30は乗り心地もオーディオのレベルも1段上だと思う。
三浦半島から東京に戻る高速はずっと空いていた。横浜横須賀道路〜首都高湾岸線を流しているときのCX-5はとてもいい。CX-5がSUVらしい高い悪路走破性を持っていることはよく知っているが、こうして都会をすーっと流す時にもっとも魅力が感じられるクルマではないか。
今回は392.8km走って14.8km/ℓという燃費だった。WLTCモードの燃費の89%という達成率はなかなか良好だ。なにより燃料は軽油で安いのだから。
いろいろCX-30との比較で書いたが、CX-5は世界でもっとも売れているマツダ車(=もっともコストをかけて造られているはず)だ。このサイズ、このエンジン性能(SKYACTIV-D1.8ではなく450NmのD2.2)のSUVがほしいとなったら、やはり候補の最右翼に挙げられる。
マツダCX-5 XD Silk Beige Selection(4WD)
全長×全幅×全高:4545mm×1840mm×1690mm
ホイールベース:2700mm
車重:1690kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rマルチリンク式
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
エンジン型式:SH-VPTS型(SKYACTIV-D2.2)
排気量:2188cc
ボア×ストローク:86.0mm×94.2mm
圧縮比:14.4
最高出力:190ps(140kW)/4500rpm
最大トルク:450Nm/2000rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:コモンレール式筒内燃料直接噴射(DI)
使用燃料:軽油
燃料タンク容量:58ℓ
WLTCモード燃費:16.6km/ℓ
市街地モード13.6km/ℓ
郊外モード 16.5km/ℓ
高速道路モード 18.6km/ℓ
車両価格○351万4500円
最小回転半径:5.5m